劇場公開日 2023年8月25日

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「全ては存在しているのか?」バーニング 劇場版 奥嶋ひろまささんの映画レビュー(感想・評価)

3.5全ては存在しているのか?

2019年8月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

とても良かった。

ヘミのパントマイムのミカンの話がフックになって、
あると思うのではなく、ない事を忘れる事。

という言葉がずっと引っかかって、
ヘミの存在すらも疑いだす始末。

話が進んで行くにつれ、
ドンドン何が存在して何が存在しないのか
頭かぐちゃぐちゃになった。

主人公のボケ〜っとした顔とダラダラした歩き方も
こいつ夢でも見てんの?と物語の怪しさを増した。

前半は主人公の純朴さを見せて、
ベンを通してどんどん存在がちっぽけになって、
ヘミとの距離も遠くなって、
思いも伝えれず情けなくなって、
何故か19、20歳の何者でもなかった
自分を思い出した。

後半のビニールハウスから一気に物語が怪しくなって、
「煙となって消えた」という発言から嘘だろ?
と思ったけど、
あそこからのヘミの事を思うと、とても辛い。
ヘミは何を思ったのだろうか?

140分の長尺の決して派手でない物語を飽きさせずに
見れたのは、ベンの存在感だと思う。
何故か金持ち。気持ちに余裕があって、
なんか嘘くさく怪しい。
嫌ぁな感じが物凄く出てた。

ラストもボンヤリ終わるのではなく、
結末までしっかり見せてくれたのは良かった。

彼女の思い出でオナる感じもとても村上春樹感が
出てた。

主人公の喪失感よりもヘミの気持ちを思うと悲しい。

奥嶋ひろまさ