「何この物語…」ヘレディタリー 継承 maruさんの映画レビュー(感想・評価)
何この物語…
結論として、地獄の8人の王のうちの一人を受肉させたかった話…でしょうか。元々は祖母にいたけど、健康な若い男の肉体に再受肉させたというお話。
妻が暖炉の前で謎のノートを燃やし、夫が燃えたのは意味がわからなかった。母親の夢遊病は、祖母(に取り憑いている地獄の王の力の一端)による「操作」だったのかもしれない。教室で頭を打ち付けたのは、「さっさと体を渡せ!」と地獄の王が直接手を下したのかもしれない。
ラストシーン間近、亡霊が家を取り囲み、王の帰還?降臨?を待ち望んでいる様子にも伺える。
ただ、チャーリーが死ぬ必要性はあったのか。単に祖母に操作されやすいチャーリーだったのか。正直、ホラー映画好きに好評なのは、予備知識(ホラー映画を観ている経験・情報量)があるからそれに基づいて(あーこれはこういうことかー)(そういうパターンね)とか、ヒモづけて楽しめてるのだと思います。
ほぼほぼホラー映画初心者の見解では、家族内でその地獄の王は継承(ヘレディタリー)されるルールになっていて、母親は祖母に操られていた節がある。
しかし、子どもへの愛から、その母親が祖母の操りに抵抗していた様子も見える。結局、最後には乗っ取られてしまったが、母の愛は、長男を堕ろそうとしていた罪悪感を地獄の王に則られて、勝てなかった。という風に受けとった。
この家族に加わった、祖母の血を引かない夫は邪魔者として燃やされたくらい。これが一番かわいそう。日記燃やしたついでに燃やされた感がすごいかわいそう。
シンプルに怖いけれど、カルトという価値感に馴染みが薄いと、ちょっと楽しみづらい。しかし、映画の雰囲気やセットへのこだわりが随所に感じられます。このへんはミッド・サマーと同じ。
最後に、母親の職業(個展を開くとか言っていたのでたぶんアーティスト?)柄で、ミニチュアを作っていたのが気になりました。
おそらく「地獄の王の目線」を暗示していたのかなと。俯瞰で全体をみえている異形な存在の視点。事故現場を再現する狂気っぷりは、アーティストそのもの。
「家族」ではなく、「家族になろうとしている」人たちの物語に思えました。
ピーターに受肉してしまったが、この血筋で、この継承(ヘレディタリー)が終るのは、本当に「家族」になれる世代なのだろうなと思う。