「そこまでダメではないのだが…」GODZILLA 星を喰う者 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
そこまでダメではないのだが…
三部作なので最後まで見届けねば!と、酷評にさらされているのは承知の上で鑑賞してきました。
本シリーズのゴジラの造形はあまり好みではないものの、そのスケール感と迫力は本作でも圧巻で、文句のつけようもなかったです。加えて、神秘的な姿で描かれたギドラの登場も、期待値を高めてくれました。
ストーリーに目をやれば、冒頭のやりとりで、もはや忘れかけていた前2作の内容を思い出させてくれたのはありがたかったし、その後の論理展開も、「なるほどそういう考え方もあるか」「それに基づいてのメトフィエスの描いたシナリオだったか」と聞き入ってしまいました。また、ここまでの伏線を回収するような展開に、ゴジラの原点とも言えるメッセージも込められていて、なかなかおもしろかったとも思います。
しかし、それでも酷評したくなる気持ちはよくわかります。
まずは冒頭からだらだらと続く、小難しい論理展開。そこまで理解不能ではないものの、いや待て待て、これゴジラですよね?怪獣映画ですよね?宗教映画じゃないですよね? こんな哲学的な押し問答が見たいわけじゃないんですよ!とツッコまずにはいられませんでした。
しかも、この段階でゴジラはまだ何もしていなくて、もはや何の映画を見に来たのか忘れかけていた頃、やっとギドラと接触!さあ、いよいよ…と思いつつも、期待したようなバトルは見られませんでした。せめてもの救いは、一応ギドラが姿を現したことぐらいです。ギドラシティとかじゃなくて本当によかったです。
そして何よりの不満は、主役がゴジラではなくハルオだったということです。ハルオが重要な役どころなのはいいし、ハルオの目や思考を通して展開していくのも全く問題ありません。しかし、それはあくまでゴジラを描くためであって、ハルオを描いてほしいわけではありません。登場人物に哲学的というか観念的な言葉を語らせるだけの展開は、映画というよりラジオドラマです。
こんなに複雑な話にしなければ、ゴジラのビジュアルとストレートなメッセージで、もっとシンプルでおもしろい作品になったのではないかと残念な気持ちで劇場をあとにしました。