「スクリーンから溢れ出す男の生き様に、心が震える。」熱狂宣言 shironさんの映画レビュー(感想・評価)
スクリーンから溢れ出す男の生き様に、心が震える。
“刺激を受けた人物を伝える事で、観客の心を震わせたい”そんな奥山監督の思いが詰まった映画で、私の心はおおいに震えました。
「大変な病気で可愛そう」とか「病気なのに頑張ってて偉い」なんて、1ミリも感じさせない骨太さ。
ただただ、松村という男の生き様を浴びました。
刺激的で魅力的な男。
オシャレでいたずらっ子でロマンチスト。
人々のハレの日を演出する外食界の革命児は、きっと根っから人を驚かせたり喜ばせたりする事が好きなのでしょう。
自分の周りの人に対しても、その日が特別で印象深い1日になるように、サプライズを仕掛ける。
「最後が大切なのに…」思うようにならない苛立ちの中に、病気に甘えない姿勢と、人を大切にする愛情の深さを感じました。
「よさこい祭り」のシーンが圧巻。ほとんど社長の姿が無いにもかかわらず、彼の故郷への想いが痛いほど伝わってきて、自然と涙が溢れてきました。
若い頃は四国出身だという事を隠していたのに、何年か前から故郷を応援する立場になっていたという松村社長。
年代が近いからか、その心境の変化に、ものすごく共感しました。
若い頃はちっとも魅力を感じなかった故郷の風景。むしろ嫌っていた筈なのに、気がつくと似た風景を探している…つまりは年を取ったって事ですかね?
音楽のセンスがいちいち良い!
ナレーション演出を排除している分、音楽が多くを物語っていると感じました。
一番好きなのは、カウンター割烹のシーンの選曲。
逆に無音も効果的で、キーボードを打つ音だけの緊張感は、彼の内なる思いに引き込まれました。
エンディングも素敵で、木下航志さんがどのようにしてこの映画に関わったのかも知りたいです。
ラスト、花嫁をエスコートする後ろ姿にもやられました。左手に男の愛が溢れている(T ^ T)
チームオクヤマの『フリーシネマプロジェクト』次回作も目が離せないです。
#熱狂宣言