「日本人の感覚には合わない?」ブラック・クランズマン Sun Eastさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人の感覚には合わない?
なんやかやと予想よりも重たい映画、深い内容で非常に面白かった。映画としてもコメディー、サスペンス、アクション、ドキュメントの要素が次々と展開され圧倒された。また、黒人やユダヤ人へのヘイト言辞がどんどん繰り出され、英語をヒアリングしていると疲れた(^^;)。
人種差別批判あるいは反権力の姿勢を貫くスパイク・リーはやはり並みの監督ではない。
事前の予告編では何故かコメディータッチを強調して紹介されていたので、黒人と白人の警官コンビがドタバタやるのかと思って観にきていた観客が多かったのではないかと心配になった。
日本人にも偽KKKみたいな連中がいるが、よほどの事件でも犯さない限り一般媒体では可視化されないから、日本人には違和感の残る世界観だったのではないだろうか?
目を背け耳を塞ぎたくなるような事実が知らされず見逃されていく現実、日本にとっても本作品の描く日常はすでに始まっている。
映画に求められる要素は様々にあるだろうが、黒人差別や人種差別の問題はエンターテイメントでは描けない。予定調和的な融和やカタストロフィーもない。それが救いがたい現実であり、過去もおそらくこれからの未来も同じだろう。監督の一番伝えたかったメッセージはそこにあるのだろうと思う。
音楽も黒人音楽の中にさらりとEL&Pを使うなどセンスがあった。
そうはいっても、この作品で白人爺ちゃん達が選ぶオスカーは獲れなかっただろう。グリーンブックが穏当だったのだろうと思う。
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