「新しい恐怖」ヘレディタリー 継承 haさんの映画レビュー(感想・評価)
新しい恐怖
もともと気になっていた上にレビューでさらに興味を掻き立てられ観に行った映画。レビューでもある通り、ホラー特有の鼓動が速くなるような力任せの脅しが無く、ひたすら頭を使いながら物語を追っていくのが怖い作品。
霊感のある人は、昨日自分が寝た時の姿を第三者のように上から自分を見下ろして思い出す。という話があるように、この映画はミニチュアのドールハウスに迫っていって実際のグラハム家が暮らす家にピントが合いそこから始まる。まずそれで、この物語を他人事のように感じながら機械的な気分であまり感情移入せず観ることになる。それがもう気持ち悪い、すごく。
チャーリーの死から、アニーが取り乱し始めたところでジョーンに出逢う。ジョーンが霊を呼ぶ方法を教えるが、そのシーンで思っていたのと違うとガッカリした。ごく普通の生活の中で超常現象が起きるのかと思ったら、普通に故意に霊呼んでるじゃねえか、普通のホラーじゃねえか、結局オバケ頼りじゃねえかと1人でキリキリ。
が、それ以上のものが待っていて、初めてオバケより悪魔が怖いと思った。そもそもアニーがジョーンに教えられた霊を呼ぶ方法は故意に教えられたもので、全てピーターを手に入れる為の罠だったとわかる。オバケ頼りでもなんでもなかった。謝りたくなった。
これでもかというくらい全てが繋がっていて、これはホラーというより新しいジャンルであると思う。
最後にピーター以外の家族が死没。そして追い詰められたピーターが窓から飛び降り気を失ったところでペイモンが入る。そのあとペイモンが宿ったピーターが立ち上がって歩き始めるが、そのBGMが長調の、穏やかな幸せそうな何かを祝福するようなものでなんだかもうよくわからない気持ちになる。それも本当に全てがミスマッチで気持ちが悪い。
冒頭に記したように、海外のホラーらしい大きな音で脅かしたり、グロテスクな描写を多く含むわけではない。
それでいて常に恐怖を感じながら2時間一家を見続けさせるのが本当に上手くて素晴らしかった。内容をある程度把握してしまったら、ビクビクするような恐怖はあまり感じないと思うが、ストーリー性があったしこの空気感が好きなので伏線を辿りながらもう一度見たいと思う。
アレックスがかっこよすぎて困った。