劇場公開日 2023年8月25日

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「ビニールハウスを焼く」バーニング 劇場版 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 ビニールハウスを焼く

2025年9月29日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

村上春樹の初期の短編集『蛍・納屋を焼く・その他の短編』に収録されている短編『納屋を焼く』を、現在の韓国に舞台を置き換えて映画化。日本では前年の12月に吹替による95分の短縮版がNHKで放送されたが、吹替だし短縮だしということで観ず、劇場公開された字幕による148分の全長版で初めて観た。

観てて序盤から「『納屋を焼く』ってこんな話だったっけ?」と首をひねる展開だったんだが、やはり使っていたのはプロットのみだったようだ。原作は村上春樹の短編に多い「ちょっと現実離れした奇妙で不思議な話」だったように記憶しているが、映画は作品の雰囲気がそもそも違い、ある部分では妙にリアルで、不穏な雰囲気に満ちたミステリーサスペンスホラーみたいな話になっている。原作の「納屋」はビニールハウスに変更されているが(現在の韓国に納屋はないんだろう)、これも物語の中心にはなっていない。無言電話、消えた猫、空(から)の井戸、『グレート・ギャツビー』、ウィリアム・フォークナーなど村上の小説に頻出する(または村上自身に関する)アイテムも村上の小説とは違った形で登場するが、前記の通り映画の雰囲気そのものがちっとも村上っぽくない。どっちかというとブレット・イーストン・エリスの小説(『アメリカン・サイコ』『帝国のベッドルーム』)の雰囲気だ。ちなみにフォークナーにも同名の『納屋を焼く』という小説があるらしく、そっちから取ったネタもあるらしい(村上自身も当然ながらフォークナーの『納屋を焼く』を知っていたが内容的には全く関係ないとのこと)。

映画単独で見ればそんなに悪くない作品なんだろうが、ちょっと僕の趣味とは違うかなあ。映像が暗い場面も多くちょっと見にくいところもあった。あと、あの作風で2時間半はいくらなんでも長すぎる。後半かなりダレた。結局1番良かったのはヒロイン役のチョン・ジョンソのヌードシーン。きれいなおっぱいでベッドシーンもエロくて良かったです。

バラージ
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