「キング作品にありがちなホラーとヒューマン系の話がごっちゃになったメリハリのない作品」1922 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0キング作品にありがちなホラーとヒューマン系の話がごっちゃになったメリハリのない作品

2023年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

スティーブン・キングの小説の魅力は何と言ってもその語り口にあり、つまらないこと、不自然なことでも、彼にかかったらとてつもなく面白く感じてしまう。
逆にその文章を除いてしまうと、ストーリーの強引さやキャラクターの退屈さが見えてきて、威光が消えた後に残るのは無残な残骸の山ということになりかねない。

キング原作映画に当たり外れが多いのも、恐らくこんなところに理由があるのだろう。個人的には1986年の"It"辺りから面白くなくなってきて読むのを止めた。本作の原作は2010年発表の中編小説で、小生は読んでいない。

予備知識なしに見始めると、どうやらこれは女房殺しをした男が転落していく話だが、その後、幽霊が出てきたり、ネズミが出てきたり、不運の連続による落魄があったりして、ホラーなのか教訓譚なのかよくわからないまま何となく最後までたどり着き、ようやく「なるほど。キングの中期以降によくあるホラーとヒューマン系の話がごっちゃになったメリハリのない作品なのか」と理解できる。

中途半端な話を中途半端なまま忠実に描いたからだろう、まったく怖くも恐ろしくもないw 男の転落ぶりは面白いから、それを丹念に描けばよかったものを、こちらも中途半端だから何とも物足りない。
「セル」とか「骨の袋」よりはマシだが、退屈なことに変わりはないといったところだろうか。

徒然草枕