「グッジョブ スパイク!」ブラック・クランズマン aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
グッジョブ スパイク!
ラスト10分の熱量が凄い。それまでの約2時間は、1本の映画に仕立てた伏線だった。アカデミー作品賞を「グリーンブック」が獲った時に、スパイク・リーが席を立ったのが理解できた。
差別がテーマだが、エンターテイメント作品として上出来。黒人刑事が、白人至上主義の団体(K K K)に潜入捜査しようというのだから、冗談にもほどがある。手柄を立てたい新米警官のロン(JDワシントン)が、 署内の電話からK K Kの支部に電話をして、黒人差別用語をひたすらがなりたてて、アポイントを取ってしまうくだりが傑作。もちろん直接会うわけに行かないので、署長に直談判して、白人警官のフリップ(アダム・ドライバー)に代わりに潜入してもらうことになる。前代未聞の2人1役となるのだが、 K K Kは何か事件を企んでいるのかも分からない中、さらに深く潜入することになっていく…
コメディなのだけど、笑えない差別シーンなども織り込まれ、ちょっと複雑な感覚だ。潜入がバレそうになり、ハラハラしながら、構成員の強烈な差別的な言動が撒き散らされる。そして、物語はどんどん動き、痛快なエンディングへと進む。
だが、そこから彼のメッセージが始まる。冒頭の南北戦争のシーンから始まり、映画の中の1980年前後を超え、現代に至るまで、結局変わってないじゃないか。映画見て笑ってるけど、映画館のすぐ外に「分断」の現実があるんだよ。どうするんだよこの状況!といった痛切なメッセージが、爆発する。まさに「暗転」。この展開、強烈だ。
このあたり、内容はだいたい想像はつくと思うが、今、この時代に見なければ、歴史の話になってしまうだろう。でも、将来、この映画を見て「なんかラスト余計だったな」と、言えるような時代になっていてほしいものです。
bassmanさん
そうですね。差別を考えるなら現実を見ろ、という映画界への抗議なのでしょう。多様性のある社会として、そうした主張も理解しつつ、作品を楽しんでいければと思います。
aMacleanさんへ
自分を信じて筋を通すリー監督の姿勢に拍手を送りたいです。彼の抗議は作品賞を取れなかったひがみなんかでは無いですよね。
メッセージとしてもエンターテインメントとしても優れた作品だと思います^^