「内容は意外に良かった。 どこまでが実話で、どこまでがフィクションなのか?」こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 川柳児さんの映画レビュー(感想・評価)
内容は意外に良かった。 どこまでが実話で、どこまでがフィクションなのか?
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観ている間はそれが知りたいと思ったが、観終わった後は、それはどうでもいいか、と思い直した。
タイトルの内容は序盤のシーンにすぐ現れ、それを見ると、「うわ、なんかこれ、ずっと観るの辛いかも」と思っていたが、その後は、普通に見れる。これは、大泉の演技力のなせる業なのか?
美咲がだんだんと鹿野に心を許していくターニングポイントが、あの「間に合わなかった」場面というのが、ちょっと腑に落ちないし、美咲と田中のその後の関係性も、なんだかすっきりしないが、まー、それは飲み込みましょう。
この映画で2つ、ほんとよかったと思えたのは2点。
一つ目は、家族の絆。母と鹿野が手を握りながら、無言で、そして目と目で会話するシーンは、胸にグッと来た。
「おかあちゃん、おかあちゃんには、自分の人生を生きてほしいんです」
それを書いた鹿野。そして受け取った母。二人の胸中を思うと、胸が締め付けられる。
そして2つめは、定番で泣かせる「亡くなる間際のシーン」を入れていない(取り除いている)点。
(途中、2回ぐらい、それに近いものがあったが、そこは笑いで吹き飛ばした大泉、いや鹿野。)
もし「亡くなる間際のシーン」が入っていたら、普通の"お涙頂戴映画”に陥っていたであろう。
この映画は、そこがポイントではなく、困難を乗り越えて行くこと。そしてそれに挑戦している人へのエールを送るための映画なのである。
それが証拠に、最後は、鹿野がボランティアのみんなに囲まれながら、ロックを歌っているシーンになっている。エールを自分に、ボランティアのみんなに、そしてこの映画を観ているものに送っているのだ。
久しぶりに、いい映画を観た。
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