かぞくわりのレビュー・感想・評価
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どうしたなにがしたいのか
エンドロールで多くの方々の協力がわかりました。でもそれと中身の虚ろさは無関係。父 ~小日向さんの熱演が嬉しいが、辛い~ の謝罪と張り手でつながる割れた家族の絆ですか? 洞窟の奴等 ~高津皇子の仲間? 部下? ~ も、年とらない住職 ~神?~ も、謎。というか、虚ろ。
泣いてしまいます。
観る前に想像していた、ただの家族の映画ではなく深みがありますね。見所が満載で、こんな役するの?っていうぐらい竹下景子さんが面白い。長女の香奈の表情が前半と後半でまるで別人。また、私は父親なので、やはり父親目線で小日向文世さんを観て泣いてしまいました。(20日と27日の2回観ました)
東京から出戻りの次女と思春期の姪、長女、父親、母親のそれぞれの目線で楽しめると思いますよ。そこに歴史ファンタジーが絡んでくる。
二上山、どんづる峯、当麻寺、明日香村の棚田、三輪山、ベットタウンの家並み等、奈良の風景が綺麗なのか異様なのか、圧倒されました。絵も洞窟とマッチしていていい感じ。
1回観ただけでは時空を越えて話が進んでいく感じが、今はどっちなんだろう?と分からない部分がありましたが、2回観て理解が深まりました。
せっかくの奈良が
その綺麗さよりド辺鄙な印象しか見えないのは、塩崎監督の金魚の前作にも感じたところ。学校やお寺、駅、自分にとって馴染みの場所がもったいない。確かに俳優さんたちは頑張っているし、うまいと思った部分もある。なのに、本当にキャラクターに引き付けられないのは、世界観が練られていないのでは? あら探しなどしたくないのに「これで、家族の在り方?」と感じてしまった。さらにヒッピーたちの稚拙なテロもどき。比較してはいけないが「ファイトクラブ」ぐらいのハッタリが欲しい。「停電って、テレビカメラは自家発電? 洞窟内の電灯や持参したウォシュレットも? あと、車の一台も走らない闇? そんな簡単に長時間真っ暗にはならんでしょ?」「続く停電に、警察に文句を垂れつつ? のんきに夏祭りのごとく避難する、パニックになりそうでならない一般民衆が(主人公家族と対比するためかもしれないが)ウソ臭くて。」
なんだかんだ言って、香奈とキヅキは可愛いので、プラス1点。内容は0.5点。「死者の書」というより映画「帝都物語」だったな!
日本の原風景の中で、かぞくを考える秀作
「日本」という国がはじまった奈良の地。奈良にはたくさんの伝説とロマンが語り継がれる。そのひとつに葛城・二上山にある大津皇子と中将姫伝説がある。折口信夫はそれを小説「死者の書」で描いた。当麻寺に今も残る国宝・当麻曼荼羅の世界である。
その「死者の書」のストーリーをベースに、現代の家族のあり方を問う、塩崎祥平監督渾身の新作が「かぞくわり」。塩崎監督自身が語っている「日本の原点、奈良で核家族した現代日本の家庭のことを考えたかった。奈良だからこそ、家族のあり方を見つめ直す機会を全国のみなさんと共有出来ると思っている」という映画への思いそのものが、美しい映像とともに観る者の心を動かす。中将姫伝説の幻想と堂下家のややこしい日常生活が微妙に交錯しながら、ストーリーは展開し、それぞれの立場で「かぞく」の絆に気づかせてくれる秀作である。
この映画、いろんな見所があるが、なによりも大津皇子が祀られる二上山の夕焼けが美しい。心に溶け込む日本の原風景と言っていいだろう。
それから陽月華さん演じるヒロイン香奈の母親役、竹下景子さんの好演ぶりは必見に値する。実際、この映画で親子共演を果たした竹下さんの息子関口まなとさんが、「母がこんな役をやるのは初めてで、それだけに母も凄くおもしろがって張り切ってやってました」と語っていた。いままでのイメージを打ち破る夫役の小日向文世さんとの夫婦のやりとりは抱腹絶頂である。竹下景子ファンは見逃すと損する・・・。
初主役の陽月華さんの妖艶な表情、それとサブヒロインともいえる木下彩音さんのなんとも言えぬ可愛らしさときらめきも心に残った。
特筆しておくこともある。劇中に流れる笛の音だ。去る8月に亡くなった能楽笛方藤田流11世宗家藤田六郎兵衛さんの最後の舞台での吹奏の笛。病の中、命を削って奏でられた、鬼気迫る音色に鳥肌が立った。
いろんな意味で興味深く、楽しませてくれる中で、「かぞく」についてあらためて考えてしまう映画である。
ほんわか
歴史上の人物と現代の人物とをオーバーラップさせながら、家族の温かさ、大切さを再認識させていく。実にほのぼのとした映画である。出演者が心情をたくみに表現しており、観客の心をとらえていく。派手さはないが、実によく練られている映画である。
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