「主人公の複雑な思いがミステリーを追い越した」バーニング 劇場版 エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公の複雑な思いがミステリーを追い越した
深い余韻に浸った。真実をすべて語らないこと、それも映画の一つの在り方だと思う。
主人公のイ・ジョンスは一人で生きている。父親は公務員に対する傷害罪で裁判中で、母親は何年か前に家を出たようだ。ジョンスの幼なじみのヘミはカード破産し、家にも帰れず、日銭を稼ぎ孤独に生きていた。そんな二人が再会し惹かれあった。
セレブで謎の多いベンの登場により物語がゆったりとうねり始めた。
ヘミの失踪〜ベンに対する嫉妬〜疑惑の増幅〜両親、社会、そして何より自身への絶望……ほとんどが一人称の展開ゆえ真実に近づけぬまま、いつのまにかジョンスと同化しクライマックスへ向かっていた。
ディテールを丹念に積み重ねてジョンスの複雑な思いを納得させていく手法。長尺には必然性があった。素晴らしいと思う。
久しぶりに鑑賞した韓国映画だったが、今年の外国映画のベストの一本だろう。
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gachonさんのコメント
2019年2月11日
コメント読ませてもらいました。韓国の格差社会がこのようなドラマを成立させてしまっていることが怖いですね。いるのにいない、いないのにいる、募る思い、ジョンスとヘミの純愛のドラマとして私はみました。傑作です。