劇場公開日 2019年7月5日

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「ようこそ 殺し屋専用の食堂ダイナーへ!」Diner ダイナー だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5ようこそ 殺し屋専用の食堂ダイナーへ!

2023年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

大好きな平山夢明の小説「Diner ダイナー」の映画化ということで、映画化発表当時からとても期待してました。原作では残酷描写と暴力に満ち溢れた血なまぐさい小説なのですが、蜷川実花ということで自ずと原色をふんだんに使った芸術的な映画に仕上げてくるということは分かりました。

で、率直な感想は、改めて小説のストーリーが素晴らしいと実感してしまいました。ん?なぜ小説側ってなると思いますが、映画は割と小説に忠実に作っているのですが、やはり奇抜な物語が故に飽きさせないんですよね。殺人鬼たちの中に一人のか弱い女性という大筋がありつつ、殺し屋たち1人1人の個性的な物語が素晴らしく面白いのです。その面白いストーリがあってこそ、蜷川映画が成り立った気がします。

ただ、やっぱり原作ファンとしては色々と残念と思うところはあります。まず藤原竜也演じるボンベロが余りにも優しすぎますね。小説ではもっと怖くて異常なイメージでしたので、映画では凄みが感じられないところは残念でした。

また、映画という短い時間で描く必要があったのでしょうがないかもしれませんが、登場する殺人鬼が少ないんです。Dinerの面白いところは個性的な殺人鬼たちなのでもう少し多く登場させてほしかった。

殺し屋の登場が少ないと、やはり描き切れていない部分がありまして、映画ではボンベロとオオバカナコがあまりにも急激に親しくなりすぎているんです。ボンベロがオオバカナコに好意を寄せる瞬間が全く理解できない(ただのウエイトレスコスプレ好きボンベロちゃんみたいになっている!?)のですが、色々な殺人鬼たちとのドタバタを経て、徐々にボンベロとオオバカナコに信頼感ができ心を開いていくその過程が面白く、映画ではその部分の描きが物足りないです。

オオバカナコを演じるのは、玉城ティナです。いや~細い細い。あのウエイトレスの姿はちょっと殺し屋専用のダイナーとしては、あり得ないですが(ボンベロがこの娘を選んだと思うと…笑)、そこは抜きとして難しい役柄ではありながらも頑張っていたんではないでしょうか?スキンの事件の後のボンベロに食い下がるシーンも見ごたえありましたしね。

なんだか小説推しのレビューになってしまいましたが…映画館は若い女性が多く観に来ていました。平山夢明のグロ小説がメルヘン映画に変貌したような複雑な気分でした。個人的にはR指定でド派手にやらかしてほしかったけどね!

だいふく