劇場公開日 2019年1月25日

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「母子を守るのは一体何なのか」ジュリアン とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0母子を守るのは一体何なのか

2019年2月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

予想外にラストは恐ろしさからの号泣の作品だった

これはある家庭におけるDVを描いた作品

そんな映画を観ながら思い出したことがある

それは大学時代の友人の話

大学を卒業してから数年後、大学時代の同級生A君が結婚したという話を聞いた

その時、私は普通に
「そうかA君は結婚したのか」と思った

A君は、結婚して良い家庭を築きそうな人だと思っていたからだ

しかし、それから数年後、友人からA君が離婚したと知らされた

あまりの早さにビックリしたので事情を聞くと「妊娠してる奥さんに暴力を振るったらしいよ」と、これまた驚きの事実を聞かされた

その瞬間、さーっと体中の血の気が引いたのを覚えている

A君は、大学時代に一緒によく遊びに行った友人で、日頃から人に暴力を振るうような人ではなかった

しかし、結婚して家庭に入った途端、私たちの知らない「内弁慶の顔」が出たようだった

それ以来、DVというのは、周りの人には分からないところで密かに行われているもので、だからこそ、他人にはなかなか理解してもらえず、恐ろしいものなのだと思うようになった

この映画は、そんなDVの難しさをジュリアンという息子の視点で描いている作品だった

ジュリアンの両親は離婚しているのだが、父は裁判所でジュリアンとの面会日を要求する

どんなに母が夫のDVを訴え、息子が父に会いたくないと言っても、司法は父に最低限の権利を与えてしまう

市民を守るべき法律が、全く機能していないのだ

そこから事態は恐れていた方向へと向かっていく

司法が守ってくれないなら、誰が熊みたいな暴力男から か弱い母と息子を守るのか

現実世界では、ラブコメでよくあるようなムキムキのヒーローが突然現れるわけではなく、都合よく父に事故が起きて痛い目にあうわけではない

その実態は
深夜に押しかけてくる夫の恐ろしさに怯え、ベッドで泣きながら震えている母子が大勢いるということなのだ

一体、何のために司法はあるのか
そんなことを
考えさせられた作品だった

いやはや、本当に恐ろしかった

結婚生活に人には言えない悩みを抱えている人に、是非、観て欲しい作品

とえ