「タイトルの意味」ドッグマン ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルの意味
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まず、驚くべきは、マルチェロを演じるマルチェロ・フォンテの演技力だ。口を開かずとも、その目は、その表情は常に何かに怯え、何かを伺い…その時々の感情を事細かに表すのだ。
そして、この映画のタイトル「ドッグマン」の意味することろに、彼の演技が全て繋がっていたことに更に驚かされる。
そう、マルチェロは犬そのものなのだ。
怯えながらもシモーネに従い、
シモーネのピンチを助け、
シモーネのねぎらいには喜び、
周りの人々の動向には目配せをし、
シモーネの不条理な命令にも従い、
シモーネの身代わりにもなり、
しかし、いざ、シモーネが自分に十分報いる気がないと知ると、虐待には牙を剥き、
今度は、周りの人々に、あなた達の嫌なものを取り除いて、喜ぶようなことをしたよ!と成果を見せようとアピールする。
だが、誰も喜んでくれる人がいないことに気づくと、犬はポツンとひとりで途方に暮れるしかなかった。
人間の物語として観ると嫌悪感を抱く人もいるようなストーリーだか、仮に犬に置き換えたらどうだろうか。
切なさも感じさせる。
自分もかなり長い間、犬を飼っていたが、不条理な命令などしたことはないし、でも、彼らの気持ちを本当に理解していただろうかと、少し不安になった。
挑戦的だし、悪い意味ではなく、居心地の悪い強烈な余韻の残る映画だった。
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