劇場公開日 2019年8月23日

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「アメリカと日本の関係」ドッグマン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アメリカと日本の関係

2020年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 親しい相手に悪事を強要させる最終手段「友だちだろ」。相手が他に親しい友だちがいないことを知っての上での言葉だ。もちろん小心者で断り切れない性格をも熟知している奴だ。借金したり連帯保証人にさせるのもこの手口が多い。

 そんな気弱なマルチェロは犬が大好きで、娘を溺愛。犬の心ならすべて理解できるのに、人間関係も犬社会と同じように考えてる節がある。乱暴者シモーネに対しては自分が従順な犬であるかのように、商店街の友人たちもサッカーと食事だけ楽しんでいれば上手くやっていけると思ってる様子だ。

 多分、心の奥底ではシモーネのことを金も払ってくれない酷い奴だと思いつつも、酒を飲ませてくれたり、女の子とダンスを踊らせてくれたりと、ちょっとだけ頼ってくれてるんだという安ど感という餌をも与えてくれるのだ。完全なる従属関係。アメリカと日本みたいなものか・・・

 そんなある日、関係を考える決定的な事件が起こる。ドッグマンの隣の店に窃盗に入るためにマルチェロの店の壁に穴をあけるというもの。シモーヌがドッグマンの店のドアから鍵を使って逃走したため、脅迫されてやったものだと警察もご近所さんもわかっているのに、マルチェロは証言しない。そのため彼が1年間服役することに・・・

 出所してみると、商店主からも嫌われ、マルチェロは再び孤独に。友人関係の修復不可能とわかり、シモーヌとの主従関係を打破するために思い切った行動に出るのだった。

 爽快感があふれるはずだったのに、マルチェロは自分の愚行に気づく。結局は動物的行動に過ぎない。犬と同じだ。人間として人間と付き合うことの難しさをも痛感する。人間の幸せって何なのだ?

 結構暗い雰囲気で終わってしまいますが、わざわざ後から空き巣宅に忍び込んでチワワを救い出すシーンには涙・・・自分もやっぱり犬好き。『グレタ』の保健所のシーンでも泣けたし。

kossy