「詰め込み過ぎ感」GODZILLA 星を喰う者 よもぎさんの映画レビュー(感想・評価)
詰め込み過ぎ感
アニメ版ゴジラ最終章。
約1年、3度の上映時間をかけて描かれた本作の結末や如何に
前作『決戦機動増殖都市』にて人類側の科学技術による対抗手段はほぼ壊滅。ゴジラシリーズに於ける最強怪獣の一角である『ギドラ』の登場も示唆され、地球の守護神モスラも一応残っているという状況。
最早ゴジラを倒すには他力本願寺しか術が無いと思われますが果たしてどうなるのか…と思いながら封切を待ちわびていました。
結末の前にどうしても個人的に本作で納得がいかないのがビルサルドの扱い。
開幕から母船アラトラム号では前作ラストのハルオの行動に対してビルサルド人と地球人が対立。
ビルサルド人はその境遇から徹底的に合理的な思考と肉体にならざるを得なかった種族であり、感情や感性は決断をする上で考慮されない、が、そういったものへの一定の理解は有り、尊重もしている種族だと思っていました。
作中で自信の意見が受け入れられないからと船内作業をボイコットし、動力システムを乗っ取って脅迫紛いの事をするドルドと、小説・怪獣黙示録で地球人の文化に理解と敬意、かすかな憧れのようなものを感じさせていたドルドは同姓同名の別人なのでしょうか。
小説版のあの描写があったからこそ、前作で強引にナノメタルへ融合させようとしていた描写を見ても『どうしても埋められなかった価値観の違いであり、どちらが悪いとかいう話ではない』として受け取る事が出来たのですが、今作のビルサルドは完全に小悪党です。ビルサルド好きとしては非常に不服です。
そして、母船がそんな不毛な喧嘩をしている間に地上では唐突なヒロイン枠争奪戦が繰り広げられます。
・エントリーナンバー1:ユウコ・タニ
ヒロイン枠に於いて最強の一角・幼馴染属性の使い手でありながらも本作では一言も喋らないスリーピングビューティ。舞台挨拶が本番。声優にギャラは出ているのか?
・エントリーナンバー2:ミアナ
フツアの双子の妹の方。双子で妹というこれまた強アビリティを備え、しかも初期値の段階から友好値が高いという好条件。
そのうえ好奇心旺盛の属性も持つため、教えれば色々やってくれそう…と思ってたら自分からやろうとしてきて子連れ客の親御さんにブリザード。
終盤には拉致られ属性まで発揮してヒロイン力を高めるも救出シーンはカットされる残念仕様。
主人公に(物理的に)食べられたが夢だったのでセーフ。
・エントリーナンバー3:マイナ
フツアの双子の姉の方。前作ではツンツンしていたので「これはデレる!」という大きな視聴者の期待に見事応えるツンデレの鑑。そして子連れ客ブレイカー。
全裸に毛布で主人公と一緒に眠り、「昨晩はお楽しみでしたね」と冗談で言おうと思ったら本当に致してしまっておりボテ腹まで晒す勇者。ビジュアル的にかなり児ポっていそうだが年齢不詳なので大丈夫(なのか?)
・エントリーナンバー4:メトフィエス
幼少の頃からハルオに目をつけ、20年以上の時間をかけて自分好みに仕込んで来た豪の者。期間的にはユウコ並に幼馴染(ハルオ視点)でもあり、終盤には邪眼を獲得。ハルオの育ての親の記憶を自分に差し替える等の細工も行うが守護神様の力を借りた他候補の介入により破綻し、振られる。しかしハルオの精神に自身の存在を強く刻み込む事には成功したと言える。
以上の候補4名によるトーナメントの結果、双子姉妹対決では前作までの下馬評を覆して姉マイナが勝ち上がる。孕まされた時点で勝ち確かと思いきや、メトフィエスの途中退場によって不戦勝を果たしたユウコがマーティン博士のサポートを得てハルオの精神ゲージを削る削る。最期はハルオに心中を決意させる等、自身の存在の大きさをアピール。
しかしマイナもお腹の子を立派に育て上げ、孫まで得るなど良妻っぷりをアピール。これは…うーん、視聴者の判定次第ですね。
個人的にはマイナに一票を投じたいところですが、続編が出来ればハルオとマイナの息子・ハルオミ(宮野氏命名)と、一児の母となったマイナも描かれるでしょうからポイントの上積みに期待しましょう。
ヒロイン対決が行われる裏ではアニメ版ゴジラのラスボスとも言うべき超常生命体ギドラがついに顕現。開幕からブラックホールを通って登場し、時間の流れをハチャメチャにすると言う半端無い存在感。地球へ降りる際も重力をハチャメチャにしながら登場し、いざゴジラVSキングギドラ開幕。
別次元に存在したまま一方的にこちらの空間へ攻撃出来るという、ゴジラの非対称性シールド以上の完全無敵状態のギドラを相手にゴジラは為す術無し。1章と2章でゴジラの強大さをじっくり描いていたため、そのゴジラが手も足も出ないギドラのヤバさが良く分かります。
ゴジラの荷電粒子ビームを空間歪曲によって逸らし、メカゴジラシティを融解させた超高熱波攻撃は熱エネルギーを別次元へ飛ばして対処する等、時空を自由自在に操る厨二設定満載で設定厨の私は結構満足しています。
時間内に倒せるのか不安でしたが、マーティン博士の閃きによる対処方はまぁそれなりに納得の行くもので、「こちらの物理法則に引きずり込まれる」という表現もカッコよかったです。
しかしギドラ様さぁ、無敵時間終わったら無抵抗でやられるってのはちょっとヤル気無いんじゃないですか?
というか無敵時間中も荷電粒子ビーム逸らした後はカプっと噛みついて何かエネルギー吸ってるっぽい状態のままほぼ動き無しという地味な絵面でしたし、超常的な存在の割に攻撃方法が地味というか…。引力光線忘れちゃった?痛いのは嫌だから防御力に極振りしますとかそういうアレなんでしょうか。
結果的にはゴジラは生存、人類側は母船壊滅、地上組のビルサルドは前作で全員機界昇華済み、エクシフも退場となり、生き残った僅かな地球人はフツアの民の一員として暮らす事に。まぁ、現実的と言えば現実的なラストなんですが、やはり「こんなんどうやって倒すんだよ…」ってレベルに大スケールで描かれたゴジラを「結局倒せませんでした」で終わるというのはスッキリしませんね。
どうせなら4部構成にしてフツアの民と親交を深めた地球人の閃き(主にマーティン博士)によってモスラ復活、ゴジラ撃破!…までは行かなくても活動停止くらいにまで持っていければスッキリしたんですが。
最初から着地点を決めて作られた作品でしょうから、このラストは作家の予定通りでしょうし、作家の個性や感性は尊重したいと思いますけど、最低限最後は勝って終わって欲しかったですね。
ラストの自爆特攻を抽象的に「勝ち」と捉えるのかもしれませんが、そういうのでなく具体的に勝って終わって欲しかったです。
結末には不満は残りましたが、アニメ版という事で実写ベースでは描けないようなスケールの大きい世界で【ゴジラ】を描けたのは大きいと思います。
続編はまだ監督の脳内妄想レベルらしいので作られるかどうかもわかりませんが、もし作られたら絶対観に行くと思います。
>>おじゃるさん
母船が撃沈するまでの管制室の緊迫感と絶望感はヤバかったですね。
それ故に無敵時間切れたあとの「あ、もう無理っす」って言わんばかりの弱弱しさが何とも…。1年間引っ張った作品の最終決戦なんですからもうちょっと盛り上げるファンサービスをしてほしかったですね。
自分もギドラの描写はすごく好きです
「私達…もう死んでる?」のセリフは最高でした
逆に言えばそこまででした
あのめちゃくちゃなチート生物をどうやって倒すかでワクワクしたんですけど、とんだ軟弱ヤローでしたね
ギドラの本体は出てきてないそうなので、続編で倒すのを楽しみに待っていましょう
ハルオミくん、あとは頼んだ(笑)