ジュリアンのレビュー・感想・評価
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血は一滴も出ないが、ある意味ホラーやサスペンスより恐ろしいリアリティがある
レーティング「G」ではあるが、血は出なくとも見方によってはホラー以上に恐ろしい。ここで描かれた事件を法制度や社会問題からじっくり検証することも欠かせないし、世の中に埋もれている同様の悲鳴に関して、観客に多くを気づかせてくれる作品でもある。
と同時に、ヒューマンドラマ、サスペンスとしても見応えは十分だ。まさかこれほどの展開に発展していくとは誰も思わないだろう。子を守らねばという妻の気持ちも痛いほどわかるし、かといって夫の「どうにかして子供と会いたい」という気持ちもある程度は理解できる。だが夫の態度が急にぶっきらぼうになる瞬間、胸に刃を突きつけられたみたいにこちらも息が止まりそうになる。そして気づく。もっと恐ろしいのは、こんなことが以前にも起きていたであろうこと。母子はずっとこの恐怖に怯えながら、しかし法の保護を受けられずに生きてきたということだ。かくも様々な思いを喚起させる秀作である。
トラウマがある人は観ない方が良い
何気なく観始めたが強烈な映画やった。父親のあんなの愛情でもなんでもなくただの独占欲。傲慢で自己中心的で、周りの人たちもまともに相手してたら壊れちゃうよね。まともな話が通じず、一方的に怒鳴り散らしたりネチネチいう人、日常生活でもいるけどこういう人が夫だったら…考えただけで恐ろしい。
最後の20分はほんま胃がキリキリした。おばあちゃん、通報してくれてありがとう。
ジュリアン役の男の子名演。本当にみていて痛々しかった。
ほんま恐怖で誰かを支配しようとするなんて傲慢でしかない。親失格。
意外と普通に進んでいった
序盤の様子や解説にある「ラストの展開」みたいなのから、母側にも何か問題があり、その間で苦しんでバランスを取っているのかなぁ?とか勝手に思ってしまった。そのほかの家族にも色々な事が・・・とか。そしたら、人物の掘り下げもあまりなく、そのままシンプルに進んで、あっけなく終わった感じ。ただ単に怖いなーで終わってしまう感じ。変に期待しすぎたかな。
どちらかが嘘をついている
そこを明確にせずに、共同親権?
怖い怖い。
最初の家庭裁判所?のシーン、長い長い。
大柄な旦那の目が鋭くて絶対危険だとわかるのに、誰も何もできない歯痒さ。
子供から引き離され、身内に除け者にされるDV父。
しかしそれまでの経緯は描かれていない。
良い時もあったんだろうが、そこは全く触れてない。
最初からあいつ呼ばわりだったから。
結局追い詰められた父の狂気がテーマ?
タイトルとはちょっと違った。
物足りないと思ったのは、それぞれの人格についての説明というか、描写が少な過ぎて、ジュリアンにしても普段どんな子なのか全く見えない。
父親の両親との関係性とか。
学校をサボる困ったちゃんのお姉ちゃんも、終わってみれば特に何もないし。
もう少し「日常」も見たかった。
面白いと思ったのはシートベルトの警告音。
何度か出てくるが、面白い使い方だなぁ、と。
【”ママを殴らないで・・”アンガーコントロールが出来ない男を父に持った少年の苦悩。ラスト10分は最早、ホラー映画です・・。妻や子供に手を上げる男は、家庭を持つ資格はない!と改めて思った作品でもある。】
ー アントワーヌ(ドゥニ・メノーシュ)と妻ミリアムの離婚調停の場で読み上げられる、息子ジュリアンと娘ジョゼフィーヌの証言。ジュリアンの共同親権を求めて、言葉少なに父親の存在の必要性を求めるアントワーヌ。
今作で、恐ろしき父を演じるドゥニ・メノーシュの顔と体格が怖い。
(今作の恐ろしさは、ドゥニ・メノーシュの一切笑わない演技が齎していると言っても過言ではないであろう。とにかく顔が怖い。「イングロリアス・バスターズ」の冒頭、ナチスのクリストフ・ヴァルツにユダヤ人を匿っていないか、ネチネチと問い詰められるお父さんの姿の欠片もありません・・。)
ついでに言えば、この離婚調停での遣り取りも、相当に雑である。キチンと、子供達の証言に一歩立ち入って調べるべきアントワーヌの嘘を、見抜けない裁判官。
あれだけ、状況証拠があれば、アントワーヌに接近禁止令を出してもおかしくはないのに・・。ー
◆感想
・子供と妻に、自分の思うように会えない苛立ちを募らせていく、アントワーヌが怖すぎる。そして、描かれないが、離婚の前に彼が妻や娘に行っていた暴力行為も容易に想像ができる。
でなければ、ジュリアンが自分の父を”あの男”とは、呼ばないだろう。
・直ぐに激高するアントワーヌの態度に立腹し、家から追い出す実の両親。
私は、そんな男に育てた両親の罪は大きいと思う。小さい頃から、父の趣味の猟銃撃ちに同行させたりして、甘やかして育てて来たのではないか。
・ジュリアンが、母と姉を守るために、アントワーヌから離れ、隠れ住んでいる家を見つけられないようにする健気な姿が何とも悲しい。
<ラスト、10分のアントワーヌがジュリアンと母ミリアムの家を突き止め、執拗に玄関のベルを狂的に鳴らし、最後はライフルをドアに打ち込んで入り込んで来るシーンは、最早ホラーである。
隣人のおばさんが、警察に連絡し(そりゃ、そうだろう・・。ライフルをガンガン撃っているのだから・・。)何とか、難を逃れた時には、どっと力が抜ける・・。
ジュリアンが、相当なトラウマを跳ね除け、女性や子供に暴力を振るわないキチンとした男に育ってくれよ・・、と願ってしまった作品である。>
■自らの幼き子供を躾と称して殺害した男と、なすすべもなく従った女が、近年逮捕された事は記憶に新しい。
日本の刑法としては、相当に重い量刑が男には課されたが、私は極刑にすべきであったと思う。 親殺しの罪が重く、実の子を殺しても量刑が軽い日本の法制度が、古いのである。
司法は、現状の社会情勢にあった法制度に徐々に移行して行って欲しいものである。
扉の開け閉め
扉が開くと事態は動くという感じ?
家、車、エレベーター、最後は隣人の扉。
扉が開くたび少しずつ下降する幸福。
初めから低い位置スタートの幸福は
地を掘ってさらに下へ進んで行く。
ただただジュリアン君の幸福を祈る。
あと、シートベルトをこんなにも豊かに描いた
映画は他にない気もする。
素晴らしいギミックだった。
欲を言えば、姉パートは特に解決もなく
物語に膨らみをもたらすだけの
無意味な有意味扱い、ならばもっと面白く
ウィットで笑わせて欲しかった。
ブ男彼氏の発言や行動で笑いをとることは
できたはず。
この手の恐怖映画は、コメディ要素があったほうが
心に残るものだと思った。
DVは病気だから治りません。
冒頭から両親の意見が真っ向から割れている。
息子との面会は勝ち取った父親が迎えにくると早くも暗雲立ち込め、陳述されたDVについての事実が観るがわに伝わり始める。
迎えに来た夫の行動やタレ目の無表情な顔を見た瞬間、父親が凄まじい異常さを醸し出しており、うすら寒くなる。
これは患者の顔だ!と思うほどに。
物語を追うと夫のDVを考えながら観るのだが、夫自身の弱さ故にDVに至った雰囲気は解る。
ただ、妻の前で感情失禁、妻に抱きついて泣く等は、妻を取り戻したいだけのワガママで別段今まであったDVを反省している訳ではない。
DVで妻や子どもを支配しないと安心出来ないから、それに逃げられてしまった事が悲しいのだとわかる。
息子を脅し妻の居所を突き止めるなど、違法行為のオンパレード。
ジュリアンの姉の妊娠みたいなフリも回収しないまま。いちゃつきが過ぎるあのカップルは逮捕前に親父にシバ かれてた方が良かったと思う(笑)
ただ、この作品はジュリアンの表情に尽きる。
あの親父と車に同乗して母親の代わりに圧力を受け続けた勇気は凄い。
ラストは呆気ないとも言えるが、昨今ニュースで連日報道される話を聞く度に「何とかならないのか?」と悲しい気分になる。
離婚した夫婦とその子供達の関係を描いた話。
冒頭の離婚調停のシーンでは淡々と語られた夫であるアントワーヌの家庭内暴力が、チャプターを重ねるごとにジュリアンへのDV描写がリアルになっていく。最後のアントワーヌが妻子を襲いに来て逮捕されるシーンになると、弱者である妻子たちが体格が大きく武器を持つアントワーヌに襲われる恐怖が最高潮に達し、ただただ恐怖しか感じられなかった。
射殺しちゃって下さい
いやー、不謹慎だな俺。でも、この男、治らないでしょ。ヤレ、ヤッテくれ、遺恨が残れば却って危険なんだよ、の願い虚しく。パン!と行って欲しかったです。
DV親父と一緒にいる子供目線は初体験のシチュエーション。先読み出来ない緊張感は良かったけれど、期待値が高かったので、最後はもう一押し欲しかったです。
そっとドアを閉める隣人。世間の無関心や冷たさの象徴、的なエンディングに文句を言ってる訳では無いけれど。
現状
ジュリアンが必死にお母さんを守ろうとしている姿に胸が苦しくなりました。
助けを求めても証拠がなければ動いてくれない。
これが今の現状なんだと思います。
ラスト数分は凄い緊迫感でいつの間にか作品に入り込んで涙が出ていました。
ハッピーエンドで良かったと思いましたが、アントワーヌが出所した後もこの家族は恐怖から逃げられないのだと思うとつらいですね。
2019年ベストムービー!
この映画の予告編を観た時、どうせ何か"裏"があるんだろう…と思ってましたが、そのまんまのストーリーでした(笑)
最初の20〜30分は勘繰りながら観てましたが、何も起こりそうも無いし、"家族たち"が普通に怯えているし…(笑)
"ホラーよりもホラー"なんですが、主演の男の子1人が、映画の全てを持って行きました…というぐらいの名演です(笑)何と言っても、表情がいい!(笑)
風呂場のシーンは、なかなかの名場面となりました!
現代社会
フランス映画なので会話が常にアップテンポ。でもすぐ馴染みます。終始緊張してとにかく集中した。暴言暴力は恐ろしいと思った。ジュリアンが父親に恐怖を抱いて生活する様子を見ているだけで胸が苦しくなったしDVについてより色んな視点で考えられた。
パーティのシーン以外一切音楽が流れないんですよ。より父親とのやりとりでジュリアンの緊張感がこっちまで伝わってくるんです。逆にパーティでは字幕がほぼ無いです。でも今どんな状態で何が起きてどう思ったのかが目に見えるんですよ。あ〜演劇的だ!ってなりました。もっと色んな作品に触れたい。
変わった感じの無音映画!!
こんな映画を映画館で観たのはほぼ初めてです。ストーリーはよかったです。冒頭シーンのセリフばっかりのシーンで、これ途中で見飽きてしまうかもと思っていましたが、見飽きる事なく最後まで観ることが出来ました。面白かったので、パンフレットも買いました。最初はお父さん少し暴力的な感じがして、ストーリーの真ん中ぐらいになって、お父さんが少し落ち着いた感じがしましたが、後半のクライマックスで怒りに耐え切れなくなったお父さんが変貌し、ジュリアンと元妻の家に侵入し、猟銃を持ってドアに一発、二発ドン、ドンと撃つシーンは鳥肌が立ちました。クライマックスはよかったです。やっぱりDVは怖いなーと思いました。まあまあ良かったので評価3.5。以上。
鍵の向こうの家庭内暴力
フランスが舞台の、DVに苦しむ家族の物語。
両親の離婚の末、共同親権が認められ、父親と隔週での時間を持つことを余儀なくされたジュリアン。
小学生の少年がどれだけ嫌だと主張しても、父親の元へ行かなければならない…。
母親が息子をもっと守れないのかという声もありそうだが、あんな暴力男と正面から向き合うだけでも恐ろしいと、女の私は思ってしまう。
それでも物語のうちで徐々に、子供達を守るために元夫との盾になろうとする母親。
娘さんの歌う姿を見ながら元夫の待つ方へ行くシーン、本当嫌だったろうなぁ…。
やがて元夫の暴力はエスカレートし、真夜中の家へ押し入ってくる。
近所のおばあさんが通報してくれていなければ、命も危なかった。
個人的に考えさせられたのが、
最後にこのおばあさんが心配そうに親子を覗くと、気まずそうに部屋の扉を閉められるシーン。(扉が穴でボロボロ…)
それと、元夫が逮捕されるときに「妻なんだ!」とかわめいてたシーン。
家庭内暴力とか虐待とか、どうしても「家庭の問題」として済まされがち。
家族なら何をしても許されるの?それは違う。
だけれど、家庭の中の問題に、他人が入っていくことは、とてもとても難しい。
閉じられた扉の向こうでどんな恐怖があるかなんて…
また、家族なのに、完全に引き離す判断をすることも、難しい。
この作品は、そんな家庭という閉鎖空間を、「鍵」を隠喩にしてるのかなと思いました。
車中で、新居の鍵に執着する父親とジュリアン。
鍵を捨てることで今の家庭を捨て、大好きな彼と新しい人生を歩もうとする姉。
そして最後に、暴力で鍵を壊して押し入る父親。
昨今の日本国内での社会問題もあって、考えさせられる作品でした。
フランスの親権について学ぶ必要があった。
作品がはじまるや、離婚調停中の場面。観る前に十分な知識が必要。
フランスには「単独親権」と「共同親権」があることを。
家族の中で「父親」だけが悪者扱いになっている。果たしてこの作品自体が、現在のフランスのDV問題について真実を描いて言えるのか。確かにラストの描写については、ショッキングだし「シャイニング」(1980)を彷彿とさせる。しかし、どうだろうか。「シャイニング」は、キング氏の有名な非現実物語である。でも、この作品で起こっていることは、今のフランスの現実問題として起きていると言われると、そうかなと思ってしまう。警察との電話でのやりとりで切迫感があり十分な気もする。日本も、そこらへんは、学ぶ必要がある。
離婚調停中の流れに、不覚にも、ウトウトしてしまった私が偉そうに言うことではないが。
母親と子供二人3人だけで郊外へ新居を求めて向かったという件があるが、ミリアムとアントワーヌの関係は、いつから破綻していたのだろう。親のエゴで、子供がその犠牲を強いるということはどこでも同じ。ラストは、ドキュキュメンタリー風な幕引きでも良かったのではないか。
想像を裏切った徹底的なリアリティ
予告かフライヤーを見た印象は「夫婦の意見が食い違っていて、真実はジュリアンが握っている」そんな「まさに映画っぽい」話なのかなと思っていたら全然違った。
完全にありえる(というかどこかで実際に起こっている)事件をそのまま描いた内容。という印象。
観終わって、どんでん返しも何も無かったなと、思ったと同時に思い返すジュリアンが自分を犠牲にして母を守ろうとした健気さ、自分の要求を満たすためだけに子供を利用する父親の異常さ、どこまでも逃げられない恐怖。
めちゃくちゃ怖い。
ラストは「とりあえず」終わったというスッキリしないところもやはり怖い
これが本当のリアルサスペンス
アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)とミリアム(レア・ドリュッケール)のベッソン夫妻。
ふたりは既に離婚しているが、子どもの親権について争っている。
姉のジョゼフィーヌ(マチルド・オヌヴー)は18歳というこでほぼ成人として扱われるが、弟ジュリアン(トマ・ジオリア)は11歳。
彼の養育や面会についてが争点。
暴力的なアントワーヌのことをジュリアンは恐れていて会いたくないと陳述したが、調停の結果、隔週の面会が許可される。
しかし、ミリアムはアントワーヌを極力避けし、新たな住所も電話番号も教えない・・・
というところから始まる物語で、子どもを挟んでの夫と妻の物語は、昨年観たアンドレイ・ズビャギンツェフ監督『ラブレス』を思い出したが、行き着くところは違っていた。
基本的には暴力夫から逃げ出す妻子の話だけなのだが、丹念に撮られた前半は魅力的。
いつ爆発するかわからない男アントワーヌを演じるドゥニ・メノーシェが心底怖く、彼の自家用車の助手席に乗ったジュリアンが涙を流すシーンは、本当に怖がっているとしか思えない。
で、これが米国映画だったら、夫側も妻側も弁護士が出てきて法廷闘争となるところだけれど、フランスではそうはならない。
というか、弁護士を雇うほどの金銭的余裕はなく(冒頭の調停のときのみ弁護士を雇っているが)、どうにも法律で解決し、その後、遵法精神があるような人物ではない。
ということで、最終的にはアントワーヌが暴力に訴え、ミリアムとジュリアンのもとを襲撃してしまう・・・って、なぁんだ、サスペンス映画かぁ、って残念。
サスペンス映画というジャンル映画ならジャンル映画のように撮ってほしいかったなぁ。
前半がリアリティ溢れての地味地味映画なので、突然、怒り狂うアントワーヌには驚かされはするものの、呆気ない結末も含めて、うーむと首をかしげたくなりました。
ま、これが本当のリアルサスペンスなのかもしれませんが、期待していたものとは異なりました。
張り詰める不穏
当事者同士より弁護士のよく動く口にゲンナリする冒頭数分間、その間は母親と父親どちらが正しいかわからないけどすぐに判明する父親の異常性。
11歳の男の子とその家族をしっかり守る環境などなく、脆い強さに悲しくなる。
とにかくフラストレーションと恐怖感が止まらないあの男の言動で潰されそうになった。
わざとらしい澄まし顔に身の毛がよだつ。
嫌そうな顔で車に乗り込むジュリアンを抱きしめて連れ逃げたい。
外面の良い仕草と、苛立ち始めると止まらない攻撃的な態度が恐ろしい。
アントワーヌの両親の態度が甘くて嫌気がさす。
息子がおかしいことを知っていながらなぜ幼い孫息子をもっと守れないの。
荷物を放り出した父親の行動があんな最悪なことに。
裁判所の判決には疑問と怒りを感じるけど、条件を見る中立の立場ならではの決定だったのかも。
事情を知らない人間は恐ろしい。
楽しげなシーンも不穏が大きく、安心感はゼロだった。
パーティー会場でジュリアンの姿が見当たらなかった時の嫌なかんじ。
歌う際もどこか強張った表情の姉。
トイレでの一コマから連想される状況にまた頭が痛くなる。
あまりスポットの当たらない彼女だけど、それどうするの。これからのことを考えるとしんどい。
彼氏が大好きなのはわかるけど正直あまり頼りなさげに思える…何その三つ編み。
一番緊張感の高まるクライマックス、耳に焼き付くドアベルの音、けたたましい銃声と耳鳴り。
電話口の警察に縋るような気持ちになる。
猟銃を構えるアントワーヌの背後に拳銃が見えた時の大きな安心。
恐怖と焦燥とラストの安堵で感情が振り回され滝のように流れ、母子と共に泣いてしまった。怖くて涙が出るなんてなかなか久しぶりである。完全にホラー。
カメラワークが素晴らしい。
車の後部座席、トイレの足元、警察突入時、そしてラストカット。
そっと見守る隣人と観客の目線を重ねて、閉じるドアでエンドロール。
素晴らしい終わり方だと思う。
多分この親は世の中にたくさん存在していて、生活に紛れ込んでいる。
度々流れる痛ましいニュースにこの映画がリンクしているように思えた。
比べ物にならないけど、離婚した片方の親と出かけるくだりや支配的で態度の豹変する人間の描写は自分の子供の頃と少し重なって本当にキツかった。
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