劇場公開日 2019年7月5日

  • 予告編を見る

「蜷川実花を見直した!」Diner ダイナー つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0蜷川実花を見直した!

2024年1月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

全ての評価点が拮抗している映画、というのが私にとっては2本目である。なるほど映画というのは、観る人のどの部分を刺激するのか、すべては受けて次第なのだと改めて思う。

映画に期待することというのは色々あって、大雑把に分けると「映像・物語・演出・演技」辺りかなぁ、と想像してみる。
とにかくスゲー映像に興奮したい人、心震わす物語を味わいたい人、神がかった演出を堪能したい人、情感たっぷりの演技に酔いしれたい人。
映画が「絵と音と動きの総合芸術」である以上、受け手の期待が一致しないのは仕方がない。

かく言う私は「ストーリー寄りの演出厨」であり、俳優萌えの監督推しという厄介な期待値を持って映画を楽しんでいる。
とは言うものの映像表現がブッ飛んでいればそれは大幅加点となるわけで、ともすればストーリーやら人物描写を地平の彼方へ追いやり、「この映画面白い!」と唸るしかない。
「Diner」はそういう映画だ。

私の記憶が確かなら、蜷川監督はアクション初挑戦のはず。「なのに」と言うべきか「だから」と言うべきか、目も醒めるようなスタイリッシュ・アクションを観せて頂きました。
横っ飛びガンアクションで「おぉ」と思ったら、相手も横っ飛びガンアクション、なんて普通は思うまい。「マトリックス」かよ!
外連味たっぷりなところが美術や世界観とあっていて、とても良い。

殺し屋専門ダイナー仕入れ問題、食材ストック方法の斬新さ、どこで買ったの?な衣装など、些末なツッコミなどどうでもよくなるな。
ラストはちょっと説明しすぎ感あるけど、全体としてよくまとまってたし、自分の強みを思いっきり活かして来た良作だと思う。

ストーリーの説明なんかどうでも良いから、ニコラス・ウィンディング・レフンやコルネル・ムンドルツォのように、独自の表現を磨いて突っ走って欲しい。

おまけで。
「料理が気色悪い」って言ってる人がチラホラいるけど、あれはわざとだからね。意図して美味しそうに完成した料理にドロッっとしたソースをかけてる。死の臭いが漂ってきそうな、気味の悪さをプラスしてる。
死を連想させない料理も出てきたでしょ?ネタバレになるから、どことは言わないけどね。

コメントする
つとみ