「珍しい現地採取によるミャンマー民族音楽録音の活動を軸にしたドキュメ...」MANDALAY STAR ミャンマー民族音楽への旅 tamaco pさんの映画レビュー(感想・評価)
珍しい現地採取によるミャンマー民族音楽録音の活動を軸にしたドキュメ...
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珍しい現地採取によるミャンマー民族音楽録音の活動を軸にしたドキュメンタリー第二弾。
前作は消えゆく伝統音楽の正統な記録を目指す、大学の専門家や一流奏者を交えた一大プロジェクトの記録だった。
今回は多少趣を変え、村々の祭りを渡り歩いて余興を披露する旅芸人一座を追ったロードムービーとなっている。
村の祭りには夜を徹して音楽や歌を楽しむショーがつきものであるらしい。寄席か公民館のような小屋に集まった老若男女の誰もが輝くような笑顔で熱中する中、伝統音楽のエッセンスをふんだんに盛り込んだ歌謡曲や、超絶技巧の民族楽器演奏、合間にはどつき漫才のようなお笑いもあり、会場は熱気に満ちている。延々と激しく高揚していく音楽の興奮は半端ではない。
映し出されていたのは消えゆく伝統音楽ではなく、まさに今市井の人々の中に息づく生きた民族音楽だった。
主人公の一座の花形少女がチャーミングで、数年に渡る取材で成長がみられるのも愛おしい。
取材側の紹介やナレーションなどがなく、あえて一人称のテロップのみで旅の行程を追いながら路地を分け入ってゆく映像の仕掛けが、観客をして取材者の目となり耳となり現地の空気を肌で感じさせる効果を生んでいるように思う。
西洋風の現代文化と根強い土着文化が綯交ぜになっているのは日本も同じ。遠い国のことながら、蒸し暑いアジアの風を共有しているような不思議なシンパシーを感じた。小品ながらやさしい気持ちを持ち帰ることのできる映画だ。
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