「女性監督ならではの視点と配慮」バハールの涙 Teiranさんの映画レビュー(感想・評価)
女性監督ならではの視点と配慮
舞台の背景をよく知らないと本当の意味でこの映画が
理解できたとは言えないかもしれない
けれど、心に響くものがあります
男は殺されるか拉致されて、女は性奴隷
その場にいても抵抗してもどのみち殺されるかもしれない
明日の命の保証がないのは世界のどこでも同じですが
毎日を生死を分ける緊張感の真っただ中で過ごす人々
そんな現実がネットで「ワンクリック」した記事の中にはある
「真実に、意味はない」とバハールは言う
けれど戦場記者マチルドや
TVで逃亡女性たちの保護を約束、促す女性のように
真実を世に伝え、危険を顧みず行動を起こす人もいる
それもまた、痛みをわかる女性たち
先日見た映画「アナイアレーション 全滅領域」も
女性だけの調査隊の話で面白かったけれど、この映画は
監督が女性だけあって、踏まれても踏まれても
ただ蹂躙されるままか、それが嫌なら
戦うことを選択せざるを得ない女性戦士たちの
心理が深く描かれています
印象的だったのは、安全地帯へあと一歩の拠点で
身重の女性戦士に陣痛がきたのに
「産むな」と言い捨てる男性戦士と、
寄り添って支え、
「(安全地帯に)たどり着くまでの30歩が人生で一番大切よ」、と
励ますバハールの違い
彼女は女性部隊のリーダーで、周りから頼られる存在ですがまた
彼女自身も心のよりどころを拉致された息子救出に置いていて
結局のところ、人間はひとりでは生きていけない
という事に気づかされる
女性監督ならではの配慮だと思いますが
目を覆うような残酷なシーンや過激な描写が無いのが良かった
それでもこういうメッセージは伝えられるんだな・・・と思った
役者も好演
フランス映画は物事の本質を捉えようとする傾向が強いと思う
地味だったり重かったりするけれど、フランスやメジャーでない
国の映画が結構良い出来で、面白い
ハリウッド映画のお気楽感もいいですが
時々こういう重厚な映画を観たくなります
映画は普段、プロジェクターを使って大画面で観ています
結構安くても性能良いのもありますし
臨場感抜群で、お薦めです