「テンポが良くて、ドーナツが食べたくなります♪」七つの会議 マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
テンポが良くて、ドーナツが食べたくなります♪
所謂、一連の池井戸作品ですが、やはり鑑賞したくなる要素が多くて、鑑賞意欲をくすぐられたのもあり鑑賞しました。
で、感想はと言うと、面白かった♪
最初は野村萬斎さん演じるダメ社員が自分にとって、理不尽かつ不利益を被る上司・同僚をバッサバッサと切り倒すが如く、左遷・降格に追い込み、その流れから一連の理不尽な無理難題を押し付ける企業体質とリコール隠しを暴く訳ですが、何よりもテンポが良い。サクサクと進んで行きます。
また、野村萬斎さんの些かやり過ぎ感のある台詞回しもコメディな感じもしながらもスカッとする場面が多くて、出てくる人達が皆一癖も二癖もあるので、天誅とばかりに左遷されるのは、時代劇の様な感じでなかなか爽快。
また、企業のドロドロはあっても、色欲金よくの変にドロドロな場面が少ないので観てても安心で、ドーナツが意外なキーポイントになってるのが微笑ましい。
池井戸作品には欠かせない香川照之さんが最後は文字通り、ギャフン!と言わされると思いきやのラストのオチは意外でした。
北大路欣也さんの大物っぷりの安定感は相変わらず。藤森慎吾さんの小物っぷりはなかなかナイスです♪
あえて難点があるとすれば…野村萬斎さん演じる八角のぐうたらっぷりは些かやり過ぎかなと。実はトップとも精通している、特命係長ばりに内部の悪事を裁いていくと言うのは良しとしても、ここまでのぐうたらと見た目のだらしなさは逆にやり過ぎと言うか、なんかあると思わせる所が盛り過ぎなのではと思いますね。
その割に自宅のロイヤルパレスのでの家族の写真を見つめる場面では何かあると思わせといて、意外と何も無かったw
もっと過去に傷のあるダーティーヒーローかと思いきや、正義感が強かっただけは個人的には少しスカされた感があります。
あと大見得を切った様な笑い方は…ちょっとw
野村萬斎さんをキャスティングしている時点でそれも織り込み済みかとは思いますが、コメディ色が多過ぎて、鑑賞中に度々苦笑に近い笑いも起きていたので、ここは好みが分かれるかな。
RPGの様な謎解き感もあって、サクサクッと進むし、時折八角の見せる怖さなんかは半沢直樹や「空飛ぶタイヤ」の長瀬智也さん演じる赤松ほどヒーローヒーローしてないのも結構好きなんですが、行動と過去の経緯が一致してない所が少しあって、終始謎のキャラクターになってしまってます。
池井戸作品の中の企業犯罪小説の中では割とライトな感じで、何処かの事件を元にした信憑性と言うかリアル感やもっとドス黒い複雑怪奇で生々しい感じが薄いのは、多分いろんな事件や事故を元に織り交ぜてる分、リアル感や焦点の絞り方がボヤけてるとも言えなくはないんですが、割と良い様に出ていて、強者の理論をコミカライズした様にまかり通らして、勧善懲悪的な感じにした分、テンポと食い付きを良くしてます。
なので2時間で割と無理なく収まったのは良しなんですが、御前様率いるゼノックスに楯突く所からの結末は付け足し感が多々有り。
あれを最後まで描くと少なくとも2時間30分は掛かるし、テンポが落ちますが描いてない分ちょっと消化不良。
ドラマは未鑑賞ですので、ドラマで描かれていたとしても映画は映画できちんと成立させてまらいたいです。
更なる強大な権力に逆らう場面を観たかったのは、ドラマの半沢直樹が同じく北大路欣也さんに出向を命じられた所で終わって、続編が未だに発表されない鬱憤を晴らして欲しかったなぁw
映画は場内が明るくなるまでキッチリと観るんですが、ピクサー作品の様にエンドロールの横に映像があるのは楽しんで観れますし、八角の最後の台詞は池井戸作品の代表的な本質とメッセージなんですが、ここで盛り込まれると観聴き入ってると分、やっぱりエンドロールの文字は殆ど頭に入ってきませんでしたw
昨年観た「空飛ぶタイヤ」は主題歌も印象的で、巨大企業の理不尽と横暴さと隙の無さをまざまざと見せつけられ、そこに抗う主人公に思い入れを持ちましたが、この作品はまた違う面白さがあります。
池井戸潤作品の綿密な設定考証が薄く感じながらも爽快感とテンポが何より良い作品なので、毛色が違った分、結構オススメな感じです♪
kossykossyさん
コメントありがとうございます。
あのドーナツはホント美味しそうで、帰りに食べたくなる気持ち分かります。自分もミスドに行きましたw
また、お時間がある時にでも読んで頂ければ幸いです。