「ダイナマイト」バイオレンス・ボイジャー 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
ダイナマイト
「劇画×アニメーション」で『ゲキメーション』
まるで「飛び出す絵本」を被写界深度浅く写し撮ったような映像は、ボケ効果により立体感が際立つ。
2Dだが3Dを感じる。これだけでも発明だ。
一点を見つめると他はボケて見えるヒトの見え方に近い、自然な立体感。
いったいどれ程の時間と労力がつぎ込まれたのか。
絵を描き、切り取り、構成し、時に実写を組み合せ、背景を変えながら写し撮る。その繰返しの作業。
同じ膨大な労力が注がれるVFXとは対極に位置する表現方法。
「日本昔ばなし」が似合いそうな新しいフォーマットで描かれるのは、恐ろしいを越えておぞましい程の世界観。輪転する悪夢だ。
しかし、本当に恐ろしいのは、これを世に問うたよしもとの胆力と宇治茶氏の才能かもしれない。
そして、表現方法の一つとして今後第二、第三の作品が現れるであろう『ゲキメーション』は、薬にも劇薬にもなるダイナマイトのような発明なのかもしれない。
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