劇場公開日 2019年3月22日

  • 予告編を見る

「マジカルニグロもヒーロー刑事も登場しない」ブラック・クランズマン Yukさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5マジカルニグロもヒーロー刑事も登場しない

2020年1月7日
iPhoneアプリから投稿

トランプ後、この辺りをテーマとする映画の意味付けが、すっかり変わった事を再認識した映画。

劇中で差別はもちろん解決しないし、黒人と白人が歩み寄って握手やハグなんかしない。皆の問題を解決してくれるマジカル・ニグロも、白人のヒーローも登場しない。2人の刑事の苦悩は何も変わらない。

しかし、差別に対する憎しみ100%では映画は成立せず、内容がヘビーな割にそんな感じがしないのは、スパイク・リーらしい軽妙な演出のせいか。
デンゼルワシントンの息子もアダムドライバーも今後が楽しみ。そういえば、「インサイド・マン」ではお父さんを使ってたんですね。
(配給会社のコピーは明らかにミスリードだ。この映画を売る気があるのか)

皮肉たっぷり、KKKの狂気をトランプのコメントに重ねる辺り、スパイク・リーの真骨頂を見せつけられる。正直、日本人には押しが強いが、これが現実なのだろう。

これに比べると、アカデミー作品賞を獲った「グリーンブック」は、何もかもが上手い映画だったけど、良くも悪くも、マイルドな絵本のようだと言うしかない。

Yuk