「脱走のためとは言え、肥溜めには・・・」最後のランナー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
脱走のためとは言え、肥溜めには・・・
史実に基づいているのだから、やがて戦況を通訳して打電したデビッドの逸話である肥溜め脱走も真実なのかもしれない。リデルを慕っていた子供が感電死するシーンよりも衝撃度が強かった。
収容所に入れられる欧米民間人。なぜ?という疑問が沸き起こっても、「戦争中だから」という言葉で何でも片付けられるものなのかと空恐ろしくなってくる。そんな収容所における生活も、日本軍の戦況が悪化してくると食料も不足してくる。そんな状況下、教師時代のエリック・リデルに世話になった中国人ジ・ニウが子供たちと一緒に食料品を差し入れるシーンがなかなか良かったのです。
敬虔なクリスチャンらしく、「人は善良である」という信念に基づき、自分は元オリンピック選手でみんなの希望ではあるのだが、周りの人たちに食料を分け与える。レースに出るからといって仲間からの差し入れさえも拒否するのだ。日本軍兵士は悪人として描かれているものの、土曜の夜10時に有刺鉄線の電気を止めて、子供を入れてくれる兵士。レースの相手である指揮官も悪人ではないという描き方に好感が持てる。
父の形見である時計がリデルからジ・ニウへ、またジ・ニウからリデルへと渡される面白さ。さらに動物をあしらった凧上げの様子がファンタジー色を添えていた。この鷲の凧がタイトルにも繋がってるのがいい。
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