「引張りすぎ」ヘレディタリー 継承 ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
引張りすぎ
向こうでは評価が高いそうだが、これ、下手でしょ?
●悪魔憑依映画はたくさんあるけど、話に意外性がない。「ローズマリーの赤ちゃん」みたいに展開のあるドラマがないのだ。ただただ悶々とした話が続いてサスペンスもないので退屈きわまりない。
●何にもないのに不気味な音楽と長回しでウンザリだった。前編そんなペースの場面ばかりでメリハリが効いてない。
●怖そうなカットが出ても長く見せ過ぎてインパクトがない。そもそもオリジナリティもなく、目を引くほど恐ろしい描写がない。
●降霊のシークエンスが中盤とは遅すぎる。ハッキリ言ってそれまで何も事件が起こってないの同じなんだから。思わせぶりな場面が続いても対して効果的な伏線になっていない。
●人物の心理描写もわかりずらい。妹を殺してそのまま帰ってくる兄が怖い。そんなはずはないと思いつつも、現実にはあるかもしれない。人間の内面の悪を描く作品だったら面白いだろうけど、このホラー作品には合っていない。ていうか本筋のテーマではないし、その後の人物描写に貢献していないんだ。自分の不注意で妹、殺したら学校にも行かずに部屋に引きこもるかも。自殺を考えるかも。なのに苦悩しながらも日常が戻りつつあるんだから気持ちわるい。
ホラーって日常との対比だと思う。登場人物自体が狂って見えるんだから効果がない。リンチみたいな作品なら別だが…ってそれを目指したのか?
●降霊シーンとか、空飛ぶ首なしとかギャグか?闇から飛び出してくる母親をものスゴイ反射神経で逃げるのは最も笑った。で、何で母親から逃げるの?海外のホラードッキリみたい。いきなりピエロが出てきて、逃げ出すとか。
作り手のとにかく変わった事をやりたいという下心が見えた。そのあたりのセンスが評価されているのだろうが、ホラーの職人だったら犯さない失敗をいくつもやっちゃってる。ダメだと思う。