「再びのミャンマー幻想」MANDALAY STAR ミャンマー民族音楽への旅 arbosさんの映画レビュー(感想・評価)
再びのミャンマー幻想
前作『BEAUTY OF TRADITION』 では、馴染みのないミャンマー伝統音楽が、超絶技巧で演奏される様子が、臨場感ある映像で記録されていた。そして、伝統文化としてアカデミーで温存されている伝統音楽と比して、ミャンマー社会が急激な変化に飲み込まれていくに連れ、やがて消えてしまうであろう、ヤンゴンの泥と水に塗れた路地が優しくも切ない。旅心はあっても、現状、南国の一人旅など難しい。機会があれば、また劇場であの光景を目にしたい…と思っていたら、続編がレイトショーで公開されていた!
期待通り、第二作『MANDALEY STAR』もミャンマーの道から始まる。だが、「旅するまなざし」が探し出した音楽は、「伝統音楽」というカテゴリーで公に保護されたものとは毛色が違い、ピューという薄紅色の蓮の花のような少女が、急逝した父に変わって率いる「旅芸人」の一座だった。使用する楽器こそミャンマーの伝統的なものだが、方々の村の祭りを回って長時間の演奏をする彼らの演目は、流行りのミャンマー歌謡もあり、漫才やコントの幕間もあり、時には猥雑。でも、そこにあるのは、祭りの高揚を待ち望んでいた人々のために、絶えることなく紡がれる音楽。
やがて、無数の電飾で飾られた、村祭りの仮設劇場が朝とともに露と消え、夢のように映画は終わった…。
しかし、スマホ画面で微笑む「奇跡の仏像」というのは何かの伏線だったのか、ただ、少女のお守りとして、純朴な信仰心を表すアイコンだったのかが、なんだか気になった。そして、音楽って何だろう?…と、ミャンマーの旅は未だ未だ続きそうな気がする。
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