「ブッ翔んだLOVE埼玉!」翔んで埼玉 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ブッ翔んだLOVE埼玉!
日本には、最下層の県がある。
摩天楼大都市・東京と隣接していながらも、魅力ナシ、名産ナシ、夢や希望ナシ、海もナシ。
総理大臣輩出ゼロ、貧乳率1位…。
ド田舎で、通行手形が無ければ東京に入県出来ないほどの差別/迫害の対象。
その県の名を口にするだけで失神しそうになるが、気をしっかり持って言おう。
埼玉!
バタッ、バタッ、バタッ…。
(↑今日本中で、大勢の人が気絶して倒れた音)
そんな埼玉の都市伝説。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・埼玉…
かつて埼玉県人は東京に虐げられていた。
埼玉を自由の下に解放する救世主は居ないのか…?
東京屈指の名門校に、アメリカ帰りの麗が転入して来る。
容姿端麗で都会指数が高い御曹司に、東京都知事の息子である生徒会長・百美は当初は目の敵にするが、ある事をきっかけに禁断のフォーリンBLに。
衝撃の事実。麗は埼玉県人で、差別制度撤廃の為に闘う“埼玉解放戦線”の一員である事が発覚。
追われる身となった麗についていく事を決めた百美。彼と行動を共にする内に、埼玉への偏見を変えていく…。
埼玉解放の日。
禁断のBLの行方。
壮絶なる闘いと愛の結末はいかに…!?
単なる都市伝説に非ず。これは、真実の物語。
…という、ブッ翔んだフィクション。(←当然だ!)
まあとにかく、凄まじい埼玉ディスりが半端ない。
みすぼらしい埼玉県人。
生まれが埼玉なんておぞましい…。
「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になる」
「埼玉県人にはその辺の草でも食わせておけ!」
埼玉では病を治すには祈祷師頼り、命の危険に関わる熱病“サイタマラリヤ”…。
ダ埼玉、く埼玉、うさんく埼玉、うる埼玉、青く埼玉、田舎く埼玉、古く埼玉、アホく埼玉、バカく埼玉、ケチく埼玉、きなく埼玉、ドンく埼玉、貧乏く埼玉、面倒く埼玉、陰気く埼玉、辛気く埼玉、小便く埼玉、乳く埼玉、イカく埼玉…。
埼玉の皆さん、ブチギレてもいいですよ…(^^;
埼玉だけではなく、未開の地・群馬、ネバネバ納豆臭い茨城、関東圏第3位を争う永遠のライバル・千葉など、他の関東圏も巻き込み。
もしここに我が東北が参戦したら、未だ石器を使い洞穴暮らしの原始人レベルであろう。(←コラ!)
埼玉県人及び関東圏なら苦笑せずにはいられないワードや地名のオンパレード。
ここら辺、異県人故、今一つ伝わり切れなかったが、それでも笑いや分かるものも。
踏み絵ならぬ“踏み草加せんべい”。しかも、埼玉の県鳥“しらこばと”の柄入り! 踏めない、踏める筈がない…!
クライマックス、埼玉と千葉の戦勃発! 激しい有名人出身対決!
…ハイ、超ナンセンス映画です。
宝塚みたいな出で立ちで男役の二階堂ふみ。
この荒唐無稽で浮世離れした世界観やキャラに妙にピタリとハマったGACKT。彼がやれば“埼玉ポーズ”もエレガント。
千葉の回し者・伊勢谷友介、伝説の埼玉県人・京本政樹ら個性派キャストがド派手な衣装に身を包み、おバカ…いや、大真面目熱演!
惜しむらくは、出来ればご当地出身者に演じて貰いたかったなぁ…。
争い続く(?)埼玉と千葉。
埼玉では内戦も。
それらを嘲笑いながら、陰謀企む東京。
何だかそれが、社会や世界の問題のパロディー縮図に見えた。
争いや差別など無い世界に!
アナタの中の地元愛が目覚める!
…と、まあ、大袈裟に言ってみたけれど、
でも、これも全て、愛があるから。
こんなディスりや茶番なら、ぬるい感動ご当地ムービーより、寧ろ大歓迎!
ラストには、意外なオチが。壮大なる埼玉の計画…。
恐るべし、埼玉!
こうなってくると、我が福島だって黙ってはいられない!
県面積は広く、故に田舎と言われがちだけど、それはつまり豊かな自然に包まれている。勿論、市街地は充実。
猪苗代湖、磐梯山、大内宿、白虎隊…観光地や歴史もいっぱい。
桃などの名産品、喜多方ラーメンやクリームボックスやままどおるなどの人気ソウルフード。
出身地対決だって強者揃い。
西田敏行!ディーン・フジオカ!伊東美咲!芦名星!
あばれる君、ゴー☆ジャス、たんぽぽ白鳥、なすび…うう、ちと弱い…。
ならば、これでどうだ! 次のNHK朝ドラのモデルになる作曲家・古関裕而、そして神様・円谷英二!(故に、円谷氏の出身である福島県須賀川市とM78星雲は姉妹都市)
東日本大震災や原発事故の放射能漏れで多大な被害を受けたが、そこから立ち直る強さ!
皆、地元が好きなんです。