1987、ある闘いの真実のレビュー・感想・評価
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1987 ある闘いの真実
全斗煥による軍事政権における拷問を暴く話。
1970年頃、「東亜日報」への弾圧があり、
時々出てくる「金大中」(キム デジュン)という政敵の名前。
彼は1973年に飯田橋のホテルグランドパレスから拉致され、1985年に全斗煥大統領の下で政治活動が解禁された。
そして、「タクシードライバー」で描かれた「光州事件」
こんなことを背景に見ていくと、韓国における「軍事独裁」の中身が見えてくる。
分かりやすいメッセージ映画です。
光州事件からの長い闘いと道のりを経て、民主化の陽が昇る
韓国映画はサスペンス/バイオレンスに傑作多いが、社会派映画にも見応えある力作多い。
実録物なら尚更。
いつぞや見た『タクシー運転手 約束は海を越えて』に続き、こちらも大変良かった!
1987年、軍事政権下の韓国。
警察による反体制分子摘発が激化。
デモに参加した大学生が警察によって拷問死。
それをきっかけに、民主化の火種が拡がっていく…。
韓国の当時の政治背景が絡み、小難しそうに思うが、何て事ない。
独裁政権/国家権力によって一人の一般人が殺された。
こんな暴虐をこのままにしていいのか…?
大学生を殺したのは、誰もが名を聞いただけで震え上がる某警察。
捕まったり、連行されたりすれば、そこで終わり。
その警察の実態とは…、ゾッとするほど恐ろしい。
取り調べという名の拷問は、暴力、水責め、電気ショック…。
拷問殺人の他に警察ぐるみで、隠蔽、捏造、横領…。
所長は絶対君臨者。部下は死の執行人。
こいつら、本当に警察か…?
もはや警察に非ず。
“警察”という皮を被り、“権力”という武器を行使し、質が悪いってもんじゃない。
やくざや犯罪組織以上の極悪さ。
当然、こんな暴虐が隠し通せる筈がない。
検事が捏造された大学生の死に不審を抱く。
新聞社がスクープする。
真実を知る刑務所看守は隠蔽に苦しむ。
仲間の大学生たちは闘争に立ち上がる。
多くの人々が現体制に立ち向かい、各々闘いに身を投じていく様を活写する。
極悪警察組織はダーク・サスペンス。
立ち向かっていく検事や新聞社はこれぞ社会派映画!
真実を知る看守のドラマは人間味たっぷり。
民主化に協力する神父らへの情報伝達などスパイ映画のようなスリリングさ。
学生運動の青年と看守の姪の青春ドラマ風の当時の風俗やスパイス的なユーモアも織り込み、群像劇スタイルの社会派エンタメとして、本当に面白く出来ている。
『チェイサー』のキム・ユンソクとハ・ジョンウが再び対立し、『タクシー運転手~』にも出演したユ・ヘジンや名優ソル・ギョングらベテラン、『お嬢さん』のキム・テリや『MASTER マスター』のカン・ドンウォンら若手、韓国実力派の面々のアンサンブル。
『ファイ 悪魔に育てられた少年』のチャン・ジュナンの演出も上々。
『タクシー運転手~』の題材である光州事件にも触れられ、そちらも知っておく(もしくは『タクシー運転手~』を見ておく)と、よりいいかも。
本作は、光州事件から7年後の事件。
言い換えれば、今から僅か30数年前。
『タクシー運転手~』の光州事件の時もそう感じたが、遠い昔ではないつい数十年前、お隣の国でこんな大事件があったのだ。
しかし、驚くべき事ではないかもしれない。
今も“北”の方では軍事独裁政権が続いてるではないか。
韓国も日本も昔はそうだった。
が、いつまでも民衆が苦しむ政権が続いたりはしない。
いつか必ず、民衆が立ち上がる。
その時は、多くの民衆が傷付くだろう。血を流すだろう。犠牲になるだろう。たくさんの悲しみに溢れるだろう。
苦闘の末に礎が築かれた、民主化までの長い道のり。
民衆の声を聞け。
民衆の声に耳を傾けろ。
民主化の陽が、昇った。
二本立て二本目。 なんとタイムリーな作品。韓国政府がレーダー照射問...
二本立て二本目。
なんとタイムリーな作品。韓国政府がレーダー照射問題等で嘘つきまくることが理解できる(笑)
反共とか言いつつやってることは北と何ら変わらぬ組織。そしてそんな組織が絶大な力を持つ。怖すぎです。おそらくこの体制、今も色濃く残っているんだろうと思います。
日本が進んでるわけではないが、正直これに比べるとまし。韓国は政治的にはまだまだです。
しかし、映画的にはすごい。この作品、有名な役者がいるわけでもないのにずっと飽きさせません。映画的には我が国は完敗だと思う。
これ見て安易にデモとかに参加するのだけはやめてほしい。怪しい思想の方も多いのです。
とっても美しいヨニが最後…そこがやや不満なのです。
いやー素晴らしい作品です。見るべきです。
民主化運動のエモいドラマ
韓国の民主化運動を描いた作品。
さすが韓国映画、役者が揃っていてストーリーも面白く見ごたえがある。歴史の勉強にもなった。
軍事政権側の悪役として登場する捜査所長、朴の人柄や人生を感じさせるシーンも多々あり、物語に深みが出ている。
韓国映画はベタな演出がうまい。過剰ともいえるエモさで(嫌いじゃないけど)やたら登場人物がキラキラと美しく見えたし、民主化に向かう時代のうねりのパワーの力強さも感じさせられて胸が熱くなった。
最近のニュースを通じて知る限り、韓国は大統領がころころ変わっているイメージだった。韓国の人たちの政治に関与する態度は、日本のそれとは違って過敏にも思えるし、政治の側もかなり民衆を気にして動いているなと感じていたのだけど、韓国はこれまで、民衆が動くことによって権利を勝ち取った直近の実績があるからなのだな、と納得し、その意識の高さを羨ましくも思った。
小さな正義が権力に挑む
全斗煥による軍事政権下の韓国。民主化を求める市民や学生の活動を当局は押さえ込もうとしていたが、行き過ぎた取り調べの結果、1人の大学生を拷問の末に殺してしまう。
政府や警察は、その真相を隠蔽しようとするが、そこに立ち向かう人々の闘いを描く。
熱い。
終始、血がたぎり、涙が流れる。
状況を見れば当局に従うのが利口だ。
だが、そこには不正に眼をつぶることが出来ない人たちがいる。
彼らは一介の市民や学生だったり、下級役人だったりする。
彼らの職分や役割は小さいかも知れない。だが、自分の行うべきことにおける正義を忘れない。彼らが貫いた小さな正義が、やがて大きなパワーとなり、権力を揺さぶっていくさまが痛快。
作中、「閣下」と呼ばれる全斗煥の生身の姿はついに見えない。登場するのは、テレビの画面越しの公的な演説、写真、そして側近が伝える「意向」だけだ。
その「見えない存在」が、弾圧するほう、されるほう両者の運命を翻弄する点に恐ろしさを感じる。
特殊警察(公安のような組織と思われる)のトップのパク所長は脱北者。彼が北や共産主義を憎む挿話が語られ、(その憎しみは歪んだ形で表れているものの)「弾圧する側」の心情も描かれ、人間ドラマを重厚に見せている。
ムダと思われる挿話もなく、観客をぐいぐい引っ張る推進力は相当なもの。非常に締まった内容で、まったく飽きさせない。ドラマを煽る音楽、いささか芝居じみたカメラワークも観る者を裏切らない。重厚なノンフィクションでありながら、エンターテイメントとしても一級品である。
これから?
ある意味、怖い映画ですね! 30年前ですか?日本は何年前でしょうね? 一人の学生の死が流れを大きく変えるということはあるのですね! 体制が国民を監視し、それにいずれ反発が起こるを暗示させる近未来を過去の事例で予見(?)させる映画といえば大袈裟でしょうか? ラストはおさめてしまった感があったのでしょうか?
実話・・・
たった30年前。俺が大学生出て3年たった頃に、韓国ではこんなことが起きていたのか。当時は、俺は社会人なので、新聞読んでなかったわけではないので、日常的に触れていた話題だったのだろうが、全斗喚大統領の名前くらいしか記憶がない。
いかに、他国のことに関心が低かったか、特に圧政のような話題に感度低く生きていたのかと思う。
こうやって、その国の人が、30年経った頃に、振り返って記録し、そして伝えることが、大切なことなんだなあと心から思う。当時はうかつだった俺も、映画のおかげで、あらためて気づくことができる。
この作品は、ヒロインがきれいだとか、ある程度のエンタメ性をもたせている。この映画が描いたような大切な事実を伝えるためには、ある程度のエンタメ性も必要な気がする。事実描写と、飽きさせない程度のエンタメが見事にバランスとれている映画が、、長くの間、記録としても生き残っていくのだろう。
自分の心の中でも、長く語れると思う。楽しかったというのは、韓国の人に失礼な気がするので使えないが、少なくとも堪能した。
対北の緊張感の中で生まれた全斗喚政権には、時代の必然性があったはず。しかし、1987年頃には、それがあわなくなってきていたというか、必要性が薄れてきていたのだろう。だからこそ、市民の意識とのギャップが大きくなり、この映画が描くように、打開への欲求が高まって、政権は崩壊していったのだろう。
しかし実際に崩壊する直前までは、それにあらがうことが無駄に思えたりするのだということを、この映画を見て学ぼう。そう思えても、必ず変化は現れるのだ、ということを。そして、敵を排除するという動きは、近代化された国でもこんな風に起こりえるのだ、ということも学ぼう。
個人的尺度:3.0は「損はしない」3.5以上は「見てよかった」。2.5以下は「なんらかの点でがっかり」
日本の現状と似てませんか?
ヨニ(キム・テリ)がウォークマンをプレゼントされて喜んでる様子や合コンしようと張り切ってる姿を見ると、人々は平穏に暮らしているように思われるが、閉塞感漂う、黒々としたものが渦巻いているチョン・ドゥファン大統領による軍事政権下。同じ頃、日本はバブルで浮かれまくりでしたが、韓国では自由な論調は完全に押さえ込まれ、大統領による愚民化政策(3Sと呼ばれる、スポーツ、スクリーン、セックスに関心を向けさせる)で人々の関心を政治に関与させないようにされていた1987年頃の実話だ。
民主化を求めようと立ち上がった人は共産主義者とされ、警察で取り調べを受ける。中でもパク所長(キム・ユンソク)が仕切っていた南営洞の警察ではアカのレッテルを貼られた者が過酷な拷問を受けていた。反政権を叫ぶ学生が増えている中、一人のソウル大学生パク・ジョンチョルが尋問の最中に死んでしまうが、パク所長は隠蔽のために遺体の火葬を申請する。
一人の学生の死が仲間を奮い立たせ、やがて国中に政治への不信感が広がっていく様子を、警察、検察、学生、新聞記者、活動家といったほぼ5方向からの視点で描き、人間関係が有機的に繋がりを見せる脚本が素晴らしい。パク所長にしても完全悪で描いているわけではなく、元は北朝鮮の富裕層であり、キム・イルソン政権下で家族を虐殺されたために脱北したという過去が明かされているのです。検察のチェ検事(ハ・ジョンウ)は権力には従わず、家族に合わせる前の火葬を断固として拒否。新聞記者たちは上から報道規制を敷かれても、反骨精神を如実に表していた。警察の標的となった組織図のトップに位置する活動家キム・ジョンナム(ソル・ギョング)もいい。神父と行動を共にし、刑務所の看守ハン・ビョンヨン(ユ・ヘジン)から情報を得る。などなど・・・
パク所長以下の警察官たちは治安維持法下の日本の特高にそっくりだったし、隠蔽大好き、トカゲの尻尾切り大好き、また報道規制のある新聞社なんてのも今の日本の現状と酷似している。また、過剰なまでに北朝鮮を敵国として国民を煽り続けるところも同じ・・・オリンピックを控えてるところまで。しかし、民衆は違った。光州事件でも盛り上がりを見せたし、デモを起こすと、全国規模で広がりを見せ、人々を立ち上がらせるのだ。ちょっと前のパク・クネ退陣デモにおいてもそうだったように、韓国ではデモによって政治を覆すことができるのです。日本におけるSEALDsは注目されたが、世代のギャップがあったりとか、国民すべてに広がりを見せなかったのは残念でしょうがない。
とにかく、途中から涙が止まらなかったのは久しぶりのことでした。ノンフィクション部分ではあるけど、ヨニが好きになった活動家の学生(カン・ドンウォン)のエピソードでは、“片方が脱げたスニーカー”という小さな伏線があったり、活動家同士のやりとりを“伝書鳩”に例えていたり、その伏線が終盤に堰を切ったように溢れるところに号泣すること必至。悲しみや高揚感や安堵感など、色んな感情がこみ上げてきました。鳩の使い方の上手さはジョン・ウー監督を超えています!
『タクシー運転手』は未見なので何とも言えませんが、エンドロールに登場した写真の中に、タクシーが集まってバリケードを作っていた様子に胸を鷲掴みにされた気分になりました。史実を基に作られてはいるものの、なぜ韓国はここまで素晴らしい映画を作れるようになったのでしょうか。ドイツもそうですが、歴史を正しく認識して深く自省し、未来に向け同じ過ちを踏まぬようとする姿勢からなのでしょうか。明治時代に戻そうとする政治家が映画に口を出すような国じゃ無理なのでしょうか。やはり、うん、映画の趣旨でもある真実を求めることなのかな・・・
またまたやってくれました韓国映画
韓国映画の何が凄いってやっぱりギンギンに伝わってくるそのエネルギーとパッション!
また一つ韓国を代表する映画ができた。制作側の思いもわかるし、演じる側の姿勢も伝わってくる・・事実だからこそ嘘くささが見えてしまうとドッチラケなりそうだが、エンターテイメントの部分もしっかりな演出。
やっぱり韓国映画には敵わないところが多いなあ〜
チェイサーコンビ
拷問で殺された息子の遺灰を撒いてるシーン
遺灰が川に張った氷に
張り付いて留まってしまったのを
お父さんがすくって
「ここにいちゃダメだ
ちゃんと逝きなさい」と
泣きながら
川に流すシーンは涙がこぼれました。
それまでは
都合のいいように
揉み消されていたんですよね...
本当に起こった事が露見して良かったです。
とてもよかった
韓国ではついこの間まで拷問が行われており、それがきっかけで民主化運動が激化したことが分かる。オレが高校生くらいで呑気にしていた頃だ。みんな勇敢で気高くて素敵だった。
もし自分があの時代にあの場所にいたとして、あの状況でデモに参加しないのはなしだ、と思うのだけど、実際人混みや協調が何より苦手なのでもしその状況になったらやっぱりしないかもしれない。そして安全な場所で後に後ろめたい気持ちに苛まれそうな気がする。
軍事政権に楯突いた人達を美談の側面だけで構成するとこうなる
それぞれの立場で信念を貫き通した男達の話。良かった、予想の3倍くらい。ただし、政治的なところには、ある程度目をつぶるのが条件だけど。タクシードライバーより、こっちの方が好き。
まず映画として良く出来てると思いました。展開速いし、皆んな何かを抱えていて共感出来るし、女子は可愛いし、画も良い。地上を写しながらカメラが上空に登って行く絵に雪が舞い込むシーンとか痺れる。
ラストシーンは「夢破れた人達が作ったバリケード」のレ・ミゼラブルのオマージュですね。望みを叶えた若者達を捉える絵は印象的でした。
しかし。。。
韓国って男優さんの数、少なくないですか?何度も思ったから。また、あんたなの?って。新聞社の太っちょの部長さん。見た目はアレだが、カッコ良かったです。
過去の話とはいえ、政治の闇を映画にできる自由が素晴らしい!
どんな国でも過去に汚点はある!そしてそれを国家権力でもみ消したい気持ちも、分からないでもない!でもそれは民主主義ではないし、人権と真実を無視した映画に興奮と感動は生まれない!
映画の下で、警察の拷問を隠蔽しようと、あの手この手で工作しようとするが、それを知る人々の良心でどんどん罪がバレていく様が痛快!
日本の政治状況も混沌としていて、不正がもみ消されることがまかり通る世の中になりつつあるが、せめて沖縄の返還時の闇や、戦後の学生運動の実話など、過去の反省を映画化するくらいはできるはずだ!
まあ自民党一党支配が続く、事実上の独裁体制なので、過去の政局も明るみに出せないのだろうが、今の日本人はそういう映画を求めていることを知って欲しい!
ユヘジン
に惹かれた。光州事件を題材にした「タクシードライバー」でも光州のドライバーとしてキーパーソンだった。
いずれも、韓国の成立後間もない最近の事件をテーマにしたものだが、1987年と比較的最近の真実である事が俄かに信じ難い。
隣国の真相、国民感情の深層を知る上では貴重な映画と感じます。
韓国映画だけでなく中国映画も上映本数が増えるといいな。
もしオススメあれば紹介ください。
知らなかった韓国事情
「タクシー運転手」の「光州事件」も映画で初めて知ったし、1987も映画を観て初めて知った。自分は当時23歳で、バブル時代だから遊びまくっていた(医学生だったからモテた)。韓国でこんな事が起きていたのは日本で報道されていたのだろうか。親世代になり、こんな理不尽な事が自分の子供に起きたら身の毛もよだつ。登場人物が多すぎてパンフ買った。分かりやすいので興味があったらパンフ買ったほうが良いと思う。「タクシー運転手」も観る事をお勧め。
ソウルオリンピック
ソウルオリンピック開催のわずか1年前の韓国が、言論の自由が全く与えられていない軍事政権だったということにただただ絶句してしまいました。
「共産主義者」という言葉ひとつで、国家全体が普通の人々を迫害する。逆に社会主義の国でも全く同じ迫害が起きていました。国家が「敵」を利用して国民を煽る時は、自分達も迫害される可能性があると用心した方が良いですね。
昨年韓国国民が朴槿恵元大統領を辞任に追い込んだニュースに触れた時に「日本とは全然違うなあ」と思ったのですが、国民が国家によって直接殺された過去があったからこその行動だったのだと納得しました。国家は信用できないというのが前提にあるのでしょう。お上が法律を犯しても咎められない日本が隣国から学ぶべきことがあることをこれからも考え続けていきたいと思います。
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