たった一度の歌 劇場公開日:2018年8月24日
解説 埼玉県本庄市を舞台に、人生の後半戦を迎え、ままならない人生に対するあきらめや、とうの昔に封印した夢、かつての友情への戸惑いなど、さまざまな感情を抱いた人々の姿を、4人の人物の視点から描いた物語。市役所に勤める肇は、桜祭りの準備に追われていた。祭り当日は、町の出身の大物歌手・後藤田を迎え、地元の青年合唱団とジョイントライブを行う予定でいた。そんな祭りの前日、肇のかつての親友で、後藤田のモノマネ歌手として細々と生活している紀彦が、町に帰ってくるのだが……。映画の中で重要な役割を担う劇中歌を、シンガーソングライターの川江美奈子、中西圭三らが手がけた。出演は高橋和也、岡田浩暉、小林綾子ら。高橋は1人2役を担当。
2018年製作/104分/G/日本 配給:TBSビジョン
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2018年9月4日
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鑑賞方法:映画館
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★ネタバレ有りです、ご注意を★ 埼玉県本庄市が舞台の、人生に疲れたアラフィフ男性2人の泣いたり笑ったりな物語です。 故郷に戻るなり無銭飲食する紀彦は『あんた、いい歳の男ダロっ?夢ばかり見てないで安定職に就きなさい』と叱りたくなる位に自由奔放な男。 でも私は夢見る男って嫌いじゃあないです。 だって夢を忘れたら、肇のように無気力な男になってしまうから。 安定職ではあるけど、後藤田との仕事にストレスと不満をかかえバツイチで夢も忘れた肇の所に、紀彦が数十年ぶりに現れた。 そして2人は青春時代の夢を思い出して行く。 紀彦は数十年前『2人で見た夢、俺が必ず叶えてやる』という感じで上京したものの、都会で挫折やツラい事があり。 それであの頃2人で居るだけで最高だった親友の肇に会いに故郷に戻って来て、2人の夢を取り戻そうと奮闘する。 ツラかったり挫折したりすると、ガムシャラに明日を見つめながらバカやって楽しかったあの頃に戻りたいって願いますものね。 紀彦がおちゃらけてるのは、ツラい顔を肇に見せたくないからなのかも。 肇が紀彦に贈った『永遠の川』を、肇も紀彦も知らず知らずに今までずっと口ずさんでいたのではないでしょうか。 夢を諦めなかった2人のその強さが、ささやかな形でだけど夢を叶えることになるのでしょう。 後藤田は他人に攻撃的な言葉ばかり吐き出して悪い人に見えるけど、実はそうでもないのかな。 攻撃的なのは、弱い自分を守る為なのかな。 紀彦の後藤田のモノマネがどのくらい似てるのかを知りたかったので、本物の後藤田が歌う場面も見たかったな。 肇は元の奥さんをイベントに呼ぶくらいだから、やり直したい気持ちがあるのでしょうね。 結局元サヤに戻れたのかな? もしもですよ仮に、最後の場面で肇の家の玄関に『(ピンポーン)こんにちは(元の奥さんの声だけ)』と聞こえた所で終わってたら、『お?元サヤでめでたしめでたしかー?!』ってハッピーな余韻が残せたかも。 ラストシーンの、身体に爆弾をかかえてどこかに去る紀彦の後ろ姿が目に焼き付いてます。 彼はこれからどこに行くのでしょう。 戻れない道を急がないで欲しい、最良の道を見つけて欲しい。 人は歳や環境とともに変わらざるを得ないけど、桜や川は変わらずに永遠に、すべての人を平等に愛して見守ってくれる。 だから辛くても、勇気を持って前に一歩踏み出そうよ。 ----- 私は映画館だと必ず眠くなるのですが、この映画観賞中は自分がスクリーンの中に入り込んでる感覚で感情移入して、ずっと百面相しっ放しでした。 『永遠の川』『LIFE』ホントに良い歌で頭の中をエンドレスで流れてます。 つい人前でも口ずさんでしまい、周りの人に「ソレなんて歌?」『これはね、‥』「へぇ、頭を離れない歌だよね。川よぉー♪」と宣伝して伝染して行くと言う良循環。 高橋さんも岡田さんも、歌が本当に素敵なので‥思わず目を閉じて聴き入ってしまいます。 その上にイケメソで芝居も上手いなんて、天は何物与えたの? 特に1人で何役も演じ分けてる高橋和也さん、、天才!です。 映画を観た数週間後、映画のモデルになった農業合唱団「ナレッジ・ステープル・シンガーズ」のイベントに行き生の歌声を聴いて来ました。 本庄市出身のシンガーソングライター・力山哲也さんがサプリーダーだったんですね! リッキーさんの歌は何回もイベントで聴いてますが、心に染み入る優しい歌声です。 皆さん、生き生きとキラキラと歌っていました。 観て聴いてるだけでも、チカラを頂けました。 映画のモデルになるのがうなづけます。 ----- クライマックスシーンには、近くの席の男性から鼻をすする音が聞こえました。 大の男が男泣きしてしまう位に、もちろん老若男女も感動できて、そして、胸に愛を刻まれる映画です。 私は後悔しています、一回しか観なかった事を。何回も観れば良かったー! お台場近辺の方は(現在9/4の0:01なので)9/6まであと3回も観られるなんて羨ましい。 ぜひ!全国で上映されますように。 そして全国の皆さんが感動できますように。
2018年8月27日
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鑑賞方法:映画館
映画の始まりの、生命の力に溢れた高橋和也演じる紀彦の歌声は、その声に込められた思いが強く観るものに伝わる。 音楽は無形である。 形に残らない。 しかし心にはずっと生き続けている。 そこにそのメロディが実際耳に入り込み流れていなくても、思い出すたびに鮮明にそのメロディと歌声、息遣いさえを感じることができる。 若き情熱は歳を重ねても冷めないもの だが、多くの既成概念のせいで、 人間は歳相応の生き方をしなければならないと思ってしまう。 それが邪魔をして自分の生きたい生き方ができない人もいる。 しかし、ふと訪れた心踊る瞬間、または逆に、目を背けたくなる現実、過去に一瞬にして戻れるような出来事をきっかけに、人間は自分らしさを取り戻していく。 この映画は夢と挫折と再生がテーマである。 人間の普遍のテーマを美しい田園風景や変化し続ける川の流れが優しく包み込んでいる。 夢を追い続ける者、 夢の途中で自問しながら前向きに生きる者、 なんら変わりのない日常の中で、 新しい形で夢を応援する者、 過去の呪縛に捕らわれ続ける者、 そんな男たちがそれぞれの道を切り開いてまた歩き始める物語だ。 注目すべきは、物語は4人の男の視点で描かれていること。 何度も戻る時間の中に、登場人物の深い心情が、演じる俳優陣の表情や声に明確にそして自然に現れている。 「こういうことだったのか」 という明朗な驚きやシンパシーが、 何度も伝わり心に響く。 さらに彼らの人生に共通するのが 音楽なのだ。 コードチェンジの弦の音、 囁くように歌い出す声、 人生の縮図を彷彿とさせる 魂に満ち溢れた声、 鳥のさえずりの如く軽快な、 またしっかりと地面を張り巡らす 根の如く深く重厚な混声、 川のせせらぎのような鍵盤の音、 全てはそれぞれの人生を 美しく彩る音楽なのだ。
2018年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
人生後半戦に入った男たちの哀愁、疲れ、真面目さ、ガキさ、臆病さ、全てがツボりました。キャストも男闘呼組とTo be continuedと、若い頃は歌で頑張ってて続かなかったことを知ってる世代は感動もひとしおかと。クライマックスで歌う歌もなんかとっても懐かしいんです。CD売れてるらしいですがその理由がわかりました。高橋和也の二役も圧巻です。大人のための見応えある音楽映画、何でお台場でしかやってないの?
残念ながらまだ観ることが出来ていません。まだ公開は関東の一部と東京お台場だけです。全国の映画ファンや音楽ファンが劇場での公開を待っています。