「ムード満載。覚悟して、観られたし。」A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ムード満載。覚悟して、観られたし。
賛否両論の甚だしい映画でしたが、everglaze さんのレビューを読んで、観る気になりました。そして観終わった今、everglaze さんのレビューを読んでから観てよかった、と思っています。everglaze さん、手紙の内容はきっとあなたの言う通りだと、自分は、思いました。
妻(M)より先に亡くなってしまった夫(C)の幽霊になってからの人生(?)を描いた映画。
強烈にシュール、そして観念的。なにせ、主人公である幽霊(ゴースト)は、一言も喋らない。そして、主人公だから、ずっと出ている。彼は、ほとんど動かない。だいたい立っている。幽霊とは、そういうものかも知れない。それをこれでもかと、長回しで写し続ける。
だから、私達観客は、この家で何が起きているかはわかっても、彼がどう感じているのか、何を考えているのかは、わからない。時折起こすポルターガイスト現象は、怒っているのかな、と思う程度だ。
彼の心中は、想像するしかない。自分は、talisman さんの解釈 (想像) が気に入ったから、本作を観ているのだが、M が残した小さな手紙の内容が、本当にそうだったのかは、誰も知らない。映画では、手紙の内容は見せないのだから。
想像は人それぞれだから、解釈は無限にあるのだろう。よくこんな映画を作ったな、と思う。"委ねきる勇気" とでも言うのだろうか。尊敬する。
ずっとこの家で彼女(M) と一緒に幸せでいたかったのに、自分は亡くなってしまうし、彼女はこの家を引っ越していってしまう。この家こそが、私たちが幸せだったことを、私たちの愛を証明する場所なのに … 。その無念さが彼(C) を、場所につく幽霊にした。
M が引っ越した後に、学生がすみ、パーティーをする。そこで一人の男がとつとつと語り続ける。「人は、遺産を、絵画を、技術を残そうとする。自分が存在したことを、記憶してもらうために。しかし、それらも崩壊する。未来は壁に阻まれる…」 彼は、男の話を、じっと聞き入る。
引っ越し前に彼女が書き残した内容は何だったのか。
ラストシーンを起こした文面は、どんなものだったのか。
1年に一度くらい、こんな映画を観るのも、悪くない。