「『BASTARD!!』にそんな奴いたなぁ・・・」ヘレディタリー 継承 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
『BASTARD!!』にそんな奴いたなぁ・・・
かなり色々なマスメディアで取り上げられているガッツリとした宗教ホラー映画である。キリスト教的、又はその兄弟達であるユダヤ教、イスラム教、その他のヨーロッパの土着宗教や、そこから派生する、神学者が創り出した悪魔学的発想がテーマとなっていると思えた。なので、今作は、観ていて思ったのは多分、アジア系人種には背景がピンと来ないであろうと言うのが正直な意見である。
勿論、そんなテーマやコンセプトを知らなくても、普通に恐怖を感じることは出来るし、とにかく首がすっ飛ぶシーンの目白押しだ。
そしてその首も又、今作の最大のテーマである、悪魔ペイモンに由来しているという作りはなかなか面白い構成である。
それぞれの怪奇現象がきちんと回収されるところも親切だし、その辺りの丁寧さは有難い。久しぶりに劇場内で女性観客の悲鳴を聞けたのも新鮮だったw 妹の不気味な顔といい、兄のムロツヨシっ振りといい、父親の影の薄さといい、なかなかキャラが際立っているキャストだが、やはり母親の顔芸が今作の恐怖を何倍にも際立たせるオーバーアクションで、その演技に拍手を送りたい。
どこかで聴いたことがある、エンドロール中の劇伴である『Both sides now』の、もの悲しいカントリーミュージックも又、惨劇に対する鎮魂歌のようで、心に強く残る曲である。劇中の多くのアイデアは、今までの使い回しの感は否めず、“こっくりさん”なんてJAPANホラーも要素も入っていたり、しかし光のハレーションを巧く盛り込んだりと、その努力自体は充分認められる内容である。
昼夜の切り替えをカット割りで見せる等の視覚演出も唸らせる効果だ。
欧米では相当受容れられる西洋ホラーとして完成品だと感じる仕上がりだと、しっかり認識できた作品である。