「全ては存在しているのか?」バーニング 劇場版 奥嶋ひろまささんの映画レビュー(感想・評価)
全ては存在しているのか?
とても良かった。
ヘミのパントマイムのミカンの話がフックになって、
あると思うのではなく、ない事を忘れる事。
という言葉がずっと引っかかって、
ヘミの存在すらも疑いだす始末。
話が進んで行くにつれ、
ドンドン何が存在して何が存在しないのか
頭かぐちゃぐちゃになった。
主人公のボケ〜っとした顔とダラダラした歩き方も
こいつ夢でも見てんの?と物語の怪しさを増した。
前半は主人公の純朴さを見せて、
ベンを通してどんどん存在がちっぽけになって、
ヘミとの距離も遠くなって、
思いも伝えれず情けなくなって、
何故か19、20歳の何者でもなかった
自分を思い出した。
後半のビニールハウスから一気に物語が怪しくなって、
「煙となって消えた」という発言から嘘だろ?
と思ったけど、
あそこからのヘミの事を思うと、とても辛い。
ヘミは何を思ったのだろうか?
140分の長尺の決して派手でない物語を飽きさせずに
見れたのは、ベンの存在感だと思う。
何故か金持ち。気持ちに余裕があって、
なんか嘘くさく怪しい。
嫌ぁな感じが物凄く出てた。
ラストもボンヤリ終わるのではなく、
結末までしっかり見せてくれたのは良かった。
彼女の思い出でオナる感じもとても村上春樹感が
出てた。
主人公の喪失感よりもヘミの気持ちを思うと悲しい。
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