「私は~、日本映画界の~、女王に~、なれる…?」Diner ダイナー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
私は~、日本映画界の~、女王に~、なれる…?
夢も希望もこの世界に居場所も無い、ありがちな薄幸ヒロイン、大馬鹿な子…いや、オオバカナコ。
怪しげな高額報酬のバイトに手を出してしまったばかりに、闇組織に身売りされたのは…、
客は皆、殺し屋。
殺し屋専門の食堂“ダイナー”。
そしてそこに君臨する“料理の鉄人”は、元殺し屋の天才シェフ、ボンベロ…。
話も設定も、まともにやったらR18級の血みどろサスペンスになってたかもしれない。(それはそれで韓国サスペンスみたいで見たかったかも)
しかしこの女流監督の手に掛かれば、強烈インパクトとビジュアルのスタイリッシュなサスペンスに。
蜷川実花ワールド、全開!
独特の映像美、色彩美。
斬新な美術セット。
料理の数々もゴージャス。
ビジュアル面のこだわりがいっぱい。
それに負けず劣らずの一癖も二癖も三癖も四癖もある殺し屋たち。
全身傷だらけの青年殺し屋、少年のような姿をしたサイコキラー、『北斗の拳』のキャラのようなキテレツな格好をした筋肉自慢…。
その他にも、出るわ出るわのオンパレード。
演者も窪田正孝、本郷奏多、武田真治、斎藤工、小栗旬、土屋アンナ、真矢ミキ、奥田瑛二と超豪華。
中でも、「俺が~、この映画の~、王だ!」と豪語、ボンベロ役の藤原竜也がいつもの濃ゆ~い演技で存在感を放つ。
“ダイナー”でウェイトレスとして働き始めたカナコ。
パワハラ問題など何処吹く風、休む暇も与えられず奴隷のようにこき使われる。
そんなある日、“ダイナー”で組織の2代目トップを決める宴が行われる事になり…。
そこで明かされる先代の死の真相、カナコがボンベロから身を守る為に隠した超高額壺の所在、各々の思惑入り乱れる殺し合いと生き残りの狂宴が始まる…!
アクションあり、バイオレンスあり。
最初はおどおど怯えていたカナコの内面的成長あり。
…だけど、見終わってみると結局ビジュアルや強烈キャラしか印象に残らず。
ただイカれたように暴れ、肝心の話の方に旨味が無い。
料理もゴージャスではあるが、食指はそそられず。
そこら辺、『深夜食堂』は下町人情エピソードも料理も美味であった。
それでも、本作には絶品要素が。
ウェイトレス姿の玉城ティナが可愛い過ぎる~! 萌え過ぎる~!
実質彼女が主役であり、M責めに体当たりで挑んだ熱演、魅力もたっぷり見れただけでも良しかな。
作品的にはまあまあ。
才はあるが、蜷川実花が「私が~、日本映画界の~、女王よ!」となる日は…?