「エンタメを突き破る監督の怒り」ブラック・クランズマン 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメを突き破る監督の怒り
スパイク・リー監督の話題作。
米アカデミー賞でもカンヌ映画祭でも一番は逃したけど
しっかりノミネートされたと言う話題作であり意欲作でもあります。
人種差別という重い題材を、潜入捜査もの、バディーもの
または詐欺師もの的な要素もあり、更にコメディーも盛り込んで、
エンターテインメントとして楽しめる作品に仕上がってます。
アメリカの人種差別の根深さと
今も尚続く悲惨な現実を突きつけて来る今作
人種差別を対岸の火事的に見ている日本人も、
これから外国人が身近に増えて行く社会の中で
自分は暗黒面に落ちずに生きていけるのか??
ただエンタメとしてだけでなく、
自分の胸に問いかける気持ちで観て欲しいですね。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
コメディー要素も含まれているけど強烈な人種差別ギャグは
だんだんに笑えなくなって来る。
警察署の中でもロンに好意的な人と差別的な人とで
くっきり対応が分かれる。
だんだんに観ている自分の胸の中の高鳴りは
潜入捜査もののハラハラなのか〜差別表現によるドキドキなのか〜
途中、主人公ロンが思いを寄せる黒人女性との公園でのデートシーン。
柔らかなアフロヘアーの輪郭に背後からの夕日が薄く透けて
まるで、宗教画の後輪の様〜〜
ビューティフルブラックの象徴の様にも見える。
スカッとする落ちはちゃんとあってエンタメとして十分楽しめるけど
それを突き破るスパイク・リー監督の怒りが
最後の画面に叩きつけられている。
どうして何も変わらないのか!
監督の怒りは解るが、中途半端な映画好きとしては
「風と共に去りぬ」についても最後に書いておきたい。
映画の冒頭に映される「風と共に去りぬ」のワンシーン。
名前は知っていても見たことない人も今となっては多いと思う。
オールタイムベストに入れる人も多い名作映画だけれど
「黒人奴隷時代をノスタルジックに描き過ぎて、
そんなに酷い事して無かった」と言う様な誤解を与える
として使われています。
確かに舞台は黒人奴隷時代の南北戦争を背景に、
南部の女性が倒れても倒れても立ち上がる姿を描いた
映画ではあるけれど、
この映画の中で主人公が親の様に信頼する
黒人メイド役を演じたハティ・マクダニエルさんに、
アカデミー賞史上初めて、黒人俳優に
オスカーが贈られた映画でもあることも
合わせて覚えておいて欲しいです。
@もう一度観るなら?
「ネット配信などでじっくり観たいな〜」