劇場公開日 2018年9月7日

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「障がいがあろうがなかろうが」500ページの夢の束 うにたん♪(コロナが当たり前の世界)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0障がいがあろうがなかろうが

2020年9月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

苦手な事はある…そう思った。
面会にきた姉にウェンディの要求が噴き出すシーンで

家に帰りたい。
ここでは脚本が書けない。
赤ちゃんの世話も出来る。
自分の世話だって出来る。

彼女は出来るようにと彼女なりに努力を重ねてきた。
我慢しながらだ。

それは所謂健常者でも同じだ。
やりたいことと実現可能な事が解離しているのは、誰だって同じ。

そう言う意味ではウェンディの要求は自然に出るものだ。
だが受け入れられない姉オードリーの気持ちも分かる。
判断力、見当識、どうしても不安を感じる共生となってしまう。
勿論、強い愛情はあるのだが、それだけで拭える不安ではないのだ。

施設のスタッフスコッティも“クセ”のある入所者の生きる場所や社会で生きる力を育てている。ただ、ひとりひとりに完全なフォローなど出来る筈もない。
施設を飛び出したウェンディを探しにいくが、ウェンディの脚本を読んでおらず、息子に呆れられる。

この作品は障がいへの理解を描いている訳ではないと思いたい。
誰だって苦手な事がある。
発達障がいがあり単独生活すら危うい人でも、そうでない人でも、苦手でやりたくない事はある。

それを乗り越える為に努力したり、夢中になったものに励まされながら前進するのだ。

終盤の“外国語”を話すお巡りさんにはニヤニヤが止まらなかった。
オタクの共通言語は強力(笑)
カバンのマークを見てクリンゴン語が飛び出すとは、横にいたガサツな女性警官とは対照的だった。
でも好きなものが支えになるって素晴らしい。

目的のパラマウントへ入り込み、「わたしを知ってる?」と啖呵を切り、信号無視しながら帰ってきたウェンディの笑顔は良かった。

誰もが幸せになりたい…度を越えた幸せでなくていい…。
優しいラストに物事の解決は求めないがそう思える作品だった。

うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)