劇場公開日 2019年5月17日

  • 予告編を見る

「未知の野生動物のような米国の“新人類”を、斬新な手法で立体化」アメリカン・アニマルズ AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5未知の野生動物のような米国の“新人類”を、斬新な手法で立体化

2019年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

興奮

2004年にケンタッキー州の大学生4人組が起こした窃盗事件を題材とする劇映画。ただしドキュメンタリー出身のバート・レイトン監督は、俳優を使って事件を再現するだけでなく、本人たちが回想する姿を収めた映像も挿入し、ハイブリッドな手法で“真実”の再構成を試みる。とはいえ、本人たちの言い分が食い違ったりして、映画と真実の関係が一層複雑になる。

「レザボア・ドッグス」を手本に、13億円もする骨董本を大学図書館から盗もうとする若者たち。おバカな犯罪と片付けられそうだが、その軽いノリは“バカッター”や“バイトテロ”などと揶揄された日本の一部の若者と共通点を感じさせもする。従来の常識、良識が通用しない点で断絶をうかがわせるし、20世紀までの文脈で理解するのは不毛かも。彼らはアメリカの(新しい)動物なのだ。バリー・コーガンが「聖なる鹿殺し」に続き独特の存在感を放っている。

高森 郁哉