「カメラワーク、色彩感覚、若者たちの演技、すべてが渾然一体となって新鮮に突き刺さる」アメリカン・アニマルズ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
カメラワーク、色彩感覚、若者たちの演技、すべてが渾然一体となって新鮮に突き刺さる
無軌道な若者たちが無計画な犯罪に手を染める————そういった物語には過去にも数多く出会ってきたように思うが、本作はそのいずれとも異なる独自の魅力を放つ。
私にはなぜ彼らがこのような犯罪に手を染めたのか、一向にわからない。彼らの頭が切れすぎるわけでも、逆に脳みそが腐るほど馬鹿なわけでもない。恐らく自分達にも理解できていないのではないか。そんな天然記念物的かつ突然変異的な彼らが、よりにもよって「歴史的に貴重な動物画集」を強奪しようとする。ある意味、ミイラ取りがミイラになるような、皮肉なアイデンティティの末路がそこには横たわっている。
ともあれ、カメラワーク、独特な色彩感覚、本人へのインタビュー手法、若者たちの息のあった演技・・・すべてが渾然一体となって新鮮に突き刺さる。この監督の手腕あってこそ、本作はこれほど光り輝く存在と成りえたのだろう。何度も見直したくなる中毒性すら兼ね備えた快作だ。
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