「字幕を読む=小説を読む感じ・・・」あなたはまだ帰ってこない kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
字幕を読む=小説を読む感じ・・・
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作家マルグリット・デュラスの自伝的小説を映像化した作品。前半はナチスの手先である男ラビエとのやりとりが中心で、自らもレジスタンス仲間と連絡を取り合う時期でもあったのでスリリングでした。夫を密告したのは誰だ?という疑問もあるけど、自らもラビエに「写真の男に見覚えはないか」と詰問され、いかにして仲間を裏切らないでいられるか・・・という心の揺れも見て取れる。写真の男が最後に登場するのもビックリだ。
女性一人で夫の帰りを待つなんてのは精神を保つだけでも大変なこと。釈放してやるから仲間の名前を言え!なんて言われちゃうと・・・という見どころ。そして、彼らのやり取りを見届けようとするディグリスや仲間たち。パリ解放が近づくにつれ、逆にナチスを処刑してやるんだという強い信念がマルグリットを支えるようになった。
しかし、パリ解放となっても夫は帰ってこない。もう死んでるんじゃないの?仲間は夫の死を知ってて隠してるんじゃないの?と、再び心が砕け散りそうになるマグルリット。といった感じで全編彼女のモノローグで繰り広げられる映画。わかりやすいけど、文学的な言葉遣いもあるため、映像表現がおろそかになっても気づかない・・・もっと工夫があればいいのに。
ラストの海岸のシーンは印象的でしたが、wikiを調べる限りではロベールとは離婚しているので、そのままの言葉として受け止めてもいいのだろう。まるで死を克服するまでの妻の務めを果たし、夫不在の間に彼女を支えていたディオニスの愛が勝ったのだと・・・
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