七つの会議のレビュー・感想・評価
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野村萬斎の外連味
池井戸潤作品の映画化では、昨年の『空飛ぶタイヤ』は、”起きてしまったこと”への大企業と個人(下請零細業者)との壮絶で無謀な闘いの記録でしたが、本作は、”起きるかもしれないこと”、見方を変えると”起きないかもしれないこと”への企業組織の行動規範・倫理観と個人の正義感の確執がテーマです。
社会的には、特に最近頻発するデータ偽装を素材にしたコーポレート・ガバナンスの本質に抵触する重篤で深刻なアンチテーゼとも捉えられます。
ただあくまで娯楽作品としての本作の脚本が巧みなのは、必ずしも企業と個人を単純な二項対立の図式に置かず、各々を縦糸と横糸にモザイク状に紡ぎ合せて敵と味方が判然とせず、観衆を不透明感と不安感に晒し、その上、野村萬斎扮する八角係長が顕かに主人公だと認識させつつ、彼に得体の知れない不気味さと怪しさを漂わせて謎を深めさせるという、一級のミステリードラマに仕立て上げていることです。前半に多用されたローアングル・からの仰角カットは、その効果を一層掻き立ててくれました。
但し、そのために物語の中核である両者の対立軸が靄の中に霞んでしまってストーリーが拡散し、晦渋な中盤となりやや倦怠感が広がったことも事実です。
更にカメラの視座をこの主人公ではなく、平凡なOLと梲の上がらないその上司に置いているので、余計に観衆は先の見えない焦燥感と鬱屈感に苛まれ、まんまと監督の仕掛けた罠に嵌り込みます。それを演じる野村萬斎の演技は、今回も秀逸です。中でも目の芝居、射抜くような鋭利な眼光を放つ時と焦点の定まらない鈍重な眼差しのメリハリは、声調の抑揚と合せて芸術品です。彼といい、片岡愛之助、香川照之(市川中車)といった古典芸能役者の所作の美しさ、姿勢の良さは際立っており、観ていて誠に心地良いです。
また女性を疎外した男のドラマに終始してしまったことは、日本の企業の現実を鑑みるに、残念ながらリアルな設定といえるでしょうが、小学校の子供の喧嘩のような組織のボスと子分による縄張り争い、営業会議や御前会議の大仰な設えと進行舞台設定は、実際にはあり得ない大袈裟過ぎる強い違和感のする誇張的表現です。
ただこれは、本作がビルの執務室と会議室で9割方が展開するストーリー構成故に、ナチュラルに演出するとオフィスの日常風景にしかならず、映像に極端な抑揚の造作や演出をつけて画を持たせざるを得なかったのでしょう。その点でも野村萬斎の外連味はうってつけのアクセントになっていました。
出演者では、橋爪功の演じる子会社社長、鹿賀丈史演じる親会社管掌役員キャラクターには嘗ての職場での既視感があり、懐かしくも苦いノスタルジーに耽ることが出来ました。中でも経理課員の藤森慎吾は強烈な個性で出色でした。その小心な小悪党ぶりは、甲高い声音も相俟って、強きに媚び諂い弱きには徹底して居丈高に接する、典型的な嫌な奴を見事に演じ切りました。悪役のエッジが効いてこそシーンが引き締まり主人公が引き立つのは映画のセオリーです。彼の悪役にこれからも期待しましょう。
立ち位置がよく判らなかったのが北大路欣也です。風格ある重厚さと無責任で節操のない言動のアンバランスは、あまり実感が伴わず受け入れ難いキャラクターでした。
総じて傑作と言えますが、難を言えば、非常にオーソドックスな、ある意味でハッピーエンドのラストは意外性に乏しく残像が描きにくい点です。現実社会に合わせた捻りを効かせたエンディングでもよかったようにも思うしだいです。
テンポの良い展開、最初から最後まで面白かった。野村萬斎、香川照之の...
テンポの良い展開、最初から最後まで面白かった。野村萬斎、香川照之の濃い演技に感服。
舞台のような映画
舞台のような映画だが、いろいろ考えさせられる深い映画だった。
野村萬斎さんの過剰な狂言的演技が現実離れをしているが、もう少し抑えた方が
観ている者にストーリーを考えさせるには良かったと思う。
主人公は”特名係長”だと思っていたが、20年間に及ぶ”本当の給与泥棒”だった。
運が悪いことに、そのナマクラ君が奇跡的に 鬼の首を取ったものだから、話が悪い
主人公は今までの自分の低たらくのいい訳をするように
会社を裏切る!
この映画を観たら野村萬斎さんの良さを再認識しり為に「のぼうの城」を観たほうがいい。
野村萬斎じゃなきゃダメ?
野村萬斎はやはり狂言師であって俳優ではない。
内容は池井戸潤の原作があるからこそ楽しめるが、野村萬斎じゃなければ......と思ってしまうことがある。
香川照之などのお馴染みの俳優人の中でもどうしても、野村萬斎だけは浮いてしまう。話し方や顔つきなど俳優ではない動きがどうしても抵抗がある。
そこは池井戸潤の内容でカバーされている部分も多いが、今回の作品に関しては、いやいや、と思ってしまう部分もありました。
あと少し
まず時間が足りないと感じた。
池井戸作品はほぼ読んできているが、この作品はある意味実写という手法が諸刃の剣にならないか気になっていた。
ここまでのキャストなので心配はしてなかったが、やはり脇役が際立って良かった。
私にしてはめずらしくドラマでも観てみたいと思った。
テンポが良いので久しぶりのあたり作品
久しぶりに当たりの邦画見たわーって感じです。
野村萬斎の演技力すげー。そして社会人が見るとある意味親近感を感じる映画だな。サイレント修正はどこの会社でもやってるからまぁって感じだけど。
良かった~
豪華な演者ばかりで眼力、表情、声色に迫力圧巻で、ベテラン俳優が周りをしっかり固めて、どこを見ても飽きず、おかげで物語に引き込まれました。
私自身は会社人として多少の危険やリスクはつきものだと思っていて、やはり脳にしみ込んでいます。断ることがいいとも悪いとも思わないし業務の一部として考えるところもあります。
八角さんにはなれないけれど出演者の誰かにはなっているなと思いながら見ていました。
原作を知らずに見ましたが内容も把握できてとても良かったです。
このサイトを見る側でしかなかった私が登録してレビューを書きたいと思うほどに引き込まれる映画でした!
映画でちょうど良いかも?
予告編を観て、オチは、どうなるの?って思った。だって、予告編は、八角と関わると異動になるみたいな描き方をされていたから…。でも、池井戸潤 作品だから、不正とか、そういうことが題材なんだろうな…とは思ったよね。そして、思った通り、そういうストーリーでした。いつもの「下町ロケット」「半沢直樹」「陸王」の監督さんなので、映画といえども同じような感じ。でも、ドラマだったら、野村萬斎さんでは、浮いていたかもしれませんね。映画館だったから、野村萬斎さんが映えた気がします。個人的には、連ドラで、ダラダラとストーリー展開するよりも、映画くらいが丁度いいかもって思いました。やっぱり、私は、アツイ男は、むさ苦しく感じるのかもしれません。ラスト少し前の、野村萬斎さんと香川照之さんのセリフは、泣けました。悲しいかなサラリーマン。私は女だけれど、気持ちは分かるよ…と。そして、エンドロールのときの野村萬斎さんのセリフ、「不正はなくならない。」も妙に納得しました。ところどころ、ツッコミどころがあるんですが、そこは目をつぶりました。でないと、作品が成り立たなくなるのかな…と。全体的にストーリーも上手くまとまってて良かった。黒幕も意外で、良かったと思います。
さっきんのTBS系のドラマ 総出演?
池田さん原作の作品ってことで
見に行きました
数えなかったけど7つ会議ったのかな
まぁそれは別として
いい内容でした
原作読んでないけど
いいシナリオ
いい意味で繰り返される会議の内容
楽しかったです
面白かった
キャストは半沢メンバーが勢ぞろいといった感じでした。
内容は2時間が長く感じることなく観ることが出来ました。
話しは営業のエース(片岡)をぐうたら社員(野村)がパワハラで辞めさせたことによって話が動き始めます。事の真相を知っている人からしたらなるほどですが、部外者からみると何故と感じますが、ちゃんと理由がありました。
終盤の御前会議での罪の擦り付け合いは年齢も経験も肩書きも関係が無いんだなあと思いながら観ていました。
企業側のデータ改ざん・リコール隠しなどは分からなくもないと思いました。高い品質を求められるが、企業努力でも限界がありコストを抑えるためには人件費を抑えるか、品質を改ざんするしかない。最小限の必要悪は必要だと思います。
ゴジラVSガメラ
ネットの評判が良いのでつられて観ました。
面白くないわけではなく、展開も早いので
画面に集中して観ることができます。
しかし、ストーリーもこれまでの池井戸作品
と煮たり酔ったりで、出演者も池井戸作品の
常連なので、新鮮味という意味ではどうでしょうか。
その中で、能そのままの言い回しと
良すぎる渋い声で存在感爆発なのが
八角役の野村萬斎です。
始めは、非常に浮いている感じですが、
そのうちに不思議と慣れてきます。
これは萬斎がテレビドラマでポアロを
演じた際にも感じたことです。
香川照之もいつもと同じような役ですが
少しひねってあります。
野村萬斎は、シンゴジラも演じており
香川照之は演じていませんが、ガメラに
似ているので、ゴジラVSガメラの濃い演技対決
というところでしょうか。
※最後にモノローグでの萬斎の不祥事に対する
見解は、なかなか胸に落ちるものがありました。
観る場合は、エンドロールまで席を立っては
なりません。
正直は最大の戦略
日本に蔓延する旧態依然の企業体質や組織の闇を見事にえぐる痛快なビジネスサスペンス。池井戸潤さん×福澤克雄監督の鉄板コンビは映画でも健在。
ドーナツ売店などやりとりしているのは大したことない話題でも、そこから芋づる式につながる亀裂の広がりはどんどん引き込まれる。
たった一本のネジでも大企業や多くの人々、そして人命までも左右してしまう尊さを改めて痛感させられ、些細なことでも大事にしなければと惰性に生きる日常を自省させられる。
そして、なにより社会にも自分にも正直にいること、勇気を持って声を上げ行動を続けることの大切さを再認識させてくれる作品。
終わり方
今までにない終わり方。
ダラダラ長いエンドロールと曲をひたすら流す訳じゃない
あぁいう終わり方は新鮮で、スッキリして良かったです。
サラリーマン…気持ち、分かる分かると思いながら
観ていました。
顔芸ではないのですが…表情がとにかく凄い!
演技派な俳優さんが、惜しげも無く出演している
贅沢な作品でした。知人が大絶賛でしたので、どうにか都合を付けて映画館に足を運びましたが、いやぁ〜観て良かった!とても面白かったです。これは、連ドラではなく、映画にして正解だと思いました。
命より大切なものはない
品質第一、利益第一、安全第一。
現場では、
何を優先すればいいか
わからない。
そんな声も聞こえてきそう。
かなり、
日本人の本質をついてると
思うけども
結局は、
命を大事にしない集団は
永続しないと思います。
フィクション だよと
信じてるからから
面白い。
身近で、
ノンフィクションだったら
違う印象の作品。
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