「Fredyのボーカルがこだまする」ボヘミアン・ラプソディ kimmyさんの映画レビュー(感想・評価)
Fredyのボーカルがこだまする
Queen現役世代に生きていながら、当時はしっかり聞いていなかったことを少し後悔した。ボヘミアンラプソディーは、ロックオペラという奇妙な分野、難解な歌詞、くるくる変わる曲調に当時は戸惑ったがみなさんも同じように戸惑っていたことがわかり、何十年来の心の引っ掛かりが溶けた。ライブエイドとか、USA for AFRICAとかが大盛り上がりだったことを思い出した。
ドラムスが歯科大生ということにびっくりした。
ヒゲと短髪はゲイの符号らしいということも初めて知った。
バンドメンバーとの確執、葛藤がうまく表現されていた。特に印象深かったシーンは、フレディがCBSとソロ契約をしたあと、もとのメンバーに戻ってきて頭を下げるところ。
「新メンバーは文句を言わない。ニコニコ笑って喧嘩もなければ衝突もない。従順で言いなりなだけ。俺にはみんなが必要なことがわかった。」というセリフ。いればいれたで、アルバムの収録順やシングルのB面、ギャラやツアーのことで衝突ばかりでうんざりするくせに、やはりメンバーの元に戻って来た姿勢に本当の仲間のあり方を認識した。
ゲイであることを包み隠さず描いていたが、「こうやって同好の士を漁るのか」と思った。が、昔恩師に言われた「彼らを笑ってはいけない。彼らはその体を選ぶことができなかった。望んでその体に生まれて来たのではないのだから、たまたま普通の男性に生まれて来たに過ぎないお前に彼らを笑う資格はない。」という言葉を思い出した。昨今、LGBTという考え方が浸透して来たが、バイセクシャルの人たちのこういう苦悩があってこそだと思う。
最後の20分はライブ会場にいるかのような一体感があった。政治や国や宗教や民族でまとまれなくても、音楽の力で、我々は一つになれることを痛感した。
ゲイとしての苦悩とバンドリーダーとしての苦悩が上手く描かれた秀作。
脚本3点 演出5点 音楽5点 映像4点 総合評価4点 (5点満点)
恩師の言葉ステキですね。
他のレビューを拝見すると、フレディ氏の実物とは違う脚色がしてあったようですが、
映画の中での、心はメアリーをあれほど求めているにもかかわらず、
体は男を求めてしまうフレディの苦しさが切なくて、
心も体も自分でコントロールできない人の苦しさが伝わってくるようでした。
自分で選べたら楽だったろうに。
ま、心も体も異性を求めても、自分が求める相手が自分を求めてくれるかというのは、必ずしも一致していないので、やはり”愛”はどちらにしても難しいですね。
異性同士のフリーセックスや、セフレという言葉、セックス産業も盛んなのだから、同性愛の方だけが、ああいう乱キチパーティをやっているとは思えないし、同性愛の方でもお互いを掛貝のない存在として生きる方もいらっしゃいますし。
だからこそ、あのパーティの夜のジム・ハットン氏の言葉が染み渡りました。あの映画の中でのあの時点のフレディって、本当に空っぽだったんだなと。だからこそ、仕事とパーティで埋めなければならなかった。でもそんなことを繰り返しても埋められなかった。史実としてはツッコミどころ一杯なのかもしれませんが、こんなところの心理描写がうまい。そしてあのラストに一気につながる。だからこの映画は皆の心をつかんで離さないのだと思います。
恩師の方の言葉が素敵すぎて、ついコメントしてしまいました。失礼しました。
>>が、昔恩師に言われた「彼らを笑ってはいけない。彼らはその体を選ぶことができなかった。望んでその体に生まれて来たのではないのだから、たまたま普通の男性に生まれて来たに過ぎないお前に彼らを笑う資格はない。」という言葉を思い出した。昨今、LGBTという考え方が浸透して来たが、バイセクシャルの人たちのこういう苦悩があってこそだと思う。
ありがとうございます、勉強になりました。
正直、ゲイの男性同士のキスシーンは不快で、受け入れる気持ちにはどうしてもなれませんでした。
嗤うつもりはもとよりありませんが、異なる価値観をどのように受け止め、受け入れるかについて、あらためて考えされられたところでしたので、、
「難しい問題」であることを、避けてはいけないと思っています。
世間の主だった評判とは別に、本当に、考えさせられる映画だったなと思いました。