1987、ある闘いの真実のレビュー・感想・評価
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実話・・・
たった30年前。俺が大学生出て3年たった頃に、韓国ではこんなことが起きていたのか。当時は、俺は社会人なので、新聞読んでなかったわけではないので、日常的に触れていた話題だったのだろうが、全斗喚大統領の名前くらいしか記憶がない。
いかに、他国のことに関心が低かったか、特に圧政のような話題に感度低く生きていたのかと思う。
こうやって、その国の人が、30年経った頃に、振り返って記録し、そして伝えることが、大切なことなんだなあと心から思う。当時はうかつだった俺も、映画のおかげで、あらためて気づくことができる。
この作品は、ヒロインがきれいだとか、ある程度のエンタメ性をもたせている。この映画が描いたような大切な事実を伝えるためには、ある程度のエンタメ性も必要な気がする。事実描写と、飽きさせない程度のエンタメが見事にバランスとれている映画が、、長くの間、記録としても生き残っていくのだろう。
自分の心の中でも、長く語れると思う。楽しかったというのは、韓国の人に失礼な気がするので使えないが、少なくとも堪能した。
対北の緊張感の中で生まれた全斗喚政権には、時代の必然性があったはず。しかし、1987年頃には、それがあわなくなってきていたというか、必要性が薄れてきていたのだろう。だからこそ、市民の意識とのギャップが大きくなり、この映画が描くように、打開への欲求が高まって、政権は崩壊していったのだろう。
しかし実際に崩壊する直前までは、それにあらがうことが無駄に思えたりするのだということを、この映画を見て学ぼう。そう思えても、必ず変化は現れるのだ、ということを。そして、敵を排除するという動きは、近代化された国でもこんな風に起こりえるのだ、ということも学ぼう。
個人的尺度:3.0は「損はしない」3.5以上は「見てよかった」。2.5以下は「なんらかの点でがっかり」
日本の現状と似てませんか?
ヨニ(キム・テリ)がウォークマンをプレゼントされて喜んでる様子や合コンしようと張り切ってる姿を見ると、人々は平穏に暮らしているように思われるが、閉塞感漂う、黒々としたものが渦巻いているチョン・ドゥファン大統領による軍事政権下。同じ頃、日本はバブルで浮かれまくりでしたが、韓国では自由な論調は完全に押さえ込まれ、大統領による愚民化政策(3Sと呼ばれる、スポーツ、スクリーン、セックスに関心を向けさせる)で人々の関心を政治に関与させないようにされていた1987年頃の実話だ。
民主化を求めようと立ち上がった人は共産主義者とされ、警察で取り調べを受ける。中でもパク所長(キム・ユンソク)が仕切っていた南営洞の警察ではアカのレッテルを貼られた者が過酷な拷問を受けていた。反政権を叫ぶ学生が増えている中、一人のソウル大学生パク・ジョンチョルが尋問の最中に死んでしまうが、パク所長は隠蔽のために遺体の火葬を申請する。
一人の学生の死が仲間を奮い立たせ、やがて国中に政治への不信感が広がっていく様子を、警察、検察、学生、新聞記者、活動家といったほぼ5方向からの視点で描き、人間関係が有機的に繋がりを見せる脚本が素晴らしい。パク所長にしても完全悪で描いているわけではなく、元は北朝鮮の富裕層であり、キム・イルソン政権下で家族を虐殺されたために脱北したという過去が明かされているのです。検察のチェ検事(ハ・ジョンウ)は権力には従わず、家族に合わせる前の火葬を断固として拒否。新聞記者たちは上から報道規制を敷かれても、反骨精神を如実に表していた。警察の標的となった組織図のトップに位置する活動家キム・ジョンナム(ソル・ギョング)もいい。神父と行動を共にし、刑務所の看守ハン・ビョンヨン(ユ・ヘジン)から情報を得る。などなど・・・
パク所長以下の警察官たちは治安維持法下の日本の特高にそっくりだったし、隠蔽大好き、トカゲの尻尾切り大好き、また報道規制のある新聞社なんてのも今の日本の現状と酷似している。また、過剰なまでに北朝鮮を敵国として国民を煽り続けるところも同じ・・・オリンピックを控えてるところまで。しかし、民衆は違った。光州事件でも盛り上がりを見せたし、デモを起こすと、全国規模で広がりを見せ、人々を立ち上がらせるのだ。ちょっと前のパク・クネ退陣デモにおいてもそうだったように、韓国ではデモによって政治を覆すことができるのです。日本におけるSEALDsは注目されたが、世代のギャップがあったりとか、国民すべてに広がりを見せなかったのは残念でしょうがない。
とにかく、途中から涙が止まらなかったのは久しぶりのことでした。ノンフィクション部分ではあるけど、ヨニが好きになった活動家の学生(カン・ドンウォン)のエピソードでは、“片方が脱げたスニーカー”という小さな伏線があったり、活動家同士のやりとりを“伝書鳩”に例えていたり、その伏線が終盤に堰を切ったように溢れるところに号泣すること必至。悲しみや高揚感や安堵感など、色んな感情がこみ上げてきました。鳩の使い方の上手さはジョン・ウー監督を超えています!
『タクシー運転手』は未見なので何とも言えませんが、エンドロールに登場した写真の中に、タクシーが集まってバリケードを作っていた様子に胸を鷲掴みにされた気分になりました。史実を基に作られてはいるものの、なぜ韓国はここまで素晴らしい映画を作れるようになったのでしょうか。ドイツもそうですが、歴史を正しく認識して深く自省し、未来に向け同じ過ちを踏まぬようとする姿勢からなのでしょうか。明治時代に戻そうとする政治家が映画に口を出すような国じゃ無理なのでしょうか。やはり、うん、映画の趣旨でもある真実を求めることなのかな・・・
またまたやってくれました韓国映画
韓国映画の何が凄いってやっぱりギンギンに伝わってくるそのエネルギーとパッション!
また一つ韓国を代表する映画ができた。制作側の思いもわかるし、演じる側の姿勢も伝わってくる・・事実だからこそ嘘くささが見えてしまうとドッチラケなりそうだが、エンターテイメントの部分もしっかりな演出。
やっぱり韓国映画には敵わないところが多いなあ〜
チェイサーコンビ
拷問で殺された息子の遺灰を撒いてるシーン
遺灰が川に張った氷に
張り付いて留まってしまったのを
お父さんがすくって
「ここにいちゃダメだ
ちゃんと逝きなさい」と
泣きながら
川に流すシーンは涙がこぼれました。
それまでは
都合のいいように
揉み消されていたんですよね...
本当に起こった事が露見して良かったです。
とてもよかった
韓国ではついこの間まで拷問が行われており、それがきっかけで民主化運動が激化したことが分かる。オレが高校生くらいで呑気にしていた頃だ。みんな勇敢で気高くて素敵だった。
もし自分があの時代にあの場所にいたとして、あの状況でデモに参加しないのはなしだ、と思うのだけど、実際人混みや協調が何より苦手なのでもしその状況になったらやっぱりしないかもしれない。そして安全な場所で後に後ろめたい気持ちに苛まれそうな気がする。
軍事政権に楯突いた人達を美談の側面だけで構成するとこうなる
それぞれの立場で信念を貫き通した男達の話。良かった、予想の3倍くらい。ただし、政治的なところには、ある程度目をつぶるのが条件だけど。タクシードライバーより、こっちの方が好き。
まず映画として良く出来てると思いました。展開速いし、皆んな何かを抱えていて共感出来るし、女子は可愛いし、画も良い。地上を写しながらカメラが上空に登って行く絵に雪が舞い込むシーンとか痺れる。
ラストシーンは「夢破れた人達が作ったバリケード」のレ・ミゼラブルのオマージュですね。望みを叶えた若者達を捉える絵は印象的でした。
しかし。。。
韓国って男優さんの数、少なくないですか?何度も思ったから。また、あんたなの?って。新聞社の太っちょの部長さん。見た目はアレだが、カッコ良かったです。
過去の話とはいえ、政治の闇を映画にできる自由が素晴らしい!
どんな国でも過去に汚点はある!そしてそれを国家権力でもみ消したい気持ちも、分からないでもない!でもそれは民主主義ではないし、人権と真実を無視した映画に興奮と感動は生まれない!
映画の下で、警察の拷問を隠蔽しようと、あの手この手で工作しようとするが、それを知る人々の良心でどんどん罪がバレていく様が痛快!
日本の政治状況も混沌としていて、不正がもみ消されることがまかり通る世の中になりつつあるが、せめて沖縄の返還時の闇や、戦後の学生運動の実話など、過去の反省を映画化するくらいはできるはずだ!
まあ自民党一党支配が続く、事実上の独裁体制なので、過去の政局も明るみに出せないのだろうが、今の日本人はそういう映画を求めていることを知って欲しい!
「国のために死ねない」国民養成映画
先頃、社会活動家で異端的芸術家の外山恒一氏が『全共闘以後』という本を出した。連合赤軍の挫折以後、ついえたとされる日本の学生運動の知られざる歴史を丹念に記した労作だが、そこでの準拠点はやはり「全共闘」なのだ。日本の学生運動の代名詞は「全共闘」で、その命脈は70年代初めで尽きた、と一般的には考えられている。『1987―』は、80年代のチョン・ドゥファン独裁政権下での、ふたりの学生運動家の死を軸に時代が動くさまを描く。
さて、日本の1960年の全学連デモで、警官隊との衝突の際に死亡した東大女学生といえば、樺美智子だ。だが、彼女の死が国民的運動の隆盛につながったという話を寡聞にして知らない。そして80年代の日本に「政治の季節」は訪れなかった。
80年代の韓国を舞台にした、カン・ヒョンチョル監督『サニー 永遠の仲間たち』では、女子高生の青春の背景に否応なく「政治」があった。だから「サニー」と敵対するグループとの乱闘は、学生デモの現場に設定されていた。『1987―』でヨニが男子学生と出会うのもデモでだった。
さて、『サニー』の日本版リメイク、大根仁監督『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、舞台をユース・カルチャー全盛の90年代東京に設定している。「サニー」と敵対するグループとは屋外プールで戦う。
現・ムン・ジェイン政権は、北朝鮮との融和路線をとっている。一方、現・安倍政権は、北朝鮮の脅威を喧伝しがちだ。両国とも近代化し、もはや国民は「国のために死ねない」。国民的大運動で独裁政権を打倒した韓国と、アメリカ追従で経済的発展を成し遂げた日本。韓国の国民はやはり今後も「国のために死ねない」だろうが、日本の現政権は「国のために死ねる」国民を望んでいるかのようだ。
本作を観て、理不尽な政府に対してあたりまえに抵抗の意志を示すことの大切さを感じなければいけないのは、私たち日本人だろう。
ユヘジン
に惹かれた。光州事件を題材にした「タクシードライバー」でも光州のドライバーとしてキーパーソンだった。
いずれも、韓国の成立後間もない最近の事件をテーマにしたものだが、1987年と比較的最近の真実である事が俄かに信じ難い。
隣国の真相、国民感情の深層を知る上では貴重な映画と感じます。
韓国映画だけでなく中国映画も上映本数が増えるといいな。
もしオススメあれば紹介ください。
知らなかった韓国事情
「タクシー運転手」の「光州事件」も映画で初めて知ったし、1987も映画を観て初めて知った。自分は当時23歳で、バブル時代だから遊びまくっていた(医学生だったからモテた)。韓国でこんな事が起きていたのは日本で報道されていたのだろうか。親世代になり、こんな理不尽な事が自分の子供に起きたら身の毛もよだつ。登場人物が多すぎてパンフ買った。分かりやすいので興味があったらパンフ買ったほうが良いと思う。「タクシー運転手」も観る事をお勧め。
ソウルオリンピック
ソウルオリンピック開催のわずか1年前の韓国が、言論の自由が全く与えられていない軍事政権だったということにただただ絶句してしまいました。
「共産主義者」という言葉ひとつで、国家全体が普通の人々を迫害する。逆に社会主義の国でも全く同じ迫害が起きていました。国家が「敵」を利用して国民を煽る時は、自分達も迫害される可能性があると用心した方が良いですね。
昨年韓国国民が朴槿恵元大統領を辞任に追い込んだニュースに触れた時に「日本とは全然違うなあ」と思ったのですが、国民が国家によって直接殺された過去があったからこその行動だったのだと納得しました。国家は信用できないというのが前提にあるのでしょう。お上が法律を犯しても咎められない日本が隣国から学ぶべきことがあることをこれからも考え続けていきたいと思います。
生きるとは正しくあること
歴史ってとっても大事。今ある国とは突然できたのではなく理由があってこうなってる。キチンと伝える、キチンと理解する。良いことも悪いことも事実として、伝える。韓国映画のすごいところと思う。
真実を武器に
真実を伝えることで国民の意思が広がり、運動の広がりによって時代が大きく変わる様を描いた作品。
登場人物は多いけれどそれぞれの役どころが混ざることなく案外すんなり入ってきた。
他人事では済まされない事を身をもって知ってしまったヨニの終盤の姿が好き。
30年前の出来事というのは驚きだけど、光州事件の流れで何となく納得。
教会の取材記者に外国人が多くいたことに胸が熱くなった。
エンドロールの映像には圧倒された。
この時代の韓国政治に無知なので、国側やパク所長の思惑と主張ももう少し知りたかった。
ただ独裁を続けたいだけなのか?
特にパク所長には彼なりの正義もありそうだったのでそこを掘り下げた描写も欲しかったかも。
脱北した身であそこまで登りつめるのも並大抵のことではないだろうに。クルミを揉む仕草とグラサン姿が好き。
生々しい真実に圧倒される。歴史に刻まれた悲しき事件。
【賛否両論チェック】
賛:実際に起きた事件を基に、大切なものを守るため、権力に立ち向かい続けた人々の姿が、切なくも如実に描かれていくのが印象的。
否:拷問のシーン等がかなり生々しいので、苦手な人には向かない。
まだそう昔ではない1987年に起きた、恐ろしくも哀しい事件。それを引き金に、韓国へ民主化の波が一気に押し寄せていく様が、緊迫感の中で生々しく描かれていきます。
理不尽な拷問死を絶対的な権力で隠ぺいしようとする当局に対し、信念を貫いて抵抗したチェ検事を始め、あらゆる手段で記事にしたユンや、命を賭けて戦った革命家のジョンナム、彼らに協力した看守のビョンヨン、そして暴動に巻き込まれながら、大切な人の存在に気がついていくヨニと、一連の事件を通して様々な人々の戦いが浮き彫りになっていくのが印象に残ります。
決して軽々しく観られる作品ではありませんが、今日在る人々の権利を守るために戦った、名もなき先人達の姿に考えさせられる、そんなお話です。
映画観たいがとまりません
「タクシー運転手」に衝撃をうけ、「弁護人」をネットで登録して観る。さらに知りたくなってこの映画を観に行く。軍事政権の中で、一人のいのちの大切さ、理不尽さや悔しさや辛さへ共感し、立ち上がる、行動する、助け合う人々。市井の人々の力強さ。今、この映画をみられてよかった。地に足をつけ、人間信じて生活していこう。
※恥ずかしながら、この映画を観て「弁護人」での?がわかりました。3本観ていろいろつうながった。まだまだ観たい、読みたい、知りたい。
※映画館に来ていた人がたくさんいてびっくり!うれしい!
軍事政権の恐ろしさを描いた傑作
31年前、全 斗煥(チョン・ドゥファン)時代の韓国。
軍事政権であり、大統領の威を借りた警察・公安は「反共」の名の下、北朝鮮からのスパイを探すために、強引かつ無法な捜査を行っており、理不尽な暴力、冤罪、誤認逮捕と、拷問がまかり通っていた。
あるとき無実の大学生が、警察に拷問の果てに殺されたが、証拠隠滅のため警察は無理矢理火葬にしようと動く。
法律を守って親に会わせ、解剖してからしか火葬を認めない、と頑として譲らない検事部長を皮切りに、新聞記者、刑務所看守、大学生など、様々な人々の怒りと真実を求める気持ちが連なっていき……
独裁、汚職、軍事暴走、隠蔽にまみれた全 斗煥政権を代表する事件のひとつで、韓国の民主化運動をより激しいものにした。
と、実際にあった事件をベースにしたフィクション。
看守の姪だけは架空のキャラクターらしいですが、それ以外はほぼ実在の人物をそのまま当てはめたとのこと。
(※看守はモデルになった人はいるが、複数の人間たちの行動を一人に集約させているらしいです)
一般市民の怒りが、膨れ上がっていく過程を丁寧に描いていました。
観ていて興奮が高まっていく、実に濃厚な映画です。
1980年の光州事件を題材にした「タクシー運転手 約束は海を越えて』と同じく、1987年の全 斗煥体制がひっくり返って民主的直接選挙に変わる直前。
あの時代の韓国を批判し、歴史を見直そうという動きには感心しました。
まだまだこの時代、金の鉱脈がごとく、掘ればいくらでも証言を元にした実話系ドラマが作れそうですね。
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