ブラック・クランズマンのレビュー・感想・評価
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ドキドキのエンターテイメントからズコーンと現実に突き落とされる感覚
ドキドキのエンターテイメントからズコーンと現実に突き落とされる感覚。
こりゃ食らいますわ!
”おいおい、それ大丈夫か?”って拙い潜入捜査にドキドキしながら楽しませていただきました。
行動理由の意味わからない部分も多数。
知識があるほうが楽しめるのかも。
でもシンプルにエンターテイメントとして楽しいので難解な映画ではなかったです。
白人バディ役はスター・ウォーズのカイロ・レン役のアダム・ドライバー。
レンはナヨナヨしてて好きじゃないけどこっちの演技は味がありました。
いい役者なのねー。
レンはあの”キャラ”が苦手なもよう。
差別問題を大きく取り上げながらもスカッと笑えるエンターテイメントになってる。
少しづつ良い方向に向かってる……と思いきや終盤のシーンでおろ?となって、ラストにズーンと。
強烈なパワーを持った映画でした。
エンタメと社会派メッセージで、リーはアメリカ人種問題と闘い続ける
ハリウッドを代表する黒人監督として人種問題や社会に切り込む力作を発表していたが、最近は精彩に欠ける凡作続いていたスパイク・リー。
白人監督が撮った人種問題映画への批判や議論を呼ぶ発言などで、すっかり日本の井○○幸のような辛口お騒がせのイメージが…。
他人の監督作にあーだこーだいちゃもん付けてないで、またかつてのようなぐうの音も出ないような力作撮ってみろ!…と思っていたら、
本当に撮った!
こりゃあ~面白かった!
スパイク・リー久々の快心作!見事な復活作!
『マルコムX』などかつての力作と並ぶ、キャリアベスト級と言っていい一作!
まず、話が面白い!
1979年。コロラドスプリングスの警察署で初の黒人刑事となったロン。
情報部配属となった彼は、電話で白人至上主義団体KKKに入会を申し込み、潜入捜査を開始する…。
…ちょっと待てよ。
ロンは黒人。顔を合わせる場にのこのこ現れたら、入会云々の問題どころではない。
そこで取った方法は…
電話対応はロンが。直接の対面は同僚のユダヤ系刑事フリップが“ロン”に成り済まして。
前代未聞の“二人一役”による潜入捜査…!
何とも大胆でユニークなアイデア。映画に打ってつけ!
…と思っていたら、何と実話!二重で驚き!
実話の驚きと映画ならではの面白さで、なるほどこれがつまらない訳がない!
黒人なのに電話口では白人っぽくまくし立て、差別発言をぶちまけるロン。
何でも、黒人っぽい喋り方と白人っぽい喋り方があって、一発で違いが分かるのだとか。
しかしこれが後々に、KKKの幹部に一泡吹かせる事になる。
フリップはまず、ロンの話し方から真似る事に。
マスターしないと一発でアウト。
さらにフリップには、もう一つ注意を払う事が。
ユダヤ系である事もバレてはならない。
黒人のみならず、KKKはユダヤ系も白人とは認めない。
実際KKKメンバーの中の過激な活動家が、フリップがユダヤ人ではないかと執拗に疑いの目を…。
潜入捜査とユダヤ人、フリップはWで危険な橋を渡る。
潜入捜査モノなので、勿論それを活かしたハラハラドキドキの見せ場も。
終盤、KKKの大物幹部を迎える。フリップはロンとして同席は当然として、ロンも上層部からの命令でその大物幹部の警護担当に。
二人が同じ場に。例の過激活動家が不審な点に気付く。
最大の危機…!
二人一役の潜入捜査は成功出来るのか…!?
黒人とユダヤ系の刑事バディ。
サスペンスもたっぷり。
当時のブラック・カルチャーや音楽や快テンポが70年代のブラック・ムービーのノリを思わせる。
そして、ユーモア。過激な差別発言や風刺もこのユーモアでくるみ、スカッとする快作に仕上げている。
以前にも『インサイド・マン』というキャリアの中では珍しいクライム・エンターテイメントを手掛けたが、本作はそれ以上のエンタメ度!
硬派な社会派作が多かったが、まさかリーがこれほどのエンターテイメントを撮れるとは…!
新しくて面白く、リーの監督作の中でも最も万人受けする作風。
二人一役のジョン・デヴィッド・ワシントンとアダム・ドライヴァー。
ワシントンは子役としてのキャリアはあるが、初の大役/初の映画主演の新人だが、堂々の演技。父親を期待させる。
“ワシントン”という姓から、父親は言うまでもなくあの黒人名優。奇しくも父親もリーの作品でブレイクし、数奇な縁を感じる。
ドライヴァーは一応助演の立ち位置だが、実際対面の潜入捜査シーンではこちらも主演と言っていいくらいの巧演と見せ場。黒いマスクで素顔を隠すより、やはりこういう作品こそ彼の本来の実力発揮。
任務遂行、KKK大物幹部をコケにし、同僚の人種差別刑事にもきっちり落とし前。
見てて、本当に痛快!
でも、単にそれだけで終わらないのが、リー。
黒人やユダヤ系への差別や偏見、
アメリカ映画初の大作で名作と言われながらも、激しい人種差別描写を肯定するかのような『國民の創生』へ一石投じ、
実在の人物であるKKK大物幹部や“アメリカ・ファースト”を声高らかに掲げる現アメリカの独裁者を痛烈批判。
そして、今尚続く人種問題を浮かび上がらせる事も忘れない。
エンターテイメントとしての面白さ、ズシンと響く社会派作品としてのメッセージ。
昔も今もアメリカを蝕む人種差別問題へのリーの怒りの声に、しびれろ!
またお騒がせ辛口屋に戻らないで、作品を通じて闘い続けて欲しい。
デモ隊のプラカードの様な映画
あの時代に生きる白人と黒人ならではのバディ映画かと思ったらそうでもない。初期設定だけが結局良かった。
映画に政治や時代の色を入れるのは構わないが、それが先走ってしまい肝心の物語がとても雑だった。
雑というか既視感というか、予想内というか…
トランプ政権下における“人種差別問題に対する風刺”なんだろう。「見てくれ!こんなことあってこうなって、こうなって。この国はこんなにも狂っている!」って…いや知ってるよと。人種差別による想定内の事象を見せられてるだけ。
もしメッセージというか風刺を入れたいなら、誰もが知らなかったマイノリティの気持ちとか、作者なりの差別への解釈だとか、僕らが想像もできなかった世界を観たかった。アメリカ史をあまり知らない人には良い教材にはなるかも。
あとあの“ある意味”衝撃のラストが脚本すべてを吹っ飛ばす。結局映画自体の印象残ってない。
アメリカだけの話ではない
ちょっとコメディータッチの奥の深い刑事物❗
活劇としては面白いのですが...
1970年代黒人刑事がKKKを潜入捜査した実話の映画化作品。潜入捜査までの導入部が結構長くて、迂闊にも少しうつらうつらしてしまいましたが、後段はもう喜劇のような活劇でありました。こんな子供じみた仕掛けで、政治結社の錚々たる幹部が良くもまあ騙されたものだと、ちょっと滑稽な感じでした。しかしそういった政治結社は、いざとなると邪魔者の命を奪うことも厭わない暴力集団であることもまた事実で、この作品の本編ではそのリアリティが十分描き切れていなかった感もあります。制作者があの衝撃的なエンドロールをわざわざ挿入した意図は、そのコンテクストで理解した方が良いのかも知れません。私自身がそれをちゃんと消化出来たかどうかは別として... ところで、本作で改めて気付かされたのは、KKKは黒人と同じようにユダヤ人も排斥の対象にしていると言うこと。アメリカの人種問題と言うと、どうしても肌の色を思い浮かべてしまいますが、実はそれほど単純なものでも無いのですね。
登場する団体の人たちとは考え方も、立場も重なるところが多く、日本を...
グリーン・ブックでは描かれていない過激で悲惨な黒人差別
movie power
日本人のケツの穴
やはりそこにあるのは"怒り"だ。
グリーンブックを観てからずっと観たかったこの映画。グリーンブックとは正に双璧をなす映画だ。表と裏ではない。表面と深層と言うべきだろう。勿論表面とはグリーンブック、深層とはこの映画の事だ。
どちらが良い悪いの問題では無いし、どちらも良い映画だった。ただ同じ黒人差別を扱った映画とするして私の評価基準の一つである、見終わった後も記憶に残り続ける映画、でひとまず判断するならば断然こちらだ。
黒人、ユダヤ人を差別する(一部の)白人達。
それに対抗する黒人の活動。
ユダヤ人であることを少し隠し気味な仲間の警官。
それぞれの思想や行動が映像と共に心に刺さる。
しかしなぜ一部の白人達はあれだけ黒人を差別するのか理解に苦しむが、その根底にあるのは不安と恐怖ではないのか。元はアフリカから広がっていった人類。広がっていった人達は、アフリカから勇気を持って出ていったと見るか、アフリカから追い出されたと見るか。
アメリカ人だって元はヨーロッパから逃げたり追われたりなど、ヨーロッパに居場所が無かった人達が移ったんだから差別される側の気持ちは分かるはず。
さてレビューの本筋から逸れてしまったが、この映画としてのストーリーテリングも非常に優れていて、ドキドキハラハラしながら胸のすくようなラストに繋がる。
ただクレジット前の映像集は必要無かったのではないか。あれを入れてしまうと本編がボヤけてしまう気がする。それを監督自身分かってるかどうか知るすべは無いが、やはりそれを入れるのはやはり監督の差別問題に対するずっと変わらない"怒り"の気持ちであろう。
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