イメージの本のレビュー・感想・評価
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チンプンカンプン
ゴダールさんがヌーベルバーグの鬼才であることに異論はありませんが物言う映画監督、少々面倒なお方という印象です、以前にも映画史を纏めていますが本作は珍しい中東映画まで加えた数多の作品をコラージュして自問自答を纏めたエッセイ集、91才でスイスの病院で尊厳死を選択されたとか、本作はいわば遺言に近いものなのでしょう。
本の体裁にならったのでしょう5つの章と番外編で構成されています
1.リメイク:映像で韻を踏むということ(約10分)
2.ペテルブルグ夜話:戦争論(約9分)
3.線路の間の花々は:列車の出てくる作品群(約12分)
4.法の精神:法のあり方とは(約15分)
5.中央地帯:男女の愛(約3分)
6.幸福のアラビア(約33分)
アメリカ嫌いや革命、移民の多いイスラム圏への関心など如何にも典型的なフランスの老人のぼやき節ということは伝わりますがナレーションは説教調で耳障り、映像もピントをぼかしたり色彩を誇張したりいじりまくっていました。内容となると、まさに映画マニア検定の超難問のような引用作品群、そのどこを切り取るか、ましてその巧拙など浅学の身には評価できるはずがありませんよ、ほとんどチンプンカンプン。
世の中には凄い人がいるもので関西大学の映画研究者:堀 潤之氏の解説ブログに事細かく分析されていましたから、関心のある方は「ゴダールのイメージの本 覚書」でググってみたら如何でしょう。
「物言わぬ田舎娘にこそ用心すべきだろう」
現在のポジションならば“映像作家”と称されるであろう、ジャン=リュック・ゴダール御大の作品であり、自分のようなユルユルで低思考の人間がレビューすべきことでないのは充分自覚しているので、内容云々はスルーする。勿論、政治的にも表現方法論も、自分より当然雄弁に語れる人が星の数ほどいることも承知している。自分が今作品を観て、かなりの内省点は、数え切れない程の意識の混濁と欠如である。所謂“寝落ち”だ。それはホンの2,3秒なのだが、まるでレコードの針飛びのようにぽっかりと抜け落ちていているのだが、そもそも構成がコラージュであり、物語というより監督の文脈を繫げるDJミックスの運びなので、穴自体、意識しないでも良いのかも知れない。ショッキング且つ象徴的な映像群と、難解で思わせ振りな意味深い言葉。ゴダールワールドを全身で浴びるという一種の苦行が、また言葉に出来ない位のリラクゼーションをももたらすのは、自分にとってなんと皮肉なことだろうと、感慨深いモノがある。イメージを再構築し、観客にぶつけるという行為は、人間だからこそ成しえる血の巡りの様なのかも知れない。
「悲しみ方が足りないから世界が良くならない」なんて言葉、自分ではトップクラスのパンチラインであった。
映画と音楽のインスタレーション
ゴダールというブランドに乗っかった映画と音楽、ナレーションのインスタレーションであった。
社会構成主義という論理が展開され、各種の活動が行われている現在では、この作品はイメージの本としか言いようのない過去のものに関するコラージュでしかない。
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