「法律を学ぶ者の理想がこの映画につまっている」RBG 最強の85才 おかずはるさめさんの映画レビュー(感想・評価)
法律を学ぶ者の理想がこの映画につまっている
ギンズバーグ判事は、良心的な法律家だ。
弁護士として、法の保護が届かない市民の権利を擁護するために訴訟代理人を引き受けた。裁判官として、法の役割が市民の権利の保護であることを前提に、訴訟当事者の主張を吟味した。議会への影響を考えての反対意見は最高裁判事の面目躍如だ。
他方私人としても、法律を愛する者の精神が貫かれている。他者の思想信条を尊重し、およそリベラルとは遠い立場の人でも、気が合えば友人付き合いを深める。その真に解放された精神には、羨望を禁じ得ない。
判事の実績は、人格と能力を兼ね備えた配偶者や侵しがたい美しさを感じさせる容貌、たぐいまれな自己統制力といったいくつもの奇跡が重なった結果である。このような奇跡を実現した人を、わたしたちは「英雄」という。
ギンズバーグ家は、適切な役割分担という社会の理想が実現した家庭であった。料理は得意な人がすればいい。男子にのみ門戸が開かれていた公立大学の女子入学を認めた判決を書いた判事には、これからの社会の在り様が明確に見えているに違いない。
とにかく、法学部の学生は必見の映画。
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