「分かったのはクイーンの凄さ」ボヘミアン・ラプソディ masakingさんの映画レビュー(感想・評価)
分かったのはクイーンの凄さ
1年近く前だったか、映画館で予告を観たときには、単純にクイーンの音楽にどっぷりと浸る楽しみを期待した。
ここ1か月の間に、ほぼ社会現象と言っても過言ではないほどの騒ぎになり、その熱狂ぶりに若干の違和感を覚えつつ、クリスマスイブの夜に遅まきながら映画館へと足を運んだ。
観て感じたことは、クイーンは凄い!の一言。
いっぽうで、フレディー・マーキュリーの人物像には若干の違和感を覚えた。
彼はあそこまで尊大な人間だったのかな。もう少し思慮深くて、心が広い人物だったと思うのだけれど。
それにあの入れ歯。あきらかに発音に影響を与えていて、途中で何度も明石家さんまの真似をしている原口あきまさを連想し、興ざめしてしまいそうになった。
圧巻と評判のライブエイドのシーンは、忠実に再現したのだろうけれども、YouTubeで視聴できる本物を観たほうがいい。フレディーの人物造形に対する違和感が、あのステージの再現にも色濃く表れているように思う。
尾崎豊の歌をうたう尾崎豆(分からないかな〜)のようなのだ。
映画としては普通の出来だと思うが、クイーンの音楽はフレディーの性的嗜好とその葛藤だけでは語れない深さがある。
クイーンの音楽は、彼ら四人の関係性と人間性の結晶なのだ。
圧倒的な楽曲と、映画の微妙なチープさが、不思議なギャップを生んで、決してつまらなくはないのだけれど、映画として名作かと言われると、そうでもない感想である。
とにかく、音楽とフレディー本人の人間としての魅力に、虚構の世界がかなわなかった。それに尽きる。