「新感覚」ヘレディタリー 継承 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
新感覚
催眠術にかけられてる過程のような…そんな感覚を覚える作品だった。
脳内を侵食されていくような感覚。
正直…退屈だなぁと思いながら中盤あたりまでくる。前半から不穏な要素は散りばめられてはいて、何だかよく分からない不安だけを抱く。これらの前振りは一体何に結実していくのだろうか?
霊のような存在も出てはこない。
起こる事柄は疑心暗鬼だったり、不信だったり、おおよそ人の業から発せられるもののようだった。
主人公は夢遊病を患っていて、自分の意思とは関係なく行動を起こしてしまう。その家族構成も散々たるものだった。
「サマーバケーション」の方を先に観てたから、恐怖の根源は人が自ら産み出すものみたいな事なのかと観てたら、悪魔崇拝の話だった。
どおやら、祖母は悪魔と結婚したらしい。
選ばれたって事になるのかな?
おそらく主人公の血縁者は、その犠牲というか贄というか…祖母がその資格を得るまでに払った代償なのかもしれない。
で、まぁ…孫に悪魔を転生させようとするようなのだが、ここら辺のシステムが複雑ではある。
その膨大な計画がタイトルである「継承」って事なのだろうな。
主人公は結局、悪魔に憑依され人外の者になり果てる。天井に頭を打ち付けてる絵は怖かったなあ…。
別に楽しいわけでもない。
面白いなあと思ってみてたわけでもない。
むしろ、つまんねえなと思ってみてた。
でも、なんだろ…全部観てた。
どころか…観終わった今でも「なぜ最期まで観てられたのか?」その答えを出せずにいる。
なんとなく、最期まで観ちゃった。
こんな作品を?
どこに惹きつけられてた?
飽きてたろ?…いや、飽きてはいない。
何で飽きてないの?
…何でだろ?
催眠術にかかったようなって印象は、こんな自問自答をしてしまえたからだ。
しかしながら…この監督の頭ん中はどおなってんだろ?ホラーとも言えずサスペンスとも言えず、よくまぁ、こんな話を思いつくもんだ。
好きなのかな?
その好きになる要素が、俺にはサッパリ理解できない。なんとなーくだけど「悪魔崇拝」自体はさして珍しいネタではない。ただ、原因というかスパイスで使われる事はあっても、こんな方向性に使われてる作品を俺はあまり観た事がない。
悪魔はいたとしても、それの触媒になってるのは人間で、その儀式を執り行うのも人間で…つまりは、人間を介してなければならないわけで、そう考えると悪魔云々よりもソレを盲信してしまえる人のキャパシティの方が怖いとも思えるのだけれど、どうもそういう事でもないらしい。
この監督の頭はおかしいと思う。
…どんな感想やw
disってるわけではないが、褒め言葉でもない。発想の源からして俺には想像もつかなければ、理解もできないって事だ。
■追記
ああ、そうか。
序盤からの流れもそうだけど、あまり誇張表現を感じなかったのか。起こり得る範囲の事、説明できる範囲の事しか起きない。ホラーらしい表現がほぼなかった。
最後にガッツリと起こるくらいだ。
悪魔を引き合いに出さずとも、幻覚やら幻聴、精神異常と、ほぼ自身が起こし得る精神的な病に置き換えられてしまう。
人間の内側に向けた陰惨たる疑念を引きずりつつ観てたのか…何気に父親の目線で物語を観ていたのだな。
全く意識してなかった。