こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話のレビュー・感想・評価
全53件中、1~20件目を表示
今回2回目の鑑賞、深く感動しました。(実際はもっとた〜〜〜っっっく...
今回2回目の鑑賞、深く感動しました。(実際はもっとた〜〜〜っっっくさん、ボランティアの現場は激しくぶつかり合い、揉めたであろうと勝手に想像。)でも、人間って不思議な生き物ですねぇ。鹿野を支えているはずのボランティア達が、鹿野に支えられてる。逆転している。
鹿野って、果たして「ワガママな人」なのかな?冒頭は、なんつー自己中なオッサンなのかとドン引きするのですが、次第に、え、これワガママか??見てるうちによく分からなくなって来まして…混乱。
色々興味が出てきて調べてみて、パターナリズムという言葉を初めて知りました。当時どんな時代だったのか。鹿野があの時代に病院ではなく地域で生活するってどういうことなのか。人はなんで支え合うのか。
人間の、なんと濃ゆいことか。
そして、大泉洋を見るといつも思うのですが、彼は何であんなに良いのか。役柄関係無しに元々ちょっと暗さがあるというか、ネガティブな感じがあって、でもすごく愛嬌あって、バランスが素晴らしく魅力的なんですよね…演技派俳優って呼ばれる感じとは違う気がするけど、毎回毎回なんなの?この自然な説得力。そう、つまり、好きだーーっ!
愛されてるのはきっと
あんまり描かれてはなかったけど、わがまま言ってもみんなに愛されてるのは、きっとちゃんとありがとうという気持ちなど、感謝を伝えてるんじゃないかな?じゃないとこんなに人には愛されない。気がするけど。
自分らしく生きる
................................................................................................
大泉は筋肉が動かなくなって行く病気で介助を受けていた。
そしてボランティア達相手に何の遠慮もなく好き放題。
それにキレて一度はやめた高畑だが、呼び戻される。
そうこうしてるうちに大泉に心を開き、仲良くなる。
やがて大泉は症状が重くなり、人工呼吸器をつける。
そんな中でもボランティアを新たに募り、自宅介助の道を選ぶ。
そして退院パーティで高畑に求婚、断られる。
高畑が別のボランティア三浦と元恋人で現在仲が微妙と知った大泉は、
2人を呼び出してヨリが戻る手伝いをしたりする。
................................................................................................
この映画の大泉みたいな人間は、ある意味魅力的に見える。
他人に気を遣わない。それって簡単なことではない。
むしろそうした方が他人に愛されると知ってはいても。
だからそう出来る人間は強いと思う。そしてその強さには理由がある。
ある程度有名な立場である自分がそうすることで、
世の中の障碍者が気を遣わず生きられるようにとの持論だった。
最終的に大泉は死ぬが、死ぬシーンは無い。
ベタなお涙頂戴みたいになるからだろうか。
色々と考えさせられた映画ではあった。
観る価値ないと思います。
主人公の我儘ぶり、見ていて反吐が出ました。
そんなのを甘やかすからつけあがる。
何言われてもへーこらしているボランティアに虫唾が走る映画でした。
なぜここまで甘やかすのか?
全く理解できません。
なんでこんなクズのボランティアやっている?
困っている人、いくらでもいますけど?
食べたきゃ言うのさバナナだと
ずっと見てみたかった作品。
三浦春馬の生前に、見ておきたかった。
そういうひとつひとつを、健常者からすれば、また明日でも数年後でも叶えられる確率が高いが、筋ジスではそうはいかない。
明日どこが動かなくなっているかわからない。
介助の目が行き届いていなければ、何もできない。
自力でやろうとする気持ちが強い人ほど、できない自分を受け入れて、できないなら人に頼る生き方に切り替えるのは難しいだろう。
作中の三浦春馬演じる田中くんが良い例だ。
思っている本音があるのに、言えない。
他の人の気持ちを優先させてしまいがち。
すごく優しいのだが、余裕があるぶっているだけとも言える。
反対に、三咲ちゃんは全力。
我慢せず言うし、健常者や障がい者の垣根なく人間として接する。本音のぶつかり合いが、鹿野さんからすれば楽しく、過ごしやすかっただろうと思う。
人に迷惑をかけずに生きるなんて無理なのだから、一度きりの人生、自分のために生きようよと思った時、みんなもそう思っていれば、介護だけに人生を費やしてしまう人が出ることなく、他人でも介護にできる範囲で携わりながら、障がい者も健常者も関係なくやりたい事をできる社会が見えてくるのかもしれない。
できることできないことをオープンに、やりたいことを、能力や物理的状況に囚われずに口に出してみる力。
簡単なようですごく難しいけれど、言わなければわかってもらえない。
鹿野さんは途中、その発言する声さえも失いそうになる。
言えるうちに、言って、伝えてみないといけない。
作中、三咲ちゃんが最初は、医大生目当ての合コンで教育大と嘘をつき医大生と付き合うフリーターだったが、鹿野さんと出会いボランティアに参加する中でどんどん、ボランティアの世界に引き込まれていく。
いつしか、障がい者とか関係なく、鹿野さんと人間愛で結ばれていく。
その関係性を、田中くんは本当は快く思っていないし、不安と嫉妬でいっぱいなのに、伝えない。
ボランティアに無理して参加するうち医学部の勉強にも支障をきたし、退学しようとまでする。
三咲ちゃんには、ギリギリの心をぶつけに来て、鹿野さんとの関係を「同情があれば何でもするのか」と詰め寄るが、ベッドイン寸前という表現の誤解を解くために、田中くんとの仲直りを優先させて「鹿野さんとはなんでもない」と言うのではなく、
「同情じゃない」
「好きになるかもしれないじゃん」
と鹿野さんを1人の人間として対等に見ていることをまずはっきり言葉にする三咲ちゃんの台詞が、印象に残ったしとても良かった。
「なんで俺の彼女だと最初に言わなかったんだよ」と田中くんに聞く鹿野さん。
田中くん、きっと鹿野さんが男性として見られるって思ってなかったのだろうな。
対等でないと心の奥底のどこかで思っているからこその慢心だった。
三咲ちゃんの中には常に田中くんがいて、鹿野さんを恋愛対象として見つめてはいなかったが、そんな関係性を凌駕する人間愛で繋がっている。
とても温かで、心に正直で、素敵な関係性だった。
優しい田中くんの、本人も意識していない思考の奥底の傲慢さを指摘するような、田中くんの人生に大きく影響する出来事だったと思う。
世の中にはどうしても健常者の方が多くて、田中くんの態度の方が一般的だし、田中くんのような振る舞いの優しさを、優しいと捉える人が多いと思う。
でも、本作を通して、優しいの本質を投げかけられた気がした。弱さやかっこ悪さ恥ずかしさを隠したくてもさらけ出すしかない、かっこつけたくもつけられない鹿野さんは、その本質をよくよくわかっていたのだと思う。
どの障がい者もこういうふうになるわけではなく、
鹿野さんが好かれる人間性だったことも影響していると思う。
対等でオープンな人には同じような人が集まり、その集大成が鹿野ボラという組織だったのだろう。
素敵な作品だった。
ちょっと待って、私だけ?
ずっと気になっていたので観てみましたが、映画だとわかっていても引っかかってしまう部分がちらほら。冒頭の鹿野さんの態度は、演出として理解できますし、それに翻弄される美咲と田中くんのキャラクターもよく伝わってくる構成になっていたので、我慢して観られました。しかし、鹿野が、「みんな対等 障がい者が人生を楽しんで何が悪い」というモットーで、周りの人に迷惑をかける様を見ていると、親しき仲にも…という言葉がやはり浮かんできてしまうし、命令の仕方も、田中に対する侮辱も、明らかに「対等」では無いのでは?と感じてしまってすごく気になりました。
美咲のキャラも、大学を誤魔化して田中と近づこうとする可愛らしさや、田中の押しに負けてボランティアに行ってあげてしまう優しさを持ち合わせておきながら、「障がい者って何様?」と言ってのけるキャラクターに、最初は愛を感じ、応援する気持ちで観ていました。しかし、結局は何故か自分のポリシーを捨て、鹿野にすっかり陶酔していくばかりでなく、挙句の果てに鹿野と恋愛関係になっていった辺りでモヤモヤが止まりませんでした。田中くんのなよなよしたキャラクターや不器用さ、自分のプライドを何より優先してしまう態度に腹がたつのは理解出来るのですが、だからといって、自然消滅として一方的に片付け、鹿野に対し、ポルノDVDについて聞いたり、胸を触らせたりしておきながら、プロポーズを断るのはおかしくない?え、というか、そこで田中を理由にするんだ?!と思ってしまいました。恋愛要素として組み込むにはあまりにも内容が入り乱れすぎていて、そういうストーリーとして昇華するのは、私には無理がありました。実話なんでしょうか…??
後半で、鹿野が具合悪いフリをして周囲を脅かす場面も、正直腹が立ちました。たしかに、今まで何度も命の危機を乗り越えて来たことに対する自負や、鹿野なりの考えがあって、それに周囲が同意しているのであればそれでいいじゃないか、とも考えられるのですが、そういう人たちも、命に関わる部分で職場に電話がかかってきた日には、「いよいよもうダメかもしれない」って、毎回本気で思うのではないでしょうか。それなのに、「ドッキリでした~許してくれるよね だって僕だもん」という姿勢の鹿野と、その他大勢のヘラヘラとした態度、それを「まあ仕方ないよね 鹿野さんだもの」ととろーんとした目で見つめる美咲に対して、終始、甚だ疑問でした。
そんな中、見終わったあとにレビューを見てみると、皆さん大絶賛されていてあまりに驚いてしまい、私と同じことを言っているレビューを探すも、見受けられなかったので、レビューを書いてみました。ただ、素直にいいなと思う部分もあり、例えば美咲と田中がお弁当を食べるシーンの2人のやり取りは、予定調和な感じがなくリアルで、合コンで付き合ったカップルのよそよそしさや、噛み合わなさが表現されていて素晴らしいなと思いました。キャスト自体も、皆さんすごくハマり役ですし、大泉洋さんの病気に苦しむ演技は見事でした。三浦春馬さんの演技もすごく自然で、「こういう人、いるよね」と思えました。ただ、やはり、鹿野というキャラクターの首尾一貫したポリシーの根底にある矛盾や、無理やりに組み込まれたようにも思える歪んだ恋愛要素には目を瞑ることができませんでした。
大泉洋がいい
大泉洋さん演じる主人公は、ALS筋ジストロフィーという病気を患っています。
なので、普段の生活も車椅子に乗ったままボランティアの人達の力を借りて生活するしかない。
だけど、そんな主人公は、病に嘆くでもなく自分のやりたい事や興味のある事に積極的であり、周りに対しても自分の意見を言ってばかりいます。
この映画のワンシーンでボランティアの人が言った「障害なのに自由すぎる」まさにそれだと思って面白いと思いました。
体が動かなくても心があるなら、なんでもやれる。
自分が好きな人が作る事も出来る。資格の勉強も出来る。誰かの力になる事も出来る。
辛いという事がこれほどまでにコミカルに忘れ去られるくらい気持ちいい主人公のお話でした。
観た後は、なんだかスッキリした気持ちになれました。
別の意味で泣けてしまった
「 パーフェクトワールド」、「パーフェクト・レボリューション」と立て続けに車椅子が主人公の映画を見たが、この映画の主人公は筋ジスのため、障害のレベルが上記2作品とは比べものにならないくらい大変であることが分かった。人工呼吸器になってから、筆談でのセリフになるのか、映画として成り立つのか心配していたが、ちょっと意外な展開だった。
この映画の主人公のひとり、三浦春馬が亡くなってから見たので、映画の内容よりも、彼の演技を見て泣けてしまった。
みんなに観てほしい
録画を観て。とても感動しました。
特に母との関係は涙をこらえました。
息子の世話だけの人生を送ってほしくないから、ボランティアの人の時間を少しずつ貰って生きる。手紙でやっと本音を伝えるのもニクイ。
ワガママを言うのは、ボランティアの人にも遠慮させないため、家族のような存在にお互いが近づくように、かな。
どこまでが実話かは分からないけど、シナリオの完成度も役者の演技も良かった。
難病の方、それを支えるボランティアの方の存在を知るだけでも価値のある映画だし、自分の生活を省みるきっかけにもなるし、多くの人に観てほしいと思った。
「 正直に生きてるか? 」の問いが心に響く作品
主人公鹿野を演じた大泉洋さんの明るさが、作品をより魅力的にしていた。
真っ直ぐで心優しい美咲を高畑充希さんが、真面目さ故に進路に迷う医学生を三浦春馬さんが( 未だに亡くなられた事が信じられません )、気さくで優しい眼差しの
女性を渡辺真起子さんが、映画「 罪の声 」の生島とは違い、少しおっちょこちょいの男性を宇野祥平さんが、それぞれに愛溢れるボランティアスタッフとして個性豊かに演じられていました。
温かい気持ちで誰かを支えるという事、今日もボランティアとして支えている方がいるという事に想いを馳せる、そんな心温まる作品でした。
日テレを録画にて鑑賞
んー、俺はそんなに、
賛否が分かれる作品かと思う。
俺は「否」の方、かな。
デリケートなテーマだし、話もわかる、でも、その流れにムリがありそうな、自分がその場にいたら対応できないだろうなって、入り込めなかった。
そんなうまいこと、そんなんで楽しめないでしょ、ボランティアもそこまでやれるもんでもないでしょ、とも、自分がひねくれてるのか、そう感じてしまうとこも多々あったり。
実際にそこまで携わった人もいた「実話」でもあろうけど、たまたまこのケースが取り上げられただけでもあり、こういう映画になっただけでもあり、実際はもっと過酷だったり深刻な状況もたくさんあろうし。
自分がかわいいとか、障害をもった人に対して、とか、考えようによっては深くもとらえられはするけど、俺はこの映画でそこまではなれなかった。
「美談」にしようと思えばできる、「見てる人に投げかける」とか評価できよう、でも、なんかホントの意味での賛同も感動も俺はできなかった。
あえて明るく、お涙頂戴みたいしてないのはいいけど、終盤一気に7年たって亡くなったあとになってたのも、あえてそういう展開にしたくなかったからか、でも、なんかそこまでスッキリするような作品ではなかったかな、と。
大嫌い。めっちゃモヤモヤする。
萩原聖人さんとポルノグラフィティが好きで、一度さっくり観たんだけども、三浦春馬さんのこともあり改めてちゃんと観た。
まーーーーイライラする。
違和感と苛つきしかない。
なんでこんな評価が高いのかも分からない。
言いたいことは分かる。けど、そもそも鹿野のどこか憎めない感とかなんか愛されるとことか、全然理解できない。無いじゃん。
美咲が心変わりした理由も分からない。あんなに拒絶してたのに、「この人のボランティア続けよう」と思えるほど鹿野のいいとこあったか?
いまで言う「プロ障害者」と一緒じゃん。
田中の言葉に集約されてるけど、正直に生きるとか言いながら、病気を盾にただただわがまま言ってるようにしか見えない。病気だとか、人工呼吸器つけてるとか、ここまでくるともはや関係ない。田中を迎えに行ったときの友達発言とか「は??」って感じ。
「のべ500人を超えるボランティアが鹿野を支えた」とあるけど、この性格じゃなかったらもっと少なくて済んだんじゃないの?多いほうがいいパターンじゃないだろ。
生きづらい世の中で、みんな相手のこと考えてバランスとって過ごしてるんだよ。なんなんだよ。
萩原聖人がカラオケの場面で楽しそうだったり、机に手置いて顔乗せてるのが大変貴重なのと、その他配役は良かった。あとポルノグラフィティの起用ありがとうという思いで、『模倣犯』と同じ0.5は付けられず星一つにした。
ボランティアとは
実話を元に描かれた作品。
筋ジスの人が一人暮らしをするとは、どういうものか知りたいという気持ちから鑑賞。
24時間ボランティアがいないといけない。わがまま言い放題で、なんてやつだと言うシーンがあるが、わがまま言うのも命がけっていうのが響いた。
全編において悲観してるわけじゃなく、やりたい夢をもち、前向きに生きている鹿野さんが素敵でした。
辞めるボランティアが、電話越しに「困ってないじゃん」っていうのが、ボランティアって困ってる人を助けるってイメージだよなぁと思った。でも、鹿野さんはボランティアさんのことを家族って言ってて、ボランティアさんたちも呼吸器をつけることになった鹿野さんのために看護の仕方を学んでてすごいと思った。
実話⁈
筋ジストロフィーの鹿野さんと鹿野さんの自立生活を支えるボランティアさん達の日常生活を描く。
24時間人の助けが必要な鹿野さん。
学生ボランティアを集め、実習を兼ねた〝鹿野ボラ〟を作り楽しくガヤガヤと日常を送る。
ボランティアの1人、医学生の田中と田中を訪ねて来た美咲。
鹿野のわがままに振り回される2人だが、鹿野が美咲に好意を抱きラブレターの代筆を田中に頼む。
美咲は田中の彼女だが、鹿野には話して無かった。
なんだか複雑な関係。
美咲は他のボランティアと違い、鹿野に遠慮が無い分ハッキリと否定する。
美咲がついた嘘が元で田中と美咲の関係が壊れ、田中はボランティアを辞めてしまった。
鹿野は一芝居打ち2人の気持ちを確かめた。
死を目前にしても夢を諦めず、明るく愉快に日々を過ごす鹿野の姿に勇気をもらえる。
母親には自分の時間を過ごしてもらいたいと思う鹿野の優しさがホロリとくる。
笑い泣きしました
Amazon Primeでみました。
暇だったので、あまり期待せず観たのですが、観てよかったーと思いました。
最初は、ボランティアの人たちを横柄に扱う主人公に腹立たしくも思ったのですが、それは強く生きるため、自分が自分であるためにそうしているんだということが段々と分かってきて、どうして主人公の周りにはいつも人(ボランティア)がたくさんいるのかわかる気がしました。
私も前向きに生きたいと思いました。
ちなみに、タイトルの意味は冒頭ですぐに謎が解けます。観進めていくとそのイメージが覆り、感動に変わりました。後半は泣いたり笑ったり、大変でした💦
あと、高畑充希さんの演技が最高でした!めちゃくちゃ演技うまかったです。それも観て欲しいです。大泉さんは言わずもがな、です。ピッタリのハマり役だと思いました。綾戸智恵さん、女優もいけるんだ!と新しい発見でした(私が知らないだけで他にも女優業もたくさんされてるならすみません…)。
号泣覚悟だったのに
あえて別れのシーンが無かったのは意外だった。
号泣覚悟だったので、悲しい気持ちよりも幸せな気持ちで終われたことに驚いた。
余命宣告されてから20年も、しかもほとんど自宅療養で生きれたなんて信じられない。
それもこれもボランティアの方々が居たから、そして遠慮せずにワガママを言える鹿野さんだったからだろう。
最初はなんてワガママな人なんだ!と思ったけれど、ボランティアの方々が楽しそうに本当の家族の様にしている理由が私も分かった気がする。
パーティの場で空気に呑まれず、同情もせず、プロポーズを断ったみさきちゃんは偉いなと思った。
身体障害者とか健常者とか関係なく、「友達」と言える関係を築ける鹿野さんは素敵だった。
内容は意外に良かった。 どこまでが実話で、どこまでがフィクションなのか?
観ている間はそれが知りたいと思ったが、観終わった後は、それはどうでもいいか、と思い直した。
タイトルの内容は序盤のシーンにすぐ現れ、それを見ると、「うわ、なんかこれ、ずっと観るの辛いかも」と思っていたが、その後は、普通に見れる。これは、大泉の演技力のなせる業なのか?
美咲がだんだんと鹿野に心を許していくターニングポイントが、あの「間に合わなかった」場面というのが、ちょっと腑に落ちないし、美咲と田中のその後の関係性も、なんだかすっきりしないが、まー、それは飲み込みましょう。
この映画で2つ、ほんとよかったと思えたのは2点。
一つ目は、家族の絆。母と鹿野が手を握りながら、無言で、そして目と目で会話するシーンは、胸にグッと来た。
「おかあちゃん、おかあちゃんには、自分の人生を生きてほしいんです」
それを書いた鹿野。そして受け取った母。二人の胸中を思うと、胸が締め付けられる。
そして2つめは、定番で泣かせる「亡くなる間際のシーン」を入れていない(取り除いている)点。
(途中、2回ぐらい、それに近いものがあったが、そこは笑いで吹き飛ばした大泉、いや鹿野。)
もし「亡くなる間際のシーン」が入っていたら、普通の"お涙頂戴映画”に陥っていたであろう。
この映画は、そこがポイントではなく、困難を乗り越えて行くこと。そしてそれに挑戦している人へのエールを送るための映画なのである。
それが証拠に、最後は、鹿野がボランティアのみんなに囲まれながら、ロックを歌っているシーンになっている。エールを自分に、ボランティアのみんなに、そしてこの映画を観ているものに送っているのだ。
久しぶりに、いい映画を観た。
こんなワガママ男に感動かよ
筋力が低下し麻痺していく難病“筋ジストロフィー”を患い、2002年に43歳で亡くなった実在の人物、鹿野靖明氏。
その凄絶な闘病記…であるのだが、
さながら鹿野氏の人となりのように、明るく前向きに、笑いと涙の好編。
何と言っても、鹿野氏の人物像。
先に述べたように、難病を患いながらも明るく前向きに、病院には入院せずケアハウスで自立生活を送り、精一杯自由に生き、アメリカに行ってある人物と会いたいという夢がある。
何だか健常者の方こそが見習うべき点多々。
これだけなら誰にも尊敬される人格者だが…、少々性格に問題アリ。
24時間介護が必要な身で、常にボランティアが付き添わなければならないのだが、とにかくワガママ!
このコミカルなタイトルがまさにその一例。真夜中に突然バナナが食べたいと言い出し、買いに行かせる。
自己チュー。ボランティアスタッフはもうヘトヘトで眠さMAXなのに、ベラベラベラベラお喋りに付き合わさせる。
かなりの皮肉屋、減らず口。
あれやってこれやって、あれ欲しいこれ欲しい、ああじゃないとダメこうじゃないとダメ…。
自分は昨年悪い病に掛かって入院した際、看護士の助けが欲しい時申し訳なさそうに頼んだのに、何様!?
でも不思議と、彼の周りにはボランティアスタッフが集まる。
もうそのワガママぶりも承知の上のようで、時々困らされるけど、慣れたもん。
信頼性か、それともワガママ言い放題だけど何処か憎めない愛すべき鹿野氏の魅力か。
鹿野氏のボランティアの中に、医者の卵の青年、田中が居る。
彼の紹介で新たにボランティアとしてやって来た若い女性、美咲。
最初は鹿野氏のワガママぶりに唖然。遂には我慢出来ず、「何様!?」と食って掛かったのは実は彼女。(まあ、そう言いたくなる気持ちも分からんではないが)
美咲は田中と付き合っているが、デートよりボランティアを選んでしまう彼氏に不満が募る。
おまけに鹿野氏から猛アタックされる。
もう二度と来ない!…と言ったのに、鹿野氏の強引さに根負け。ボランティアを続ける。
散々人を振り回す鹿野氏だが、時々胸に響くいい事を言う。
美咲は本当はフリーターで、教育実習生と嘘付いて田中と付き合っていた。それがバレ、仲がぎくしゃく。
そんな時、鹿野氏がナイス助言。「嘘をホントにしちゃえばいい」
将来の夢など無かったうら若い女の子の背中を後押し。
鹿野氏もよく嘘を付いているとか。わざと痛がってみたりして、ボランティアスタッフの気を引くことしばしば。
鹿野氏の場合それは、生きる為の必死の嘘。
また、愛情の照れ隠し。母親が見舞いに来ると、「クソババァ」「早く帰れ」と辛辣な言葉を浴びせる。無論、本心ではない。
親というのは、障害を持った子供を産んだら、自分のせいと一生責める。
母ちゃんは何も悪くない。俺は自立して生きていけるから、母ちゃんも自分の人生を生きて欲しい…。
親思いの優しい子なのだ。
身体が動かせない以外普通の人と何ら変わり無いが、その身体には徐々に病が深刻にのし掛かって来る。
遂に倒れ、拒んでいた入院をしなくてはならない事に。
しかも手術や酸素マスクが必要となり、鹿野氏の“自由”と“命”である声が出せなくなってしまう。
さすがにその闘病姿は、見ていて辛くもなる。挫けたくもなる。
しかし、鹿野氏もボランティアスタッフも諦めない。へこたれない。
医師に内緒である方法で、出せなくなった声を再び取り戻す…!
もはや奇跡!
それもひとえに“家族”の支え。
“家族”と言っても血の繋がりある実の家族ではなく、言うまでもなくボランティアスタッフたち。
彼らの支えあって鹿野氏も頑張る事が出来た。
ボランティアスタッフたちも鹿野氏の闘う姿に奮い起こされた。
彼らは患者とその介護スタッフの関係ではない。
対等の“家族”なのだ。
理想的かもしれない。でも、こうありたいと思わせる。
人と人、病との向き合い方を。
実在の人物なのに、まるで大泉洋の為のハマり役。
あの癖ある性格、ちょい小憎たらしさ、ユーモアと人間味…。
体重を10㎏も減量し、熱演!
美咲役の高畑充希も自然体の好演。何だかこれまで見てきた中で、最も魅力的に可愛らしく見えた。
三浦春馬もなかなか悪くなく、その他周りのキャストも皆、好助演。
『ブタがいた教室』の前田哲監督の卓越した演出手腕が本作でも冴える。
シリアスな題材や苦しい場面もあるが、邦画のこの手の作品にありがちな辛気臭さは無い。
難病映画でも闘病記でもない。
これは何ものにも負けず、自由を求め、各々夢に向かって生きた愛しき真実の物語なのである。
2020年7月19日追記
近々また見る予定だったが、急遽昨日鑑賞。理由は言うまでもなく。
本作で田中くん役の三浦春馬さんが死去。
しかも、自宅で首を吊った自殺という衝撃…。
特別大好きな役者という訳ではなかったけど、いつ見てもどの作品見ても好印象。
熱演したり控え目な役を好演したり、自分の中での印象は『君に届け』の風早。追悼メッセージ通り、本当にあんな好青年だったのだろう。
それにしても、一体何があったのか…?
真面目でストイックで、我々には分からない人知れず悩みや苦しみ、重圧があったのだろうか…?
それでも我々に魅せてくれた笑顔、好印象。
30歳という若さ、子役からの長いキャリア。
誰もあなたの事は忘れません。
今はただただ、ゆっくりお休み下さい。
全53件中、1~20件目を表示