「かっこよくてガツンとくる素晴らしい映画」ボヘミアン・ラプソディ 鯨さんの映画レビュー(感想・評価)
かっこよくてガツンとくる素晴らしい映画
最近のいい映画の傾向として、オープニングからかっこよくてガツンとくる、というのがある(グレイテスト・ショーマンも、脚本はともかくオープニングとか挿入歌は良かったし、キングスマンもオープニングから手を抜いてない感)
クイーンについて全く知識ないけど、
ボーカルがレオタードの人?曲は知ってる!
レベルの私が、途中画面が揺れて見れないくらい泣いた。
私にとって、ママ〜のあの曲は、グッチ裕三(ハッチポッチステーションで替え歌してた)のイメージが根強く残っていまして…。
ともあれ起承転結がきっちりと脚本として作られてる映画なので、笑いもあり泣きもあり、切なさもあり、見た後には自分の中が満たされた感が強く残る。
フレディの若い頃は、峯田和伸に似ていて、スタイリッシュじゃない田舎者感が溢れる感じで(そもそも売れてからもスタイリッシュさとはかけ離れている感じはあるんだけど)、
そこからスターにのぼっていく姿、天狗になっていく姿、堕ちていく姿、また再起する姿が見られる。
フレディを取り巻くメンバーも、喧嘩したり仲良くしたり離れたり、
でもフレディが思っているよりも、フレディにはメンバーが必要で、メンバーは家族であるとフレディが気づくまでを丁寧に描いてある。
そこに気づかせるメアリーとも、ファーストコンタクトのフレディの奥手感もかわいくて、プロポーズの場面もすごくいい。
表現力が少なくて、素晴らしいのにうまく表せないのが悔しいと思うくらい。
特に、メアリーとの場面は、生々しいはずのシーンが、幸せな空気感に変わるあのプロポーズのシーンがすごい。
歯が出てるから、もごもごした演技がものすごく自然で、パカっと出てくるリングケースがなんだか家庭的な温かみがあって、、
それに対応するメアリーも、その後のメンバーたちのいつも通り感も!
メアリーとの関係も、すれ違っていく場面が切なくて、どんどん1人に、孤独になっていくフレディがつらくて、涙が止まらなかった。
最後はフレディの死がテロップされるけど、そこにあるのは悲しさだけではなくて、やり遂げた!っていう達成感がある。
フレディは、孤独ではあったかもしれないけど、1人じゃなかった(ジムがいてもいなくても)。
ライブのシーンはもう終わらないでー!!!って思うくらい。前知識で20分くらいというのはわかっていたので、もうこの曲で終わり?!まだあるよね?!って気持ちで聞いていた。
歌詞とフレディのそれまでとのシンクロでまた泣ける。
メンバーとの関係も、自分の家族との関係も、メアリーとの関係も、それからジムや、クビにしてきた人たちとの関係も、いろんなことにきちんと収束がついて、きちんと終わる。
フレディが歌うクイーンの歌が、本家と比べて上手いとか下手とか違うとか、原曲を知らない私にはわからないけれど、
エンターテイメントとして素晴らしいと思うし、リリーのすべてのようなままならなさや切なさもあって、ハンカチなしでは見ないでほしい作品。
あまりにも泣いて冷静に映画を見られなかったので、またあと2回くらい見たい。
いつも映画が終わったらあそこがどーだとかこーだったらとか文句たらたらの私が、文句なしに★★★★★をつけたいと思う。