1987、ある闘いの真実のレビュー・感想・評価
全86件中、1~20件目を表示
「国のために死ねない」国民養成映画
先頃、社会活動家で異端的芸術家の外山恒一氏が『全共闘以後』という本を出した。連合赤軍の挫折以後、ついえたとされる日本の学生運動の知られざる歴史を丹念に記した労作だが、そこでの準拠点はやはり「全共闘」なのだ。日本の学生運動の代名詞は「全共闘」で、その命脈は70年代初めで尽きた、と一般的には考えられている。『1987―』は、80年代のチョン・ドゥファン独裁政権下での、ふたりの学生運動家の死を軸に時代が動くさまを描く。
さて、日本の1960年の全学連デモで、警官隊との衝突の際に死亡した東大女学生といえば、樺美智子だ。だが、彼女の死が国民的運動の隆盛につながったという話を寡聞にして知らない。そして80年代の日本に「政治の季節」は訪れなかった。
80年代の韓国を舞台にした、カン・ヒョンチョル監督『サニー 永遠の仲間たち』では、女子高生の青春の背景に否応なく「政治」があった。だから「サニー」と敵対するグループとの乱闘は、学生デモの現場に設定されていた。『1987―』でヨニが男子学生と出会うのもデモでだった。
さて、『サニー』の日本版リメイク、大根仁監督『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、舞台をユース・カルチャー全盛の90年代東京に設定している。「サニー」と敵対するグループとは屋外プールで戦う。
現・ムン・ジェイン政権は、北朝鮮との融和路線をとっている。一方、現・安倍政権は、北朝鮮の脅威を喧伝しがちだ。両国とも近代化し、もはや国民は「国のために死ねない」。国民的大運動で独裁政権を打倒した韓国と、アメリカ追従で経済的発展を成し遂げた日本。韓国の国民はやはり今後も「国のために死ねない」だろうが、日本の現政権は「国のために死ねる」国民を望んでいるかのようだ。
本作を観て、理不尽な政府に対してあたりまえに抵抗の意志を示すことの大切さを感じなければいけないのは、私たち日本人だろう。
1987年韓国の歴史的事件を描いた傑作映画。こういう映画が作られることに羨ましさと妬ましさを覚えた。
チャン・ジュナン 監督による2017年製作(129分/G)による韓国映画。
原題:1987: When the Day Comes、配給:ツイン、劇場公開日:2018年9月8日
韓国で1987 年に何があったか、恥ずかしながら全く知らなかったのを、突きつけられた思いがした。1987年の時点で韓国は軍事政権だったのをあらためて思い出した。そして、機動隊も登場する様な激しい学生運動が広がって民主化に繋がったことを、驚きを持って知ることができた。
主要な登場人物に関して、看守ハン・ビョンヨンは実在人物を組み合わせたキャラクター、彼の姪ヨニは架空人物、その他は実在の人物だそう。よくこんな映画作れたと、再度驚かされた。
不審死のソウル大学学生(パク・ジョンチョル)を解剖しようとするチェ・ファン検事(ハ・ジョンウ)に、露骨に政治的な圧力をかけてくる描写に、リアリティと迫力を感じた。
そして、学生拷問死をスクープとしようとする個々の新聞記者たちの正義感に基づく熱心な活動(第一報は当時は夕刊紙だった中央日報、その後が東亜日報のユン・サンサム記者等)に、メディアとしての健全性を感じた。トイレでの解剖医師への取材やチェ検事が重要な資料をわざと置き忘れる描写が印象に残った。
延世大学(ソウルの有名私大)の先輩イ・ハニョル(カン・ドンウォ)に憧れる女子大生のヨニ(キム・テリ)を主人公的に設定し、彼女の視点からイの学生運動、更に武装警察からの催涙弾の後頭部への被弾による彼の傷害(死線さまよった後に死亡)を描いたのが、お見事と思わされた。
ソウル大学生を拷問死させそれを隠蔽しようとした責任者、この映画での言わば悪役パク・チョウォン・内務部治安本部対共捜査所長を演じたキム・ユンソクの演技には、凄みを感じた。根っからの悪者という描き方ではなく、脱北者で共産主義者に自分以外の家族を皆殺しされた心情を語らせていたことに、好印象を抱いた。
最後、可愛くて政治に関心が無い様に見えたヨニ(キム・テリ)がついに市民運動に参画し、車上で民衆を前に、おずおずとだが拳を突き揚げるシーンに、美しさと力強さを感じ、胸が熱くなった。
日本の民主主義は米国占領軍に与えられたものだが、韓国民衆は、多くの犠牲の上にだが、自身の力でそれを勝ち取ったのかと、感慨と羨ましさ・妬ましさを覚えた。
傑作と思えた本映画は、韓国で興行収入5238万米ドルだとか、市場としても凄く・理想的と思わされた。
監督チャン・ジュナン、脚本キム・ギョンチャン、製作イ・ウジョン、チャン・ヨンファン、撮影キム・ウヒョン、編集ヤン・ジンモ、音楽キム・テソン。
出演
パク所長キム・ユンソク、チェ検事ハ・ジョンウ、ハン・ビョンヨンユ・ヘジン、ヨニキム・テリ、キム・ジョンナムソル・ギョング、チョ・ハンギョンパク・ヘスン、ユン・サンサムイ・ヒジュン、イ・ハニョルカン・ドンウォン、パク・ジョンチョルヨ・ジング。
歴史的背景をある程度勉強してから観るべきだった。
一応高卒なのでそれなりに世界史の勉強はしたはずなのだが、なにせ10年前だし超底辺校だったしそれに世界史Aだったこともあって、今になって、いやずっと、ちゃんと勉強したい!と思い続けていた。
とはいえ、世界史の教科書を1度読書で通読したものの、何一つ覚えてない(諳んじることが出来ない、クイズ番組で答えることが出来ないなど)事態が発生した。
確かにあの時の読書は読んでる時だけ愉しければいいやと思っていたけどここまでかwと。
というわけで、スタートした世界史及び日本史の並行勉強ですが、歴史の勉強の良いところは映像という教材があることです。
最初はNHKのドキュメンタリーだけだったのですが、映画やドラマも歴史モノがあるよなあ!イメージしやすい!ということで取り入れることにしたのです。
私としては時系列に勉強しつつ、その時代の映画などを観ようと思っていたのですが、配信の悪いところで「あと○日で配信終了」がやって来ること。以前Netflixに加入していた時なんかは予告無くやってきて困った。
そうです、このじっくり観たい作品もあと○日で、が出てきてしまいました。
なので、悲しいことにほぼ予備知識がない状態で見る羽目に。
まず、驚いたことは韓国が民主化したのが私とほぼ同い年であること。それまでは軍事政権であったこと。そりゃあまあ、冷戦時、朝鮮戦争があったこと、今なお南北が緊張状態にあること、そのために韓国では兵役があること、は知識としてありました。ただ、朝鮮戦争から現在まで、の間の知識がすっぽり無かった訳です。
それが軍事政権だったなんて、驚愕でした。
さて、作品ですが、みなさん高評価にしてらっしゃいますが、私にはちゃんとした知識、つまり作品のバッグボーンを理解していないため、とにかくいまひとつ没入感にも欠けてしまい高評価を付けるに至りませんでした。
その理由としては、お風呂のシーンやトイレのシーンがあったことも一員です。いちいちそういうシーンは要りません。男性のだからやって良いとも思いません。私はほとんどの下ネタと受け取れるシーンに嫌悪感が湧いてしまいます。
それと韓国ドラマ、映画特有の日常の暴力シーンが観ててきついのです。それに口も悪い(すぐくそだのなんだのという)のも好みません。
すごく不思議なのは「アカ」狩りと称しながらも、共産主義者ではなく、民主主義者(民主化運動家)を国家、政権の敵とみなし、全て「アカ」として扱っていることです。
軍事政権であるならば「武力」で制圧するものだと思うのですが、そういうシーンもあるにはあったがやはりどちらかと言えば「暴力」に訴えているだけの、情けない男たちという気がしてならない。
そういうわけで、軍事政権というよりは独裁政権の方がしっくりくるわけだが、映画ドットコムのこの作品の説明?解説?には軍事政権下とあり、混乱してしまった。
そういえば、拷問致死罪で捕まった警官?が「俺には家族がいるから10年も刑務所なんて……」みたいなことを言うが、拷問されている側も家族いるからね?(´^ω^`)ブフォwwwという気持ちになって、鼻で笑ってしまった。
こういうのはやはり歴史的背景をきちんと理解してから見ないとグッと来るのも来ないですね。なので一応星3つにしました。
[字幕版]で視聴
1987年
当時私は大学生でしたが、韓国でこんなことが起きていたとは知らなかった。
中学生の時、大阪のある韓国人街で「全斗煥」を批判する横断幕が掲げられていたことを思い出したが、その時はなんのことか全く理解していなかった。今思えばあれは、指揮した「光州事件」を批判するものだったのだろう。このような歴史の上に今がある。
日本も同様なのかもしれない。
韓国の歴史の壮絶さ。
「タクシー運転手」もそうだけど韓国の民主化運動への弾圧は、観ていて本当に痛い。日本の私小説的な作品はメンタルがひりつく感じだけど、韓国のは肉体的にしんどい。ま、どっちもしんどいのは変わりないけど。
それにしても韓国の民主化への道は凄まじい。そして、その題材をしっかりとエンターテインしながら映像作品として時代に爪痕を残し、同時に逆戻りさせないことへの決意を感じる。
そのせいか、そんなフィルターを通して韓国の政治をウォッチすると、妙に納得してしまう。
信じられない
実話に基づいた物語との事。つい最近起こった出来事という事が俄かに信じがたい。
韓国が好きで何度も訪れた中で、日本との文化の違いを肌で感じてきた。今回視聴した事で理解が深まったと感じた。映画であり、作られた物語であるものの心に残る作品であった。
史実を生かした物語の作り方はもちろん、絵の取り方が抜群によかった。
独裁が続いた韓国の歴史と、本作製作当時の「文化人ブラックリスト」が味わい深くする
1987年、一人の大学生の死が人々の心に火をつけた--国民の自由が許されない軍事政権下で、警察に連行された大学生が命を落とした。政府が事実をもみ消すなか、新聞社は「拷問中に死亡した」とスクープする。我慢の限界に達した人々から民主化を求める声が沸き起こり、革命へと発展。絶対的権力を相手に、悪政国家を変えようとする民衆が立ち上がった......!(Amazon Primeより)。
韓国の歴史を把握していないと理解の難しいところがあったので、鑑賞後に調べてみたところ、ざっくりいうと、韓国はこの映画のタイトルにもなっている1987年までずっと独裁政権だったみたいです。
簡単に整理すると、1945年に日本の植民地支配が解かれて以降、朝鮮戦争を経て、初代大統領が憲法を勝手に変えて独裁(12年)→一瞬民主化→軍事クーデターで再び独裁が始まる(16年間)が、韓国のCIA的な機関のトップが大統領を暗殺→一瞬民主化→またもや軍事クーデターで独裁(8年間。この大統領の時に起こったのが政府がデモを繰り返す民間人を見せしめで虐殺した光州事件。本作でも少し登場します)、という具合のようです。基本的には、長きにわたって権力が暴力で国民を押さえつけてきた歴史が横糸です。
本作は更に、物語とは別の映画製作に関わる縦糸も絡んできます。上の暗殺された大統領の娘である朴槿恵(パク・クネ)が韓国初の女性大統領に就任したのが2013年。以降、2017年に前代未聞の政治スキャンダルで罷免されるまで強い権力を保持していたわけですが、彼女が行ったのが、映画好きなら知っている方も多い「文化人ブラックリスト」の作成です。
2016年に存在が発覚したこのリストは、自らの政権に対して批判的な言動や発信を行う文化人への資金を止め、彼らを政権監視下に置く目的で整備されたものです。そして、本作の製作が開始されたのが2015年(公開は2017年)。製作を指揮したチャン監督は、本作に登場する真実に目をつぶらない人びとと同様に、まさに命がけで権力に挑んだことになります。
さて、こういった韓国の歴史的な流れと、文化人弾圧の時系列を予備知識として持って鑑賞すると味わい深くなってくる本作ですが、命さえ掌握されてしまう環境下にあって、何のつながりもない個人が、身を賭して「真実」を隠蔽せずに紡いでいった物語と言えます。死因に疑いを持つ医師、火葬許可を出さなかった検事、報道統制に屈しなかった新聞記者、連絡係を買って出た看守。だれかひとり欠けても、民主化は成し遂げられなかったことでしょう。
圧巻は、キム・ユンソク演じるパク所長。ベースは権力を恣にする暴君ですが、脱北者である彼なりの正義も描かれているおり、常軌を逸する粛清の背景になっています。いまいち分からなかったのは、キム・ジョンナムの存在。主ストーリーに絡むようで絡まないのですが、結末からすると、それなりに重要なポジションだったみたいです。これも予備知識が必要なのかも。
民主化には血が必要…
どこの国にも必要なのか。。警察による学生への拷問死隠蔽を切っ掛けに広まる独裁政治への国民の疑念、不満、怒りが大きなうねりとなって大統領直接選挙制へと結実していく。この様な事件があったことを知らなかった。拷問や弾圧による警察、軍権力の所業はとても人間のなせる業ではない。またそれを指令する政府側も。幾人もの人々の犠牲が無ければ、今日の政治がない、改めて人間の恐ろしさ、または偉大さ、強さを知った。キム・ユンソクの演技は凄まじかった。
❇️史劇とエンタメバランスが絶妙に凄い映画。
1987、ある闘いの真実
1987年🇰🇷韓国
チョンドゥファン大統領政権下(北朝鮮問題重視)の中、警察署内で学生運動に参加していた大学生が死亡する事故が発生。
死因に疑問を持った地検(ハジョンウ兄貴)が真実を探る実話ベース+フィクションを足したストーリー
❇️史劇とエンタメバランスが絶妙に凄い映画。
◉85D点。
★彡2016年頃制作するにあたり、この当時大統領だったパククネ大統領絡みで、勇気を出して参加した映画関係者、そして俳優さんも凄い。大統領が逮捕され、奇跡的に映画化!
🌀力、拷問、隠蔽、賄賂など私利私欲の為の軍人政権は本当に恐ろしさが伝わった。
🟢私的感想。
1️⃣ハジョンウ(兄貴)が書類で人を叩くシーンが好き。★彡韓国映画度々見られる紙叩きシーン!
2️⃣大好きなハジョンウさんとキムユンソクさん!兄貴が二人もいて困ってしまう。
★彡毎度吹き替えで鑑賞するので声でわかるくらいです。良いんだこれが!
ユヘジンさんもいた!好き❤️
3️⃣お決まりのジャージャー麺!
★彡韓国映画に出てくるともはやテンションアップしてしまう!
4️⃣実話なのに絶妙な笑いとエンタメ的要素など盛り込まれ、全く飽きさせない!
★彡地検→マスコミ→看守→学生運動でバトンタッチしていく流れも良い。
5️⃣国民を動かした活動家の執念と勇気ある行動。★彡良く2017年頃のパクウネ大統領政権でこの映画作れたらと思うとタイミングと奇跡的です。
🫵👊👮🏻🧑🏻🎓👨🏻⚖️🤦🏻👟🪖📼📃📰💮🆚🆘
🈲ネタバレ保管記憶用
溺死の学生事故の原因は拷問。
ありとあらゆる所で隠蔽しようとする警察署長。軍人圧力で次の期間も大統領になりたいドンファン。
嘘の検死結果をマスコミにつたえる警察。
真実を伝えたい検事。
刑務所内の告発で拷問される男。
メモを搬送する親戚の娘。
政権は変わらないと諦めてい娘。
反対派運動の大学生幹部。
どんな事かあっても、拷問で亡くなった学生の死を無駄にしないと諦めないと娘に誓う幹部。
拷問の首謀者をなんとかマスコミに発表し、反対派運動を活発にするが、政府も軍隊を導入して、反対派の大学生幹部を催涙弾を直撃させ殺す。
国民が一丸となりデモを各地で広げる。
憎き警察は逮捕される。
🌀何故?こんな事?考察
1️⃣ソウルオリンピックが近く、次の任期を伸ばしたいドゥファン大統領の思考が原因?
2️⃣パクチョンウォン内務部治安本部対共捜査所長も脱北者だった事も悲しい韓国の歴史
3️⃣26年続いた軍事政権が終わる。市民がやっと勝ち取った。
贅沢なキャスティング
韓国は自国の汚点や過去についてしっかりと
映画化(若しくはドラマ化)にして
同じ過ちを繰り返さない、歴史をしっかりと
受け継いでいく精神みたいな所はとても好きです。
日本じゃこうはなりません。
とはいえ、完全に公安側が「悪」として
描かれているので(韓国って警察嫌いなん?)
公安には公安の「正義」があったはずなのに
そこは一切描かれていないので
公平性にはかけるように観ました。
公安の「正義」も必要だと思うわけです。
それにしてもキャストが豪華です。
で、使い方も豪華です(笑)
ソル・ギョングもカン・ドンウォンも
チロっとしか出てこないじゃないですか🤣
彼らじゃなくても良かったんじゃない?と
思うほどに贅沢な起用でした💦
ストーリーが強すぎる
韓国映画の民主化運動の映画は結構見ていますが、どれもハズレ無しに完成度が高い気がする。
もちろん、映画としてカメラや表現などの編集、いつも見る名脇役の演技もさることながら、ストーリー展開が強すぎる。
それも戦後の1980年代と、比較的近い年代かつ関心の高い国で起こった運動だからだろうか。
またこの映画をきっかけにして、「あれ?日本って民主化運動って戦後あったかな?あれ?学生の運動は安保闘争しかない気がするかもー」と学生ぶりに近現代史の復習をした。学生の頃は日本近代はあまりにロマンもかけらもないなと思ってしまったが、映画をきっかけに調べることができたのはありがたい。
そして調べてみると、国内だと民主主義は自由民権運動まで遡ることになりそうで、だから日本ではあまり民主化運動というのが少し遠いのかもと感じました。逆にそこら編の映画作ったら面白そうと思いましたが、そもそもそうした映画は日本だと受けが悪そうだなと業界トップで決まって終わりそうな気もしました。
この時期に、この映画をオンライン視聴できる機会があったことに感謝。
今年141本目(合計415本目/今月(2022年5月度)18本目)。
※ 私は原則として、アマプラだのネットフリックスだのの投稿はしないことにしていますが(あふれかえってしまう)、この映画は韓国文化院が日韓交流を目的に過去の「意味のある」作品をオンライン視聴会(といっても、公開自体は4年前)したもので、6月に見に行く「スープとイデオロギー」と並んで、韓国の現代史を知る目的もあり応募したら当選しました。
また、前々から、将来は外国人問題を扱いたいと思っている行政書士合格者として、このような映画はよく見ますし応募もしています。今回もあえて書いたのはこういう事情です。
さて、映画の内容自体は非常に硬派というか、実際にあった事件をそのまま描いているものなので、あることないこと書けないし(ただし、一部に着色はある模様)、6月に始まる「スープとイデオロギー」(済州4・3事件)から、この民主化運動を勝ち取るこの事件まで、韓国は朝鮮戦争もそうだったし、内戦や紛争ばかりだったのです(ほか、「KCIA 南山の~」等もありますね)。
この映画の7年前に起きた光州事件が、この映画で参照されている1987年の事件の遠因となった事件であり、この光州事件は、上記の「スープとイデオロギー」で主に描かれる済州4・3事件と並んで韓国(済州事件のころは、韓国という概念がないので、便宜上、朝鮮半島としても良いかもしれません)のタブー視とされるものです。ただ、日本がタブー視しても最終的には真相を明らかにして公開していこうという文化があるように、韓国にも多少遅れてはいますが、やはりそのような文化があります。「スープとイデオロギー」もこの映画も、そうした中の一つの映画です(ただ、日本より「少しだけ」国のチェックが入るようです)。
そしてこの映画で流れるように、これらの暴動を元に「韓国の大統領の直接選挙制」や「言論・表現の自由」が憲法改正で盛り込まれた(日本と違い、韓国は最高法規とされる憲法も何度も改正されている)という点など、日韓の異動を知ることができて良かったです。
もっぱら、6月に行く「スープとイデオロギー」も含めて、韓国の現代史という大きなくくりで観ましたが、この事件一つという見方もできると思うし、色々な見方ができると思います。
どうも、韓国の大統領のこと(最近変わりましたよね)やコロナ事情、また、竹島問題などはさておき「文化面での交流はしっかりしたい」ということで、2021年ごろから韓国文化院(日本語サイト)が日本人向けに韓国映画(ただし、何らかの意味で観ることに意義が感じられるもの)をよくオンライン視聴(無料)でよく募集をかけてます。
大阪など在住の方はシネマート等、韓国映画に特化した映画館もありますが、そうでない方で韓国映画に興味がある方は、こうしたサイトの登録も良いのでは、と思いました(なお、シネマート自体は「おうちでシネマート」として、「ちょっと最近までやってた」程度の映画までなら普通にVODで観られます(準新作扱いで1320円、一般550円、旧作440円だったはず)。
特に減点要素とするべき点はないので、フルスコアにしました。
ユンソクの生え際
キムユンソク、ハジョンウ、ユヘジン、ソルギョング、イヒジュン、キムジョンス、カンドンウォン、パクジウワン
実話に深みが足されたお話はもちろん、どんなけいいお顔がいるの!いい顔面の層がぶ厚くどアップに震えそして、ユヘジン…キムテリちゃんに泣ぐ
公開時ぶり再鑑賞
新聞記者が結婚前夜マリッジブルーのスパイラルパーマで南山の部長たちで貫禄出してるヒト、イヒジュンだなんて!
韓国は民主主義を勝ち得たのかな
映画の内容よりも、キムユンソクが所長をやっていたことを、見終わってから紹介文で知りました!すごいわ、演技って。ワンドゥギの先生だなんて、ちっとも気づきませんでした。
最も近い隣国なのに、最も遠いとはよくいったもので、おとなりさんでこんなことが起きていたなんて、少しも知りませんでした。そもそもつい最近まで、ソウルまで東京からほんの二時間くらいで行けることすら知らなかったし、歴史なんて言わずもがな。中国は大国の隣国として、歴史も古代から現代までしっかり習うのに、韓国って南北朝鮮に別れてることくらいしか頭にさなかったな。
それで、このようにして勝ち得た大統領直接選挙制や、一応の民主主義だけど、最近の報道で知る限り、歴史歪曲は度を越しているし、かつて大統領であった人は、誰一人としてまともな最期を迎えていない、この国を、こうした運動を支えた人々は、どう感じているのかな。
映画はうまいこと展開していって、全然飽きさせないし、過度に哀れみを誘うこともなく、大変興味深いものでした。
自分がのほほんとしていた大学生の時に、隣国はこんなに苛烈な時代を過...
自分がのほほんとしていた大学生の時に、隣国はこんなに苛烈な時代を過ごしていた。現在の韓国という国家には必ずしも共感することは少ないけど、自由を手に入れるために闘って勝利した民衆がいた事には、大変感銘を受けた、
白い靴。
拷問の取り調べで死亡した大学生を発端に民主化運動に発展した。警察官がヤクザの様です。若しくはヤクザより怖い! 私たちは平和な時代に生きているので余りピンとは来ないのですが…
韓国は容赦ない描き方がリアルで怖いです。
実際にあった出来事なので尚更。怖さを感じます。民主化運動の大学生が履いていた靴が片方抜けて無くしてしまい。その後、女の子から買って貰った白い靴。デモの時片方が抜けてしまい取りに行くことが出来なかった。政府に太刀打ち出来ない儚さを感じた。
いまの香港もそうですが民主化を進める若者が反対する政府に抑えられて首謀者が犯罪者扱いで捕まってしまいます。日本も大学生がデモしていた時代がありましたが市民が民主化を進めることは大変な事で命懸けです。
光州事件の真相
日本の高度経済成長期に韓国内で起こった「光州事件」のその後を描いた作品で、「タクシー運転手」の後日譚にあたる。国家と国民との闘争を描き、軍事国家を打破しようと身の危険を顧みず立ち向かう大学生、事件の真相を白日の元にさらそうとする記者たち、それを阻み事実を捏造する国家官僚。当時の実際の映像を挿入してあり、胸が締め付けられた。日本人も知っておくべき歴史的事件なのではと思う。決死の覚悟の国民運動で独裁政権が倒れ今の韓国があるのだと忘れてはならない。
民主主義発展の裏に
韓国の民主化運動の裏に、学生運動に参加したソウル大生が取り調べ中の拷問により死亡する。
政府がもみ消す中、ある新聞社が拷問による死を報じ、民主化への大きな転換点となる。
わずか30年前に韓国であった衝撃の事実。事件を隠蔽しようとする捜査官の過激な手段に嫌悪感を感じた。
そんな不当な権力に反し、信念に従って行動した、事件に疑いを持った公安部長、犯人を知った刑務官、事実を報道した新聞社、デモに参加した学生。
彼らの行動で不正を明かす展開は熱くて良かった。
タクシー運転手で描かれた1980年の光州事件、工作 黒金星と呼ばれた男で描かれた南北の結託といい、現政権を守るためにやることがエグい。国家の悪い意味での強さが目立つ作品だった。
見事な映画だ
私は革命などというものは住民が起こすものだとは思っていない。新興ビジネスが起こすものであると思っている。今のままの体勢でいるよりも違う体制になった方が儲かるビジネスが古いビジネス体制を壊すのが革命だ。従って私の感覚から言うとこれはプロパガンダ映画ということになる。そして見事によくできたプロパガンダ映画だ。ラストの締めくくりがそういう締めくくり方になっているのでどうしても第1感想はそういうことになる。韓国はかつてこういう国だったらそして今はこういう素晴らしい国になった・・・みたいな。
だが心に残っているもの反芻してみた時、これは消して単なるプロパガンダ映画ではないことも感じられる。登場人物の視点が最初は検事、次に一般の女の子、革命分子、そして体制派の人間という風に次々にスイッチされていく。そのひとつひとつがとても良く描けていて群像劇として大成功していると思う。 描いているもののスケールが大きい話は 往々にして大雑把で人間ドラマが描けていないものになってしまうがこれは違った。 一人ひとりの人間の抱えるドラマや こだわりが小さなものであり それがリアルで 見ている者の心を動かしたと思う。それは全体カラー現れるもうひとつの印象であった。この映画は 革命とかプロパガンダではなく、腐った組織を改革しようとした人々の物語だという。
この映画は俳優たちの演技に迫力があった。日本映画じゃ無理だろう。とても羨ましいことだ。
全86件中、1~20件目を表示